疲れ果てて目が覚めたのは
眠っている間によほど遠いところまで旅してきたからかもしれない

虚脱した魂を空っぽの器に見立て
ピクニックのお弁当のように
ひと品 ひと品 飾り切りして詰めていく
 ....
やさしさの欠片

寂しさの砂粒

埃みたいに舞っている虚しさ

悲しみや哀しみは
雨粒

海の匂い
塩を含む砂浜

水平線に浮かぶ漁船
水平線に沈む夕日

山頂に昇る朝日 ....
僕のぽけっとの紙片には
最新のもっとも無駄な解答が記されている

人生に必要なものの殆どが木箱にしまわれて
博物館の収蔵庫の奥深くにおさめられているとしたら

菫や蓬の花のように路傍にさり ....
毎朝 死にながら生きているような
生きながら死んでいるような 
憑いているような

毎朝 この感覚をしかり舌で味わっている

帰りたいと気安く表現などしたくない

この悪戦苦闘の肉眼を ....
二〇一六年六月一日 「隣の部屋の男たち」


 お隣。男同士で住んでらっしゃるのだけれど、会話がゲイじゃないのだ。なんなのだろう。二人で部屋代を折半する節約家だろうか。香港だったか、台湾では、同 ....
鏡を覗いたら顔が写った
誰かと思ったら自分だった

鏡を嫌ってたから
滅多に覗かない私は
よく自分の顔を忘れてしまう

だけど
他人の目の鏡には私の間抜けな顔が写って
しまうのだ
 ....
猫のように見上げる
空のまだらを
鳥に擬態した
ひとつの叫びが
紙のように顔もなく
虚空をかきむしる

骨の海から引き揚げた
もつれた糸のかたまりを
自分の鼓膜にしか響かない声を持つ ....
子供の頃
隣家の製麺工場は水車が動力源だった
製麺工場は夫婦だけで営まれていた小さな工場

水は川から引かれていた
私の産まれ育った家は貧相で粗末な藁葺屋根の家だった
家の僅かな庭の前には ....
夜中に目が覚め
女の寝息を聞いて
自分が生きていることを知る

「眠りが唯一の幸福だ」
女の言葉が過る

死が永遠の眠りだとして
それを厭う理由はなんだ?

眠りと眠りの間を埋める ....
 かの女は夢の隠語
 かの女は愛の代名詞
 そしてくずかかったおれを見棄ててしまう、
 見殺してしまうなにかだよ、「ユカコ」
 バウハウスの故郷の果てで摘み取った林檎が、
 葡萄でなかっ ....
 高台から遠浅の浜を眺めると波の照り返しには目が眩む。
鰯の群れを追いかけて飛沫をあげるスナメリが、
                    ハセイルカの一団を連れてやって来た。
小屋の喜三 ....
二〇一六年五月一日 「叛逆航路」


 お昼から夕方まで、『The Wasteless Land.』の決定版の編集を大谷良太くんとしていて、そして、大谷くんと韓国料理店に行って、居酒屋に行って、 ....
子供たち

遊ぶ
白い獣、
むき出しの


ビスケット
緩やかな陽射し、
庭の歓声、
他愛ない時の流れの
そのひとこまに、
静止した
笑みは
遠い空に消え

たち ....
水面をうねり進むのは
中州と呼ばれているものだ
息継ぎもなく川を這う

その背で
菜花の黄が
もえている

微かにひかる

ガラス片
あれは
人の手から
逃れて
中州の鱗に ....
曖昧な
真の時空に咲くエバァと小鳥
 ひっそり想い出かたり

狐と狸
蕎麦屋うどん屋に鎮座する
鳶と猫の視線を意識して

雨上がり
ボラは唐突に跳躍をはじめる
これ見よがしに

 ....
(Q.きりんはくびがだいたいどれくらい
のびるんですか?)

私は街の雑踏のなかのきりんを見たことがある
長い首で歩いているだけで、窓を覗いていると言われ
足下がおろそかになり、ひとにぶつ ....
哺乳瓶を手放した甥っ子が
コップに注いだリンゴジュースを飲み干した。

父に手を合わせ
今すぐにでも伝えなくてはならない。

病院の待合室
「いつか、孫と一緒に飲めたらいいね。」と
願 ....
14歳の頃 心から信じていた先生が言った
「今の君には無限の可能性がある」
「でも君がそのうちの1パーセントの可能性を選択した瞬間に、残りの99パーセントを失うことになるのだ」と
それは冷酷な  ....
二〇一六年四月一日 「愛のある生」


愛のある生

それが、ぼくのテーマだ。

「生」とは
いのちの輝きのことだ。

しかし、嘘は、すばらしい。
人生を生き生きとしたもの ....
夫が「コロナ感染者濃厚接触者」になって帰宅した

お相手とお互いマスクはしていたけれど
数時間対面で事情を聞いていたので
後からわかったのだけれど
「コロナ感染者」との濃厚接触者と認定された ....
 どこにでもいる野豚
 愛されているようだ
 とてもまるまるとした体
 分厚くて堅牢な肉の張り
 つややかな桃色の毛並み
 支える四肢の尖るつま先
 飛び出た大砲の黒い鼻先
 与えら ....
そうだ! ポットに注いだまま忘れていたお湯がすっかり冷めきって
、中でおたまじゃくしが泳いでいても僕は気絶まではしないだろうね。       どちらかが死んでる雲母(きらら)
変なこと。 それ ....
{引用=不実日和}
声は裂ける傘のよう
いつかの夏を絞りながら
蜜蜂の愛撫に
義眼を転がして
女の雨脚は
蜥蜴たちの抱擁をほどく
鞄の中で犯された
天使の羽根が舞う丘
青い爪を持たな ....
竪琴がある。
竪琴とは複雑なあなたとわたしと、それから春の優しい鳥と。

風がある。
なぜ、風が惑星の{ルビ裳裾=もすそ}をかゆそうに笑いながら縦走するかは、誰にもわからない。

竪琴を納 ....
二〇一六年三月一日 「ブロッコリー」


いま、阪急西院駅の前のビルに自転車をとめたら
めっちゃタイプの男の子が近づいてきて
わ~
さいきん、ぼく、めっちゃ、もてるわ~
ってなこと ....
旅先などで撮った
二人で映る写真

ポジティブな想いしかない
愛し合っている証拠しかない
眩しいぐらい輝く写真

数々の想い出は色濃い
色褪せることはない

旅先で喧嘩しても
些 ....
降り続ける雨に
深く
深く秘められた瞳

まだ夜明け前に

音もなく迫り来る
もの
群れをなし
閉じられ、見開かれ
保たれ、放たれ
瑪瑙のように
深く渦巻き
浮き上がる

 ....
● (曙)


薄暗い部屋の中
光のはしごがすうっとかけられ
それは
雨戸の隙間から漏れていて
僕はふとんから起き出て
手を翳した
掴むことはできない
ああ それでも
光に触れ ....
ちょっと寂しいけれど熱っぽい宇宙
ワンダークールな時間の始原をゆめみる

いつも隙間だけで君を愛せたのだろうか
それともそれはただの幻想だったの

いつも反論がむなしいように
そのひとが ....
見慣れた風景に
「私」を当てて直線を引いた
直線はそのまま霞む山陰に沈んだ
屈曲する田んぼの畦道
わだかまる晩春の光線

 ときおり風は
 定規を重ねたように
 直角に地上へと吹き降り ....
宣井龍人さんのおすすめリスト(2595)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
朝のうた- Lucy自由詩421-5-27
やさしさの欠片- こたきひ ...自由詩321-5-27
ゆっくりと解凍する日々のうた- 梅昆布茶自由詩1321-5-25
憑いてる貴様- 朝焼彩茜 ...自由詩421-5-24
詩の日めくり_二〇一六年六月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩13*21-5-24
愚か者に喝采を- こたきひ ...自由詩521-5-23
安息日に詩を書くことは許されるか- ただのみ ...自由詩10*21-5-22
からからと回る風車- こたきひ ...自由詩521-5-22
睡眠導入剤が足りない- 花形新次自由詩321-5-20
tell_me,_bedtime_story- 中田満帆自由詩421-5-17
底のない浜から- アラガイ ...自由詩12*21-5-17
詩の日めくり_二〇一六年五月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩13*21-5-17
残光- atsuchan69自由詩7*21-5-15
どこまでも春の日- 帆場蔵人自由詩421-5-15
壁を叩いた提督- 足立らど ...自由詩5*21-5-14
きりんのかそう- 帆場蔵人自由詩421-5-13
近状報告__- 梓ゆい自由詩321-5-12
空の扉- Lucy自由詩12*21-5-11
詩の日めくり_二〇一六年四月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩14*21-5-10
「コロナ感染者濃厚接触者」ですって- 鵜飼千代 ...自由詩20*21-5-10
ももこ- 津煙保存自由詩5*21-5-10
もののふは転た寝を拒んで- アラガイ ...自由詩3*21-4-26
愚の原石- ただのみ ...自由詩4*21-4-25
ネノラク- 道草次郎自由詩321-4-24
詩の日めくり_二〇一六年三月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩14*21-4-24
写真に映る二人- 夏川ゆう自由詩321-4-23
春の残酷- ひだかた ...自由詩421-4-21
よっつの梯子- AB(な ...自由詩8*21-4-20
うた- 梅昆布茶自由詩1521-4-20
朝を行くか- オイタル自由詩3*21-4-19

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