真夏の鳥取砂丘には
ただ一本の樹さえなく
にぎわう人と数頭のらくだの黒い影を
その茶色の肌にゆらしていた

運動靴を履いてきたけれど
砂に足をとられて歩きにくい
切れる息
額から滴る汗 ....
   晩秋の頃
   血を吐くように
   楓は赫く染まる
   握り拳ほどの肉塊
   女は躯に楓を孕んだ
   命の蘇生
   輪廻転生する魂
   春になれば
    ....
なぎさでさわぐ波濤のように
名前まけする 小公園の
こだちがざわめく 晩秋 に
卒寿となった おひとりさまは
もっぱら せまりくる
おのが身の陰影(かげ)に追われる
甲高い鳥のさえずりと
 ....
鬱でも病気でも何でもなく、
光に黒い陰が差すように
平静のうちにそれを抱え、
にこにこと笑ううちにそれを抱え、
その図体に溜め息を吐き、
手綱を握り、
時に小路を諦め、
時に重さに泣きな ....
差し障りある表現か秋の雲 嫁見ると嘘発見器の針揺れるあした天気になりますように 上水の川のほとりの桜水食堂
銀だらの照焼の匂いがする厨房から出てきた
おかっぱ頭の彼女は紅い鼻緒の下駄を鳴らし
橋のたもとのオレンヂ色の街灯を灯す

近くの洋館に咲くタイサンボクが薫る街の角 ....
最近 気になる 乙女を見かけた
木に成っている 訳ではないが
白い肌は 美しい
芳しさが 届く程 近寄れなかった日々

棘のような 細かな葉先
切っ先 鋭い 捨て台詞で
笑い飛ば ....
継ぎ目もなくすきとおる
うしろすがたのような青
とおくからきた風がとおくへとぬけていき
休日のざわめきや
かすかにひびく水音や
何重奏もの葉擦れを
はこんでいく

ふと見る枝に
リボ ....
聴いたことない言葉でも流行語 両端が見えないほど長い橋の上
ひとつの影が立っている
呼びかけても応えない
近づいても近づいても近づかない


夜の左脚のしびれから
次々に飛び立つ火の鴉
水たまりの波 ....
朝、駐車場の前に
犬の糞が落ちていた
私は舌打ちをして
それをテッシュに包んで
ゴミ箱へ捨てた

二日後、駐車場の前に
また犬の糞が落ちていた
私は憤慨し殺虫剤を撒き散らし
水を入れ ....
                ――D.K.へ

君は静かに「消えていった」。君は「消えていった」という言葉を望むだろう。だが私はこう思うのだ――君は「殺された」と。そして君を殺したものに、僕 ....
いつだったか私の境目に幸せの文字が消えていた
探しもしないまま周りだけ時間が経ち 取り残されている私
孤独なのは破滅だけではないけどなぜか
空を見上げてさみしさを紛らわして遊んだのは 満月の夜
 ....
 私の窓辺に晩秋の風がやってくる。
 あの山の麓の村にもそれは訪れただろうか。
 恋しくてたまらない。
 我が半身は今どこを旅しているのだろう。

 想像の翼を広げてみれば新たな地図が必要ら ....
築十八年になる
カステラハウスと呼ばれる
小さな三階建ての家に住んでいる
毎週日曜日になると
潔癖症の夫と二人で掃除をする

掃除機を抱えて 嬉々と
バトルスーツをきた戦士のように
家 ....
 夜明け前、小高い丘に登りあなたを待つ。
 眼下に広がる平野に家々の喧騒はまだない。
 はるか彼方を南アルプスの山々が連なっている。
 あなたは今日誰の詩集を持ってくるのだろうか。

 あな ....
スクール水着にしてるのは 萌えるから燃えるから
              o         °
学生時代からスタイル変わってない
             °        °   ° ....
指を折って数えて間違えている 『夕暮れ』

寂しいと呟けば
誰かが
肩を抱いてくれそうな
そんな
秋の夕暮れに


『曼珠沙華』

野辺の道に咲く
真っ赤な曼珠沙華が
やけに扇情的で
まるで娼婦のようだ ....
   近くの神社で節分祭がある為
   実家では父の職場の人たちや知り合いが
   やってくる
   私も久々に実家に帰って
   お酌なんてしたりして

   夜
   ....
パクリパクリ

月は太陽のパクリ

チンパンジーは人間のパクリ

ナポレオンはいいちこのパクリ

エジソンはドクター中松のパクリ

モーツァルトはキダタローのパクリ

パクリパ ....
人は
なんどころんだら
上手に歩けるようになるのだろう
人は
なんどないたら
上手に笑えるようになるのだろう

だいじょうぶだよ
まるでごむまりのように
やわらかいきみをだきしめる
 ....
ふと 空を見上げると
蒼かったのだと気づく
鼓動も、息も、体温も
みなすべて、海鳥たちの舞う、上方へと回遊している

ふりかえると二つの痕がずっと続いている
一歩づつおもいを埋め込むように ....
地上からほかのどこかに通じる
風通しの良い扉が一斉に閉じると
秋の始まりだ
秋は閉ざされながら熟していく
密度の高まった空気と光と音楽
みな緩やかに撹拌され混ざり合いながら
ひ ....
夫と言い合いになった日の深夜
冷蔵庫の前に這いつくばって
冷たい床に雑巾で輪を描いた
何度も何度も同じ輪郭を辿って
ただ一心不乱にひとつの輪を描いた

怖い顔で子供を見送ってしまった朝は
 ....
ひきちぎられたこころたちが
あきのてんじょうを
およいでいる

うめつくされて
ひしめいている
ちいさないきもののように
おびえながら
むれている

ねてもさめても
どこへにげて ....
ぷろろん ぱろろん
ぽろらん むろらん

どんな音にしたら
聴衆が どよめくだろうかと
本気で考えて

鍵盤の上で 眠ったモノクロ
猫が行き過ぎる街
音が粋すぎるマチが合わな ....
一匹の青むしが
道路を横断している
ゆっくりと
ゆっくりと
(小さな青虫だから)
這っていく

きっと
道路を渡りきってしまう前に
あの青むしは
車に轢かれてしまうだろう

そ ....
私という不在は
どこまでも低みを目指している
熱に満ちた小さな楔です
歴史の大きな体躯のうちへ
群衆の相対化の波のうちへ
潜り込んで埋もれていく
人の目も陽射しも届かない
慢 ....
宣井龍人さんのおすすめリスト(2611)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
すなやま- そらの珊 ...自由詩15*15-11-19
【_楓_】- 泡沫恋歌自由詩17*15-11-18
芥子色の北風(四)- 信天翁自由詩415-11-18
虚無- あなろぐ ...自由詩215-11-18
差し障りある表現か秋の雲- 北大路京 ...俳句215-11-18
嫁見ると嘘発見器の針揺れるあした天気になりますように- 北大路京 ...短歌515-11-18
- レタス自由詩6*15-11-17
高砂百合(たかさごゆり)- 藤鈴呼自由詩3*15-11-17
「むすぶ」- 小夜自由詩415-11-17
聴いたことない言葉でも流行語- 北大路京 ...川柳315-11-16
夜の真昼- 木立 悟自由詩615-11-16
【_犬の糞_】- 泡沫恋歌自由詩12*15-11-14
未来- 葉leaf自由詩415-11-12
水たまりの夜- 岸かの子 ...自由詩5*15-11-9
ため息ひとつ- ヒヤシン ...自由詩13*15-11-7
【_払拭_】- 泡沫恋歌自由詩28*15-10-21
先生へ- ヒヤシン ...自由詩6*15-10-17
潜る- 北大路京 ...自由詩2115-10-15
指を折って数えて間違えている- 北大路京 ...自由詩1815-10-13
【_秋_三詩_】- 泡沫恋歌自由詩16*15-10-13
スイート・スイップ- 崎山郁自由詩315-10-3
パクリパクリ- 北大路京 ...自由詩1015-10-3
ごむまり- そらの珊 ...自由詩1715-10-2
秋の詩篇- 山人自由詩6*15-10-2
愁思- 葉leaf自由詩615-10-1
磨くという行為- 夏美かを ...自由詩47*15-10-1
不慮の詩- そらの珊 ...自由詩21+*15-10-1
そら・まめ子さん- 藤鈴呼自由詩3*15-9-30
【_青むし_】- 泡沫恋歌自由詩24*15-9-29
まえがき- 葉leaf自由詩415-9-26

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