真夜中のブレーメン
うわの空。


 
窓の外の、
引力や生き物の息遣いから生まれる
有機質の、音を
ラヂオの代わりに耳にいれる

いくつかの後悔や
選択の不安さに沿うように、して
またグラスの氷が揺れる



おんな、は
ひとりで酔わないと
ブレーメンを待てない


身体中に染み込まされ
わたしの血管を這い廻る
獣の一団は
それぞれの楽器を奏で
ひとつの長い走馬灯、を見せる


喪わずに、得て
盗んだ分だけ、壊されたい
それは、すべて
辻褄をあわせるため


結局は泥棒だから、
どんな形の
扉をも開けてしまう

明け渡す準備など
要らないくらいに
滑らかな恍惚





自由詩 真夜中のブレーメン Copyright うわの空。 2016-05-05 00:31:05
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