ゴミラの消失
佐々宝砂

ゴミラは疲れてしまった。
うつむいて
とぼとぼと茶色い海辺をあるいた。

テトラポットが陽気な声で
「あたしはゴミじゃないわよ」と言った。
でもゴミラは知っていた、
テトラポットはゴミラの眷属だ。

ゴミラはやる気満々で生まれてきたのだ、
東京タワーを壊さなくちゃとおもった、
国会議事堂も壊さなくちゃとおもった、
だけど東京タワーはゴミだったし、
国会はゴミラよりゴミらしいモノでいっぱいだった。

ゴミラはなにをしたらいいかわからない。
砂浜にしゃがみこんで
涙しながら
きぐるみを脱いだ。

なかから出てきた裸のなにかが
ゴミなのかそうでないのか、
私は知らない。

ともあれゴミラはもういないのである。


自由詩 ゴミラの消失 Copyright 佐々宝砂 2003-09-11 03:28:26
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