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いつか森のいちぶだったもの
小鳥をすまわせ
そのうたに耳をかたむけていたもの
みどりの葉をめぶかせ
ゆびさきは空へとむかう
よるになれば流れる星のゆくえを占ったもの
むささびの発射台になっ ....
そろそろと人間が影絵になる頃
通い路の柳がそのうでを
わたしのほうへ
やさしくのばす
はらっても
はらっても
しなやかなそのうでは
あきらめることがない
からめとられたら
わたしも
 ....
 good day

明るい雨がさらってゆく
うしろむきの心
光をこぼしあう緑の葉はさざめき
笑う
傘なんかいらないじゃん、と


 梅雨明けはまだ先

飛行機がゆく音は
雷鳴 ....
図書館へ続く石の階段
日陰には
きのうの命がただよっている
雨ののち
ひごとに深くする手鞠花の青
カタツムリは絶滅したんだろうか
遠い子守唄
世界に向けて閉じられた手提げの中はやすらかに ....
もうすぐ花火がはじまるぞ、と
キミが誘うから
ボクは藻の家から出た
どんよりした空を見上げる
まもなく雨粒が落ちてきて
はじけて円を描いて消えた
ひとつ、ふたつ、みっつ、
数えられたのは ....
 もやぐ朝 

夜が朽ちて
朝が生まれる
霧に覆われた街は
港へと変わる
赤い太陽は
無音の出港の合図

けれど想い出は
いつでも切ない
胸に
錨をおろしたまま


 さ ....
ボーカルのテンコは機嫌が悪い。
向かい合わせの椅子に座った彼女はだんまりを決め込み、ウミネコみたいな目つきでひたすらもつ鍋を食っている。
今日のライブで声の調子が今ひとつだったこととか
取材にや ....
朝は曇っていたけれど
天気予報を信じて洗濯した
どうせ一日では乾かない
束の間の外干し

冬生まれの子はよくミルクを吐いて
深夜に洗濯機を回したものだった
洗濯物はいつでもエアコンで部屋 ....
一日がこぼれゆこうとしている
どこへ
だれの手によって
疑問符は
フェイクファーのふかふかの中で
あくびを噛み殺して
目を閉じる
ここはやがて誰の手も届かない場所になる

別府湾を切 ....
もうひとつの夜の街が動き出す
灯火はみな偽蛍
背筋を伸ばした猫は
糸を池に垂らしてザリガニを釣り
夢遊病者たちは公園に集い
おとがいを比べ合う
看板描きの落としていった
無邪気な絵筆は
 ....
夏の水の力を借りて
包丁を研ぐ
冷たい石の周りで
世界は沸騰し騒騒しい
蝉は
悲しみを
果てまで
追い詰めて鳴く

時折
人差し指で
刃に触れて確かめる
すり減りながら
鈍色 ....
たどたどしい指が生み出す
バッハのプレリュードを
小さな鉢植えに収まったサボテンだけが
棘をかたむけて聴いている

他の観葉植物は枯れて
手元に残ったそれは
巣立っていった息子が置いてい ....
雨の気配を感じて手のひらを空へ差し出す

つるりとして
なだらかな
わたしの丘に
今日の雨粒が流れたら
くぼ地の枯れた水路が
一瞬よみがえる
かつて
そこへ流して遊んだ
笹の葉や
 ....
虹を作る
その生き物の背中には羽があって
だけどそれは
空を飛ぶためのものじゃないらしい
六月の晴れ間を見つけると
庭にぴょこんととびだして
霧を吹きかけて虹を作る
小さな生き物は
小 ....
空へ空へ
伸びる茎
光を光を
求めて
枝分かれして扇形になった
それは
小さな木々のよう
草はらに
明るい森を成している

海の向こうからやってきて
異国の地に根をおろした
覚 ....
青りんごは自ら枝を手放して
地に落下した
それは手のひらにすっぽり包まれるほど小さく
人が食べ頃だと思うには到底未成熟だった

わたしにもっといい耳があれば
落ちた理由が聴こえたかもしれな ....
 グミ

どうぞ、と差し出された袋のなかには
色とりどりのグミ
お祭りみたいにひしめき合ってる

青いのをひとつ
取り出して
口に入れる前に電球にかざす

ママが言った
海の色を ....
新じゃがいもをたくさんもらったので
ご近所さんにお裾分けした
お返しに、と
果物をいただく

蜜柑のようでちょっと違う
きめ細かいすべっとした黄色い皮は薄く
手でむけそうだ
現れた果実 ....
ほこり
砂粒
いとくず
羽毛
ライ麦パンのかけら
消しゴムのかす
書き損じた紙くず
こぼしたミルクの薄い被膜
三日月の形の爪
開くことなく死んだシンビジウムの黄色の蕾
裁縫の針の銀 ....
柘榴をお目当てにやってくるヒタキは
ながら、の達人
羽ばたきながら実をついばむ
秋を経て
冬へと持ち越され
艶を無くし
死んだようになったその実は
つつかれて
したたるようなルビー色の ....
信号待ちをしていたら
横断歩道を渡っていく
誰かが捨てたビニール袋が
その足をアスファルトにつけたまま
滑るように
ゆっくりと

信号が青に変わる直前
ビニール袋は渡り終えて
私は
 ....
初冬の光は
ちょっとあたたかで優しい

川のほとりで
すすきが日光浴している

若いすすきは
つややかな穂先をしならせて
本当の冬を迎えうつにあたり
どう生きていこうかって
ささや ....
東の国の光が
樹々のさやさやに濾過されて
薄いカーテンにまるく形作られる

あれらは宇宙から帰ってきた魂
風が吹くたび
わずらいから放たれて踊ってみせる

おばあちゃんのことで覚えてい ....
何かおかしいと思うことのひとつは
庭の紫陽花のことだった
八月を迎えても その子たちは
いまだつぼみのままである
長すぎた梅雨のせいで
ウエハースはたちまち湿気り
紫陽花は許容力をはるかに ....
降り始めたちいさな雨粒を
ひとつひとつ
こぶしで撃っていく

敵のいない闘い
ボクサーのロードワーク

撃ちきれない雨粒のなん粒かは
火の玉になり
眼球の中で
また、道々の砂利のす ....
まばゆさに目をとじれば
暗闇となった世界に浮かんだ
円が燃え上がる
そんな遊びを繰り返していた

あれはぶらっくほーる
宇宙への入り口か出口だった

だれもかれもみんなおとなになってし ....
赤い線が
皮膚の上に浮かび上がる
今朝
バラのとげが作った傷が


わたしのからだの中の
赤いこびとたちが
あたふたと
いっせいに傷をめざして
走っていることだろう

猫を飼 ....
通夜のさざなみ

鯛の骨がのどに刺さって
死んでしまうなんてね
或る死の理由が
人の口から口へとささやかれ



悲劇

重力がない世界では
シャボン玉も落ちてはこない
だか ....
 ふたば

冬の午後
水に挿した豆苗を見ていた
光を食べたその植物は
飛べない二枚の羽を
明日へ広げる


 さよなら

星はどこへ還るのだろう
色あせていく夜空
朝の襲来
 ....
深く眠って目覚めた朝のゆびさきは
少しまだ透明がかって
夜が
見えかくれしている

動いている心臓は赤い磁石
覚醒してゆく時間に
わたしのかけらを
元在った場所に吸い寄せて

願っ ....
AB(なかほど)さんのそらの珊瑚さんおすすめリスト(40)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
すなはまで骨をひろう- そらの珊 ...自由詩16*24-12-27
かよいじ- そらの珊 ...自由詩15*24-12-1
氷菓- そらの珊 ...自由詩15*24-6-30
素足にサンダルをはいて- そらの珊 ...自由詩17*24-6-25
メイストーム- そらの珊 ...自由詩12*24-5-15
この世に錨をおろしたまま- そらの珊 ...自由詩15*23-12-29
いつか星になるまで- そらの珊 ...自由詩5*23-12-23
冬日のこころ- そらの珊 ...自由詩8*23-12-20
まがいもの_やがて夜にのまれる- そらの珊 ...自由詩11*23-11-30
よるのぜんまい- そらの珊 ...自由詩10*23-10-10
- そらの珊 ...自由詩13+*23-8-4
夏の日のプレリュード- そらの珊 ...自由詩11*23-7-21
手のひらの丘- そらの珊 ...自由詩19*23-7-12
小さな生き物- そらの珊 ...自由詩9*23-6-28
ヒメジョオンの巷- そらの珊 ...自由詩13*23-6-19
梅雨に捧げる供物として- そらの珊 ...自由詩5*23-6-14
群青- そらの珊 ...自由詩12*23-6-9
到来物- そらの珊 ...自由詩9*23-5-23
あさのゆか- そらの珊 ...自由詩12*23-3-10
小鳥な日々- そらの珊 ...自由詩13*23-2-10
風の朝に- そらの珊 ...自由詩12*22-12-23
日光浴- そらの珊 ...自由詩9*22-12-12
こもれび盆- そらの珊 ...自由詩820-8-15
八月の紫陽花- そらの珊 ...自由詩14*20-8-7
ボクサーと燃えたカエル- そらの珊 ...自由詩13*20-7-4
ぶらっくほーる遊び- そらの珊 ...自由詩1819-4-11
猫とバラ- そらの珊 ...自由詩25*18-9-19
ふたつつむじのゆくえ- そらの珊 ...自由詩19*18-5-26
のびていく豆苗の先はどれも、ふたば- そらの珊 ...自由詩16*18-2-7
新しい年- そらの珊 ...自由詩20*18-1-4

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