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余命半年の神様が背中に憑いている
あなたは上等な木の椅子を買ってきて
部屋の窓辺に置く
神様は名残惜しげにあなたの背を降りて
椅子に座り深くお辞儀する
昼間はいつも窓の外を見ていた
夜 ....
スーツケースに引出物を乗せて
川沿いを押して歩く
息が上がってマスクを外す
他に誰もいないから

小高い丘に時計台が見える
高2から一年半
電車通学のあなたを送って上った坂
町の中 ....
娘の手帳に、平和になりたいと書いてあった
忙しい生活の31日の隣に小さく

彼女はもう
眠ってしまったのかもしれない

冷めたコーヒーと乾いたマフィンが
ずっと手つかずのまま

 ....
防波堤に待雪草が咲いていた
みぞれまじりの波風の下
錆びた自転車をとめて
老人が釣り糸を垂れている

釣れなければいい
そんな素振りでリールを巻き
また投げる

そして海に沈んで ....
あなたからの援助で
私は生活してた
自分で働いたお金は貯金し
大事に仕舞った
あなたの援助は
途切れることなく続き
あなたは私の人生を作ってくれた

大病を患ったあなたに
預金を解約 ....
数年前は
誰かが私を
語ってくれた
私の歌を
歌ってくれた
けれど長く生きたせいか
今はそれも
少なくなった

私が私の
物語を語るときがきた
私の歌を
歌うときがきた

 ....
きみは髪留めをもらった
母からの誕生日プレゼントだった
青と赤のガラスを
茶色のゴムがつないで
ゆらせばカチカチと
きれいな音がした

きみは毎日それを
学校につけていった
アメリカ ....
きみが跳ねると
青と赤のガラス玉が
ぶつかって
カチカチと音をたてた
秋からこっち
そのままの
藻のプールの水面を
ギーチョンが滑っていく
ほら
音楽室の窓から
ツバメが

透 ....
エンジンを切り 翼を風にのせた
吸気口を閉じて
機体を上昇気流に入れる

サンドウィッチを
縦に食べるような奴だった
トマトを抜いて・・

昔よくこうして飛んだよな と
風防が揺れる ....
学校から帰ると
テーブルにロールケーキが
ふたつ並んでいて
チョコレートとバナナクリームの
2種類があって
わたしは弟に先に選ばせた
今日みた夢の中の
同じ風景は
すこしだけ大人になっ ....
春を追いこして夏のような
日射しを避けて
市内の茶屋で
みたらし団子を食べながら
足下の干涸らびた蛙に
水をもらってかけてやると
おどろいてちょっと跳ね
またノシノシと戻ってきた
残り ....
河の流れはだんだん速くなって
海が近いことを知らせていた
私たちはクロコダイルの肉を
焚き火にかざしながら
今後のことを相談し話し合った
火に砂をかけ辺りを闇に返すと
星たちがそれを奪い合 ....
玄関先に
雪が積もってた
足跡をつけないように
外へ出た
銀色の球体を遠巻きにして
心臓のない子供たちが
エネルギーを待ちながら
停止していた
人間を圧縮すると
すごく小さくなるんだよ
と聞かされたとき
彼女は宇宙を感じた

人間を材質に分解すると
10ドルにもならないと知ったとき
なぜか
アンドロメダのことを考えた

愛 ....
古く錆びれた配管の中で
ライトを咥えて屈みこんでいる
作業服に目出し帽、ジーンズの尻は破れ
左手で右手を押さえている
くそったれな血め・・
鍋つかみだってなんだっていいからしておくべきだった ....
わたしが泣き出すと
姉は自分の手のひらにエノキさんを描いて
「もう泣きやみな」と言った
エノキさんは森の木こりだった

中学にあがったとき
両手にマニキュアを塗ってくれた
わたしは水色の ....
ミシガン

叔父がテーブルのオレンジを
見つめたまま
わたしに話しかける
「種のない実をつける木を見たことがあるか?」

わたしは首をふる
気の利いた答えを
期待されてるわけではない ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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