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どこへ行こうか――
そう問いかける森の
落ち葉は湿って素足に心地よい
(靴は捨ててしまった)
赤や黄や私を包み込むまだ青い
木の葉よ お前の匂いにむせて
ひたむきに傾けるやさしさに ....
ときどき僕は
草のなかを歩いてみる
さらさらと風が流れてゆく
草穂が膝頭を撫ぜれば
なつかしい思いに満たされる
ときどき僕は
人に話しかけてみる
ときどき
誰とはなしに笑いかけ ....
七月は一艘の舟
僕らは詩の上で旅をする
オールは持たず自在にすべってゆこう
喜びも悲しみも傍らに従えて
まだ陽はあんなに高いのだから
指を浸せば波紋の向こうに
雲は流れ 陽はきらめ ....
また春の風が
額を過ぎた
ふっと
潮の匂いがした
ような気がする
{引用=なつかしい声}
振り向くと
海がそこまで迫る
海は光る
反射して鏡のように
指を浸すと ....
御機嫌いかが、と
埃っぽい風が吹く
どの窓にも猫が一匹いて
ぐりぐりした目玉でこちらを見ている
しっぽをくゆらすもの
ひげをぴんと張ったもの
前足を行儀よく並べて
あるいはつま先 ....
あなたは書かれた事のない手紙
いまだ出された事のない手紙
封を切られないまま
大切に言葉をしまい込んで
わたしはそっと考える
その言葉がどんなに心を震わせるかを
わたしは夢を見る
....
忘れてください
と、口にした時から忘れられなくなる
ふいにこぼした言葉も
思いつめた頬の感じも
忘れてください
忘れたものは戻ってこないと知っている
ある日ふとまざまざと
風に揺 ....
駆けて来る
駆けて来る
薄氷を割るように
静かなギャロップで
はるかの足並みで
銀のたてがみをひるがえし
地上へと駆けて来る
お前の目の中で火が燃えている
お前が見つめると
....
昼の月が
うすく広げた空に突き刺さって
鳥がはるか弧を描く
海には舟が帆を上げる季節
だけど二人して手を振るよ
ナイフを研いで
ランチョンマットの上で旅をする
私たちの恋ははじまったばか ....
何もかも徒労だったと誰が知る
心がはぐれそうな夜は
ただあてもなく歩くのが世のならい
街の灯りがあんなに遠い
くたびれた足で石を蹴り上げると
どこか見知らぬ闇に呑み込まれていった
....
なつかしい猫
いつか啼いていた気がする
私だけの思いが影を引いて
路地を今曲がってゆく
そんなに淋しい瞳で
私を見つめないで
やさしく撫でてあげたくなる
さしのべた指先を ....
しずかな時間に光がうまれた
わたしの心に映り形作られるもの
それは木もれ陽 それはうた
あたたかな陽だまりの中で
わたしを見つめるあなたの瞳
どこか遠いその瞳
あなたの眼差しに海が ....
私は流れてゆく
水のようになめらかに
時には{ルビ滔々=とうとう}と
時には穏やかなせせらぎになり
私に映るのは雲の流れ
陽のきらめきがいくつも反射する
あるいは透過して泳ぐ魚の群 ....
kauzakさんの石瀬琳々さんおすすめリスト
(13)
タイトル
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カテゴリ
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日付
メタモルフォーゼの森
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石瀬琳々
自由詩
11*
09-10-28
ときどき僕は
-
石瀬琳々
自由詩
14*
09-10-7
七月の舟
-
石瀬琳々
自由詩
14*
09-7-8
海へ
-
石瀬琳々
自由詩
19*
09-4-2
猫の町
-
石瀬琳々
自由詩
8*
09-3-4
手紙
-
石瀬琳々
自由詩
10*
09-1-7
忘れるということ
-
石瀬琳々
自由詩
14*
08-12-18
冬の馬
-
石瀬琳々
自由詩
22*
08-12-4
昼の月_夜の太陽
-
石瀬琳々
自由詩
9*
08-11-13
夜の鉄路
-
石瀬琳々
自由詩
8*
08-8-6
なつかしい猫
-
石瀬琳々
自由詩
9*
08-7-2
しずかな時間
-
石瀬琳々
自由詩
9*
08-4-3
水の恋歌
-
石瀬琳々
自由詩
9*
08-3-5
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