雪の花
水菜

真っ白な雪に身体を持って行かれました
風が小雪を連れてきて
痛いくらいの氷の粒が頬に張り付きます
習い始めたお稽古事は、叱られてばかり
慣れないお琴で指を弾いて
痣だらけの手を氷水で浸して
御池の鯉は、凍りつかないのかしら
小雪の中優雅に肩巾を靡かせて
初めて姉と慕ったその人はとても優雅で優しい人
袖を通したお着物に慣れた頃には
ーの芸者になっているでしょうと
風のように時が過ぎて灰色そらには戦闘機
赤い糸が転がっているわけなくて
きっとこの雪に埋もれてしまいました
幼い頃の痣と一緒に
氷水に浸して消えてしまいました


自由詩 雪の花 Copyright 水菜 2016-12-07 03:15:49
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