色はくろ
とてもひんやりとしててゴクリ
のみほした
炭酸ジュースのはぜる泡よりおおく
星がパチパチ光ってて
ぜんぶのそらでいっとうあかるい
あおい星
くちびるにひっかかり
わた ....
はだけたカーテンと窓硝子の向こう
隣家の庭木の枝先が刺さった風の震えの向こう
霞んでいる白い家の目印のような煙突の向こう
冬の樹々が黒々と海へ続く 黙々と――
その向こう
薄く濃く重なり合う ....
そこにこどもの姿はなく
おとなたちだけが殉ずるかのように
黄葉のかがやきが干からびた胎児の如く打ち捨てられる頃
までの林檎飴の祭りはいつも 日没をしる港にて
時雨れるまでは兆しのない福音 ....
走り書く一通には
「望まなければ」
視得なかったから 闇は/その日
「眠っている間だけ目覚めてさえいれば」
想っていただけの 日日を もう 思い出せない
「西に惹かれて 決めたあなたはついに ....
いつからか分からないけど僕は白線の内側に立っていた
日中の残り香が頬をじわっと暖めていたけれど
僕を笑う人が多すぎてすぐに冷めてしまった
何かのパレードにように後には人々が続き
幸せになりたい ....
小さな風が
若い稲穂たちの間を
駆け巡った
あの日
色をさらわれた景色が
彩り囁いた
モルゲンロートより
夕闇より美しく
さざ波立つ
....
今日も りゅうが 脱走した
「理由」なんて聞く奴がいるから 逃げだしてしまうのだ
話の尾ひれなんて無視して
ゆらぎは水の色
ゆがむからだのまるみに いかす光彩くねらせて
す ....
おわりかけ はその日
おわろうとして あさを迎えた
落ちるように陽がのぼり
空がみるみる青ざめて
いちょうが黄色い服を脱いでいる
生きているのは
不自然なことだ
卵もコンクリ ....
あなたは、きっと、私のことが嫌になっていると思います
それとも、呆れ返っていますか……?
私は、あなたに言いたいことを我慢しなかったし
今までなんでも打ち明けてきました
あなたは、私の悪い ....
雨降りの停車場を訪ねる
あなたを
鈍く光る雨降りの停車場
仰向けの自転車
あなたの指先の雨だれ
写真のように話しかけてください
雨降りの停車場
の人影
遠くから遠くを
ポケッ ....
ブルックナーの交響曲第3番を聴いていたら
明日を生きようという希望が湧いてきた
ブルックナーはもしかしてぼく自身なのかもしれない
静謐でどことなく荒々しく気まぐれである
どうしようもない死 ....
幼き子を抱き上げる家族
砂浜に残された砂の山
流されて
海岸に忘れた玩具の車が
寄せては返す
クラクションが鳴り
波の音だけになる頃
ふと
あなたを思い出す
愛することが ....
降り積もった枯れ葉が
雨に打たれる
踏み付けられて
泥に塗れて
こんな汚れた姿を
見たかったんじゃない
頬を流れる涙は
雨に打たせて誤魔化す
寒さで凍えるように
震えて見せて
....
楕円
(ellipse)
から、蛇行するよ、君の眼球運動会
なんて空疎な視覚遊びにきゃっきゃと、ち
よ
こ
....
赤いチュチュをはいた
白い花たちが
寄り添って踊る
小さなバレリーナ
踊ることは
生きていることだと
無邪気に笑う
顔を寄せたわたしの目の前で
おさなごのやわらかな手に触れ ....
時間が感覚している
巨大なてのひらが極めて薄くなり
眼を開く刻限を探っている
仏は舞い散っては脱皮して
柱を支える土壌に滲み込んでいく
空間が覚醒している
門の内と外は色濃く混じり合って
....
漂いの中に浮かぶ船はとても空虚だ。
空虚は僕の心を浸潤する。
広がり、閉じる。
この情緒こそ難破船にはふさわしい。
水面に移る悲しみを鳥たちが啄む。
僕は自分が何か勘違い ....
ビリビリに引き裂いた
力任せに 泣きながら
それでも気が済まなくて
鋏でジョキジョキ切り刻んだ
その切れ端を 徹底的にシャッフルした
元の形などわからないように
二度と思い出さな ....
「孤島」
樹や動物と共に棲み
助け合うことを知っている
ひとに蹂躙されない
蹂躙しない
等身大の月のひかりにただそよぎ
喜び 哀しみ 反射する
時に痛い波濤をかかえ
消滅を怖れない ....
日曜日の公園で紙芝居を読んでくれるおじいちゃんがいた
聞いたことも見たことも無い、不思議な話で、子供達にはあまり興味が湧かないらしく、大半は遊具や砂場で遊んでいた
そんな中、一人だけ目を輝かして聞 ....
*あなたの都合にわたしを合わせられますように*
(わたしの視座は、あなたのお言葉で大きく広がる 羽を付ける だから)
だから、わたしは、すれ違う方々全ての、あなた目線でその都度、世 ....
もう部屋じゅうに
季節が終わる報せが届きます
ネットポートは再び夕空でジャックされ
きっとポケット深く携帯電話にも
微かに振動は繰り返され
むかし聴いたあの唄が
そっと鳴るでしょう
波音 ....
あなたは特別だよと
言ってあげたかったけど
特別なひとなんて
いないと習ってしまった
背中がちいさく ちいさくなって
あなたの涙だけが大きくなる
わたしはなにも言えない
言っても無駄 ....
息をしている
すべてのものたちが
息という名の
うたをうたう
うたという名の
命を
深く
息を吸いこみ
ふくらんだ分だけの
息を吐く
そのあと
わたしのうたは
誰かの肺の中 ....
肩越しのとまどいに
秋の風か
冬の光か
坂道の横を
電車がいく
秋の匂い
冬の湿り
あなたの小麦の肌に
雑沓がうすくなる
あなたが手をふる
....
骨のはら、平らかにひろがってゆく
りと、たってしまう。そよぐ音が、声が
あることの根をふるわせよ、ふるえ、よ、と
しきいにふれるか否かの下方でなる
よよ繰りかえす「ことのね」のれつ
おん ....
妄想に耽る2人、
丈夫な羊毛が、感情的な髪に絡み合っていると、天空の光線が、細長い陸と海を襲う、
積極的な性中毒としての保護された、純度の情緒的疲労、
お互いを交換する、半分の楕円形の半世紀 ....
虚しさは
ろうそくの炎のように揺らめいて
正体を見失う
スマホをスクロールさせても、行き過ぎてしまって
たどり着きたい所にはいけない
私たちは正しく嘘を粉飾できないでいる
街灯ひとつで ....
窓のうら側で夜が渋滞してる
過食症のねずみがカーペットに絡んで
おそろしいのは
そのすべて
海とか朝とかお皿とか
ありもしない思い出までが立ち上がって
わたしを抱こうとするそし ....
愛されたいのではなく
あなたを愛したいのです
その違いをあなたは分りますか……?
あなたがとてもとても愛おしくて
わたしは、あなたをなにか温かなやわしいわたしの羽で
あなたを包み込んであなた ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87