僕達は小さな距離のなかでひしめき合っていて
森の木のみえない生き物なのだ
下ばえのひんやりとした塊の世界で緩慢に
じぶんにつまずいてゆく愚か者なのだ
僕たちの祖先は宇宙の果てから流れ着 ....
おばあちゃんが言った
ふりかえっちゃいけないよ
茄子の牛に乗って空へ帰る人たちを
見てはいけないと言った
だってさみしくなるだろう
送る方も
送られる方も、さ
藁を燃やして送 ....
生きるってめんどうくさいことだらけだし
案外つまらないですね。
スピーカーから。
メイコさんは、カップを、割れた手で。
お母さん、とても若いですね。
信号機は、黄色だと、とてもき ....
ときおり四つんばいになってみる
なにか思い出すかしらんと
きしきしからだが鳴く
ないはずのしっぽがふるえる
あたしってちっぽけだにゃん
まわりがとても大きく見えて
痛んでくる腕 ....
君に愛されるためには
不幸でなければならない
孤独とは売り物であり
知恵である
君の目に留まるよう
わたしはわたしの孤独を売る
君の視線を盗もうと
ああ 今日 ....
ぼくはただもう
汗をかいて生きよう
排ガスさえ流れてこないよ
よどんで静止する空気のなか
一瞬!の風を
ヨットの帆のよう
全しんをぱんと張って受けている
止まっては溶けつつ
ひたす ....
孤独じゃないと感じてる
孤独じゃないと案じてる
二人でぐっすり眠りたい
月あかりだけ浴びながら
青いツラの皮うかんでる
きのうの戦争銀メダル
世界で何位なら満足 ....
現実が見えない速度で流れゆく
見えずとも流れゆくのは
時間と河の佇まい
喉を切り裂く
その 刹那
声にならない
悲鳴と絶望の渦の中に
また 流されてゆく
小さな小さな ただ
....
女王のおうちの前をかつての奴隷達が疾走していく
そういえば二十数年も前のことだったかなぁ
三輪車に夢中だった孫の
遊び相手をしながら
公園の勾配がある芝生の上に腰をおろし
それは それは 楽しいひととき と
ためらはずにお ....
色々な事を空しいと感じながら
僕たちは死んで行くだろう
あれほど楽しかった思い出も
あれほど悲しかった思い出も みんな
自分の見につかなかった 誰か
他人の経験のように感じながら
みんなが ....
そしてこうしている間にも
つづられる一日のわずかを呼吸して
たとえば
「なのでした」という過去や
「なのです」といういまや
「なのでしょう」という未来に
静かに耳を傾けて
どうし ....
120801
根抵当権を掘り出しては日に曝し乾かして燃料とするのだとよく分からないことをおっしゃるあなたはのの字を掌に書き飲むふりをする
同じことをしま ....
心臓も歌う
幾筋もの光のもとの
Tシャツを洗う
胸に剥いた
雨の運ぶ
誰のでもない額は
手のひらにすべる
きみは歌う
仙人掌になりたい
心臓も歌う
でも今日ではない
や ....
どんな窓にこんな猫がいるのだろう
忘れもしない通った白い家の窓辺で
まどろむ幸せが充ち満ちて
目を覚まさないようにと
やさしく襟元に、毛布を寄せてくれる手は
だれのものなのだろう
いつ ....
あのお船は
あんなところに
ぼーっとして
いったいなにを考えているのかしら
休むなんて(ずるい!)
見ていなさい
今に 海から落っこちるんだから
....
あなたの狭い部屋の
ヤニ臭いキスと
ヤニ臭い枕
抱きしめられるたび
ごんごんと揺れる古いギター
それは嫌い
私のしかめ面に
気づかない ....
ストロンチウム90が10都県で検出されている
セシウムと比べ微量だと言われていたストロンチウムが、だ
鉄よりも重いから飛散しにくいと言われていたストロンチウムが、だ
半減期は約30年 ....
夕焼けは葡萄酒
そしてウミネコたちは翼を広げる
水平線、
海と太陽が
昼と夜を描き分けるその場所で
羽ばたきは燃える
わたしの視力が
永遠に追いつけないその場所で
世界の一部始 ....
「素因はたぶん、耳ね」
おまけに、抜け落ちる髪と繋がっている緩んだ肉体は耳のためにあるらしく
耳の熱を冷まして寝ないと
ふとんに泌み込む塩素にわたしの夜を知られてしまう
「結果はたぶん、口ね ....
a,
波打ち際にしゃがみこんで
砂浜にいくつも円を描く
白いスカートの裾は
潮にひたひた濡れて揺れて
手の甲に透けた
青い筋がきゅっと強張る
最初の晩から此処へ来て
明日には帰 ....
夜間高速
肘から先の宇宙は
少年時代に繋がっていて
綿菓子みたいな青春が
笑顔で僕を待ってる
螢
てらてらと鳴いている
光は人の絆を蝕む
川に小舟を浮かべるよう
やさしく空へ ....
{引用=
少女はあしあとをのこさなかった、水はけのわるい雨にゆるんだ
校庭をあるくときも、また、うすく雪のつもった歩道のうえをあ
るくときにも、わたしは彼女に聞いてみたことがある、それって
....
僕のいない朝は
かすかな風の音のように、
「わたしは決して幸せを含んだ思ひに出遭ふとは考へてゐなかつたけれど」
予感する酵素
僕のいない朝は
「空しくわけようとするぼくたちのまなこが繋がれて ....
自由がない
手を上げるにも
足を上げるにも
許しがなければ
ご主人がいなければ
死んだも同然
取り上げて
構って貰えないと
ご主人の喜ぶように
滑稽に
笑いの為に
運命の ....
生まれたての赤ん坊が
声を殺して泣いていた
夕陽を追いかけている内に
海に沈んでもがいていた子供
狭いハコの中の更に狭い監獄で
ひしめき合って窒息した中学生
本来なら真っ白のキ ....
おれの才能はただひとつ
きみをほんとうに好き、と
死んじまってからでも言えること。
玄関の横の向日葵の鉢植えの横で
腹筋しながら光っているのはホタル。
奴が男でも女でもどうでもいい ....
音楽が僕達を奏でる
詩人が世界を創造し
画家が世界を色づけし
僕達の意志が宇宙を膨張させる
科学はよくできた物差しにすぎない
だが、その物差しもまた
世界の拡張に一役買っているのだが
人 ....
テーブルから目を離した隙にこぼしてしまった
グラスに良く映っていた星座たちは大丈夫だろうか
せめて開けた窓に都合よく張り付いた夜は
換気するたびにぴらりと剥がれてしまっていた
洗いたてのシ ....
60年代末のベトナムのジャングルで
月を見上げながらたばこをふかす高校でたての若い兵士
シンプルでストレートでノリのいい曲の背景に
時代の絶望をぶらさげてラジオから流れていたCCR
....
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