おひさまと雨に愛された
やわらかなこの地と
地続きだったはずの
荒地をなつかしむ

わたしは
奇跡的にそこで芽を出した
小さな花のこぼれ種
運良くここまで風に運ばれて
のんきに咲いて ....
 サーカスが去って行く。
 ネルソン坊やが月に向かって口笛を吹く。
 ジェームズ夫妻は互いを罵り合う事で生への愉悦を感じている。
 駄馬が一頭、自分の運命も気にせずに草を食んでいる。

 ....
十代の恋は幼く
大人びた香りがした
あの夏の日暮れの
夜が落ちてくる手前の街を
指を絡めて歩いた
あなたの指は
ほそくしっとりとして
引かれるまま道を歩く
足取りはひどくゆっく ....
空の青さが濃くなる日
木の葉も緑を濃くしていた

さくらこぶしりらこでまりなど白っぽい花が終わり

赤いサルビアが揺れる頃

濃い血の色をしたワインを飲み干し
ラベンダーの香りが漂う
 ....
「母」


「家庭に光を灯して共に」
煽り文句は便利なコトバ
その言葉をバーゲンセールで買った母

巨大な塔を一つ、造ってみないか、と
安請け合いした黒い声が
赤く点り、 ....
動物ばかりの世界では
美しい声で誘われる
私の唇に触れてみて
愛の温度がわかるでしょう

不確かが可能となり
私は心を杖にする

ずっと歩いてばかり
勇敢な戦士に背中を押されたから
 ....
いったいこの夜の誰が
朝をつれてこられるだろう
あんなに熱い背中をして
泳ぐみたいに生きたのに

6月のくまみたいに不機嫌になって
木の実や空洞をぱりぱりかじりながら
いくらでも理不 ....
あおいケシの花が石の原野でそよぐときわたしは
思いっきり泣いているし
わたしだけの神さまにあやされてもいる
けれど

それは夢でただの夢で
ただの夢でただの夢でいつかはこの
幕間は終わり ....
いつか死の床で吹く風は、さらさらとして
すべての記憶をさらうでしょう
むせびないたかなしみは
いずれ天にのぼって雲になり雨とふる

信じているうちは遠ざかるものは
なにもおもわなくなるとき ....
その美の真中に隠された荒野に
どうか 花ひとつ
植えるだけの土地を譲ってくれませんか

血の滲んだ足を隠して走り続ける旅路のどこか
ほんの一歩か二歩
見守る場所を許してほしいのです

 ....
いつもの夜
隣で女が寝息をたてている

わたしを知り尽くした女
何を夢見ているのか
寝返りをうち
傍らにころがる

互いの心の鍵を持ち合わせ
ふたりはひとつ
女が逝くときは
私の ....
月は
まるいしろい夢
寝ても覚めても転がって
ビルの谷間に落ちてゆく

真夜中過ぎの道の果て
欲望の歯車からまって
道に迷って泣いていた

こわれたブレーキ
果てない野望
いつも ....
眠っている街のせほねをなぜていった
風をみていた
髪の毛の先
産まれたての星をやどした
ひとみにも
ひとしく均された夜が降りてきた


つま先立ちの白線に血がかよう
弾性を綴じたアス ....
繰り返される日々の中で
身も心もすり減ってゆく
紫陽花が咲く坂道を駆け下りる
雨色の風が頬を撫でる

ここまで生きてきた
どこまで行くのか
わからぬまま
歩く

蛍火はなつかしく揺 ....
静けさという音が
降ってきて
{引用=それは
大人に盛られた
眠り薬}
影という影が
今という現実の
いたづらな写し絵になる


いつまでも暮れてゆかない夜があった
小さな公 ....
                

夕日が地平に没しても
なお 街々の西の空が
かすかに明るみをおびている
足を止めて
やや赤みがかった
仄白いものを
見ていると
無性に泣きたくなっ ....
昔から奇跡は実在していて

いまも目の前に当たり前のように続いている

だからここにいると

奇跡は懐かしい顔をして在る


私は慌てて感じとる

それを真剣白刃でかき集める
 ....
言葉でも
抱擁でも 違わなかった
はず

薔薇に囲まれた
木製のベンチでも
暖炉の前の 刺繍の施された
英国製のクッションでも
違いはなかった
はず


禁断の欲情を交わすには ....
酔い覚めの夜は
歩道橋に佇み
優しい風に身を{ルビ晒=さら}す

アスファルトの白い{ルビ梯子=はしご}から
仄明るい駅の入口へ
吸い込まれゆく
人々

アルコールが少々体内を
回 ....
{引用=どうかあなたという揺るぎない現実に対して
絵空事のような恋情を描くわたしを許して下さい
これらの時代錯誤で大げさな言い回しは
詩人気取りの馬鹿な田舎者がそれでも言葉だけ
精一杯めかし込 ....
 山の麓の小さな村に今年も初夏がやってくる。
 黄昏時の老人が野菜を背中にしょっている。
 雁の群れが西の空に飛んでゆくのを目で追うと、
 彼方の空には一番星が瞬いている。

 憧れの初 ....
       
凍るような闇に
おおわれている
もう先が見えなくなっている
わたしは手さぐりで
広い歩道にでるが
そこには夜はない

誰もいない路上
灰色の靴音を
ききながら歩 ....
花は太陽が好き
夕方になると萎んでしまう理由
それは 闇が 怖いから

昼間になると
そりゃあ 天敵も 多いけれども
朝露も 温かくなって
笑顔のように 耀いている

冬の 落し ....
【時鳥】

ある一時 
保育園のときのセリフは  小鳥の役柄だった 
「ニュースだよ ニュースだよ たろうさんのお宅に あかちゃんができたよ」 
小鳥役の私が 時空のかなたからやってきて ....
きみがめをとじている
つきがこんなにきれいなのに そういうと
きみはすこしあきれて ばかねとぽつり
なにもしらないこども たしなめるように

しろいつきのあおいひかり
ひとのゆききや くる ....
       水無月は日本晴れの
             土曜日
        四号公園の広場で
          子どもたちは
   ドッチボゥル遊びをしている
     おとなのま ....
感じない掌の上に
鳴かない鳥が
人のように瞼を閉じる

冷たい雨の降る
コンクリートの上で
静かに眠りにつく
戯れるように
温度を残して





おか ....
私はぐだぐだになって生きて

ぼこぼこになって死んでいけるほど

自由なのだ

傷つけ傷つき

特に正しくも

悪くもなく

いつかの準備のために人のなにかを

見過ごすこ ....
がらんどう
でなけりゃ鳴らない
灯りはいらない
隙間から射し込む程度
《{ルビ外面=そとづら}はいつだって焼かれているさ
がらんどうで
鳴かねばなるまい


万華鏡を回す要領
青白 ....
 揺れる心を歌うには夜がいい。
 闇鳥のハミングなど求めはしないが、
 自分の影法師が闇に沈む時
 初めて人は自分探しの旅に出る。

 色々な人や物に出会う旅。
 惑いの日々はやがて過 ....
宣井龍人さんのおすすめリスト(2611)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
荒地としろくま- そらの珊 ...自由詩8*17-6-17
サーカス- ヒヤシン ...自由詩4*17-6-17
遠い日の透かし雨- かんな自由詩6*17-6-16
少しずつけれど確実に- Lucy自由詩7*17-6-16
小詩__二篇- 為平 澪自由詩317-6-15
- 黒髪自由詩6*17-6-15
6月のくま- はるな自由詩817-6-15
あおいケシの花が- もっぷ自由詩317-6-14
さいごはしとしとと雨- 田中修子自由詩8*17-6-14
花ひとつ分の土地- ただのみ ...自由詩13*17-6-14
隣で女が寝ている- 星丘涙自由詩2*17-6-14
月と野望の行方- 星丘涙自由詩4*17-6-13
繭町- むぎのよ ...自由詩1317-6-13
紫陽花の坂- 星丘涙自由詩11*17-6-12
きつねつき- そらの珊 ...自由詩17*17-6-12
かなしみ- 前田ふむ ...自由詩7*17-6-12
奇跡- 吉岡ペペ ...自由詩417-6-12
和音- Lucy自由詩5*17-6-11
赤い川- 服部 剛自由詩417-6-10
ミューズへの恋文- ただのみ ...自由詩7*17-6-10
初夏に。- ヒヤシン ...自由詩6*17-6-10
距離- 前田ふむ ...自由詩13*17-6-7
キクザキイチゲの生た丘に- 藤鈴呼自由詩3*17-6-5
時鳥- るるりら自由詩12*17-6-5
りんご- Y.T自由詩11+*17-6-5
想いは枯れて(三)- 信天翁自由詩117-6-5
やさしい鳥- つきのい ...自由詩4*17-6-4
ぐだぐだになって- 吉岡ペペ ...自由詩917-6-4
がらんどう- ただのみ ...自由詩13*17-6-3
ジンジャーエールを飲みながら。- ヒヤシン ...自由詩5*17-6-3

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