すれ違う道で
肩さえ触れずに尖ったら
自分の手を当てて
はみ出しそうな午後
振り返るタイミングも
追い駆ける勇気も
仰いだ空の中へ
吸い込まれてゆく
言いたいことが
あったような ....
一日一つかふたつインターネットに書き物を投稿している
それを家族は知っている
だけどね
何の関心も示さない
だってさ
それは幾ら掘っても何も見つからない宝物探しのようなものだから
家族 ....
あかるい暗やみを
猫がふうふう歩いている。
うすべったい陰を
引き摺るようにして
草むらを
すこし割りながら
白だったり
黒だったり
する猫の、
どこからみても
おなじふう ....
心が充たされた瞬間に
消えていった見えない敵
それはただの
泣き虫だった
喜びも怒りも
誰にも知られまいと
抑え込むことろは
長年の付き合いで
わたしに似ていたね
一睡も ....
二〇一四年十一月一日 「She’s Gone。」
風水って、よう考えてあるえ。
そなの?
東西南北すべてに地上があって宇宙があるのよ。
東に赤いもんを置くのは、あれは、お日さんがあが ....
いい詩に接すると
ほんとうはとてもつらい
これは
ふくざつな感情のつまらない吐露だから
あんまり意味がない
だから言うだけ言って
それきりにします
……、
でもやっぱり、
二つあるう ....
三島が自死した歳は
はるかに過ぎ
安吾が死んだ歳も
漱石が死んだ歳すら過ぎた
それなのに
俺は
ピンクローターやイソジン転売について
書いている
都知事のオバハンが福笑い顔だと
....
ふわふわ漂い
ゆっくり落ちる
金の花びら、
わたしは貴女を知らなかった
[磯の香 、 零れる光滴 、 白波の残響]
あの青い青い宇宙の大海原を
貴女は幾人もの従者を連れ
喉を震わ ....
{引用=最悪について}
第一に
記憶と紐付く負の感情一色に染まった景色を満喫しながら
自ら最悪だと帰結する狭く閉ざされた思考の環状線を延々
巡り続ける一人旅
第二に
自覚のない最悪人間 ....
おんなはおとこの子を身籠る
おとこはおんなを孕ませる
子はおんなの胎内で
その養分で育ちながら産まれるときを待つ
零から始まる何ものもない
生命もまた
零から始まってなどいない
....
食事に行っても
ソーシャルディスタンスのせいで
隣を空けて座らなければならないけれど
私の鼻くそ飛ばしは
3m先までは
100発100中なので
向こうのテーブル席の
ご婦人の前に置かれた ....
君が渇きません
私は夢見る牧羊犬の尻尾を踏みました
朝から晩まで数えていたら
羊が灰色になってきました
ごましおの柄が可哀想
雲に浮かんだ雨も可哀想
足先から落ちる水滴を目で追い
まとも ....
シャーレ
喝采をあげて赤い綿毛が一斉に広がる
緑の胞子が満ちて森をつくる
コンタミネーションを起こして
白い培地で紡がれる微かな物語。
三十七兆分の細胞は
ただの傍観者に成り下がる ....
二〇一四年十月一日 「ネクラーソフ『だれにロシアは住みよいか』大原恒一訳」
血糖値が高くて
ブタのように太ったぼくは
運動しなきゃならない。
それで
自転車に乗って
遠くのブックオ ....
朝もやのおもみで
水面までおわれた
口をなくしたカゲロウたちの叫びを
なきだしそうなそら見上げながら
すくい取っている。
かたわらに ひとり
片足で立つ刻の守人は、
つばめよ、
今、 ....
「他者の存在を
心の中から消すことが出来れば
こんなに楽なことはない」
とヨシオさんに話したら
「他者や世界がなくなってしまった
ように感じたらそれは狂った証拠だ
狂人はその孤独に耐えられ ....
かなしみの
青が降る
透明、
ただ透明に
なっていく
己の体
幾億もの幾兆もの者達が通った道
途、未知、溢れ
枯れ果て、移行する
光の奥の
ふるふる震え揺れ
時の間隙縫い
開く ....
四トントラックの背に鉄屑ばかり積んでいた
製鉄会社を回って非鉄金属ばかりを探して
使い物にならないモノたちを再利用しようと
かき集めていた、父の会社
工場の垣根になるほどの拉げたタイヤの群 ....
最もよき者は攫われてしまった*
よき者の言葉は封じられ
足並みをそろえる、その旋律だけは大切にされた
皆、同じ顔をして右を向き前に倣う
*
── 唄は、
....
木の葉、貝殻、木炭、シダの雫…
私は、見失われ、見出される
元素も、哀しみも、泣訴も、オーガスムも
宇宙池から泳ぎ逃れぬ、魚
小夜啼鳥よ、羽をとじ、琥珀に斜めに浮べ、
今日もどこ ....
街中に溢れている
気だるさや
やるせなさや
無関心や
私には名付けられない誰かの表情
変わらないようにみえても
変わりつつあるのだ
忘れかけていた
足りないもの
オールドノーマルな
....
{引用=銀杏一葉}
フロントガラスのワイパーの圏外
張り付いた銀杏一葉
冬の薄幸な日差しに葉脈を透かして
用途を終えて捨てられた
ひとひらの末端 美しい標本
飛び立つことはないはずなの ....
ズキズキとココロが痛みだして
ハラハラとナミダがこぼれだしたら
あたりかまわず泣きだしてしまえばいい。
その日は祝日
新規開店間もないイオンモールに家族と一緒に車で出掛けた
五月。ゴ ....
魂迄ずぶ濡れにされてしまうくらいの雨があがった
のっけから魂なんて書いてしまうなんて
我ながら恥ずかしい
天上では死者たちの霊魂が集まり
火を燃やし始めた
濡れた衣を乾かすためらしい ....
カッコイイ生き方したい
だけどカッコイイ生き方しようとすると
誰かがイジワルク足を踏みつけてきたりする
人間なんてそんなもんだ
躓いてころんだら気持ちがめげた
気持ちめげて立ち上がれなく ....
それは
あずき色の革張りで
しっかりと綴じられており
少し重い
一ページ目の
なめらかな白い砂浜には
控えめな海藻が
いくつか打ち上げられている
完璧な塩のフォントと
滲まな ....
もがいて水面から顔を出す
ように息をするかろうじて
ポジティブ思考
が大事です
足首に錘
つけられても
まだ笑えます
夢も見れます
今日一日を楽しみに
起き上がります
階段をおりて ....
波立つ寂しさの向こうで
過去が揺れる
過ぎ去りし日々は懐かしく
愛おしい
冷たい風に洗い流される
旧い季節
手慣れた手つきで秋化粧する
澄んだ瞳の空
心変わりした女(ひ ....
今。
今火葬場なんですよね。母が亡くなりました。
コロナ禍での入院なので、あんまり会ってない。6月のあの夜、急いで実家に帰った時から、ぼんやりわかってた。緊急入院。カテーテル治療。でも、あ ....
{引用=うつけもの}
わたしの頭は憂鬱の重石
悩みの古漬けぎっしりと
{引用=しゃくりあげて}
願いは鳴いた
言葉を知らない鈴のように
子の骨を咥え 風の狐が走る
芝 ....
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