雨雲に覆われた空
徐々に夕暮れて行く
私はブリキの
如雨露の中に
閉じ込められた蛙
とても無様だ
ああせめて
如雨露の先の
小さな穴から
溶け出して
花びらを濡らす
....
雨季時間は妊婦の安定期に似ている
穏やかに 目を細めて微笑みを
何日も繰り返す
雨に傘を持たす
優しい妖精は
紫陽花の葉をつたう
雫のかたまりの様に
儚く 役目を終 ....
床に散らばった花びらに気づいたのは
364日目の朝だった
未だ 夏なのに
先を急ぐように 花が枯れはじめている
やめられない煙草を 何十本と吸ったこの窓辺で
いつものように僕は 彼女に話 ....
多分 静寂な夜だっただろう
いつもと変わらない日常が終わり 子供たちはベッドで眠る
大人はたちは静かにお茶を飲み 聖書を開いて神に祈る
いつになく静かな夜に 何の疑問も持つことはなく
未来を築 ....
地面に
言い聞かせるように
雨が降り続く
無色の
絶え間ない呪文が
街を塗り潰す
紫陽花は
すべてを受け止めようとして
雨雲を黙読し
雨傘は
すべてを受け流そうとし ....
美しいものに光を与えて
俺は詩人となった
世界とはうずたかく積まれた
瓦礫の山
なら建築家はそれを拾い集めて
"塔"を作るだろう
今、俺は亡骸共を集めて
....
雨だ
外界へのすべての通路を
遮断する 雨だ
途切れなく水が流れる音
意識の襞にべったりはりついた
彼岸を横切る河の 濁音
音だ
決して 渇きは潤わず ....
仲間外れにされた
楽しみにしていたのに
仲間に戻された
疎遠にしていたものに
人間万事塞翁が馬
勉強する環境に戻った。
金も使わず
金を造る
高齢化率は22%
そのうち40% ....
{引用=
みなも、
おおきなうねり、
くしゃみを、
すると、
さかなは、
はねる、
おとは、
よろこび、
きみは、
おとなになる、
ずっととおい、
ひるさがり、
から、
....
苦悩の女神が
僕の手を引いて
眠れぬ夜に連れ出した
花は閉じ 草は項垂れ
月は雲の毛布に潜り込んで 高い鼾をかいていた
ブナ林を背にして 裏庭に立つと
女神は両腕を広げ 僕はその中 ....
今日もあせをかいて老母と
子供たちと彼女のあしたのかてを用意する
支払いが間に合わないことなんてたいしたことじゃないさ
金星はゆうゆうと太陽面を通過して
菊地直子もつかまった
消費税も上 ....
まだ続く冬の路
の途上にて
たずねれば
あなたはそのままに
墓標が伝える
笑顔
この冷たさに
凍えもせずに
思い悩んでいる
わたしあて
何かを
言いたそうに
視得るのは
ただ ....
昨夜は、本を抱えたまま眠る人だった
活字は描いた
夢の中へ浸水するやいなや
なめらかな黒髪の毛先を
屈強な体躯の背中を
雨露でできた葉むらの中の
縦笛のようなフクロウの響き
カミナリ ....
水面、生まれたての木漏れ日
酸化していく時計と
ミズスマシのありふれた死
導火線を握ったまま眠る
わたしたちの湿った容器は
身体と呼ばれることに
すっかり慣れてしまった
....
おじいちゃんと森で薪を拾う
僕が手当たりしだいに
背負子に放りこんでいると
そいつはまだ早いと言う
幹を離れてまもない小枝は
水分を含んで
みずみずしい
生木の範疇を出ないものは
....
光はあふれる
白亜の{ルビ建物=ビルディング}の上に
海鳥の白い翼に
青くうねる海原に
光はあふれる
光は波打つ
どこまでも続く青い穂波に
涼やかに流れる川面に
青い空と風の中に
....
巻かれた卵が
伸びた手にほどかれ
すぐに食べられてしまうので
ウサギになれないまま
林檎はずっと
木にぶら下がり
生き物であり続ける
窓のように
仕切られた部屋の
それぞれに
....
液晶ヴィジョンで見かけた
クロコダイルが連れてきた幻想
半分のビート
半分の鼓動
無造作に
床に転がる
フェィドアウトの速度
むやみにシャットダウンすんなよ
明日の為に少し ....
恋には形があるからさ
だから、つくれるしさ
だから、こわれるしさ
卒業すれど、何も得ていないわたくしに、どうか教えを乞う事をお許しください
さすれば、三月の風に靡く、このセーラーの紺色の襟も、羽ばたける事ができるかもしれません
先生、不得手のモノは沢山です
....
さわられると
そこからかたちになってゆくような心持ちがしました
口をつけられると
そこから血がめぐるような
はげしさは
はるか向こうでゆれる波でした
ことばは
ばらばらに砕ける音 ....
染みったれた 思い出に
縛られるのは 嫌で
今さっき 着いた
染みの付いたシャツを
思い切り 脱ぎ捨てて
冷水で 洗った
さっき 大根の代わりに擦った
指の傷は
未だ ....
パイプ椅子に
かけた内臓ちゃんに
電気信号を送ると
おならした。
その臭いは一万
光年で四隅に届く。
もち、わたしの鼻の
穴がきみのよりも
ちょっとでかい
か ....
茫洋として
時間が止まると
爪をみている
視界に映る景色は
脱色して垂れ下がり
行き詰った欲望が
ただ一点を渇望しはじめる
空腹だからではない
意識の ....
猫が捕ってきた雀
小さな小さな仔雀
誇らしげに口に銜えて来た時にはもう事切れていて
首なんて明後日の方向へ曲がっていた
のろまな猫に捕まっちまうなんて
きっと飛ぶのが下手だったん ....
夢から覚めると
午後は陽炎の中 寡黙に佇んでいた
翻る あなたの影だけが冷たい魚
見も知らぬ者同士 これが
いつかの夢ではないと言えるでしょうか
ひび割れた心象が決壊する時
....
町にゆくときにてきとうな履物をつっかけるのは、すてき。
缶蹴りをして、雨蛙が、デルモンテのあき缶から、目をまわし、それからくるると、とびでてきて、ふりかえると、かんちゃん、紫陽花の石 ....
しあわせなひとは
はなれていても
よりそいあえるひと
わたしのなかの
皮のような
息をしない
過ぎていったふるい ....
愛するものに あらんかぎりの表現をあたえるために
図書館はある
道の途中で
トンビがピープルって 巻き舌ぎみに 私を呼ぶ
鳥に言われるまでもなく 私は人間さ
書物のよさ ....
例えば
渋谷のセンター街でうんこ座りしている若者を
通行の妨げになるからと追い立てるのは仕方ない
がしかしモラルを問うのは的外れである
何故なら
アルツハイマーのじじいなどは衆人環視で「本物 ....
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