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渡り鳥が旅立つ
渡り鳥の目の中で
僕は故郷を目指す
故郷などもうないのに

日が暮れる
眼下の家々に明かりが灯る
かつて僕の家だったあたりも
他人のように冷たく光っている
 ....
出会い頭の事故というのがある
この狭い家にも

トイレのドアを開けると
出会い頭の事故にあう

風呂に入ろうとして
ドアを開けると
その人はいつもそこにいる

襖を開け ....
 
 
昔、秋田の実家を出て、仙台で暮らしはじめた時に、父が大切にしていたラジカセを、私にくれた。
私は、父のラジカセを、しばらく使っていたけれど、CDプレイヤーもついてなかったので、時代の流れ ....
  
 
父の隣の病床に
テレビが入院した

治すよりも
買い替える方が安いですよ
と医院長は言ったまま
ろくな治療もしない

翌朝テレビは死んだ
 ....
てきにたすけられ
みかたをまもる

てきも
たいへんなのだ

みかただった
ふるさとに

わがぐん
しろはたをふる
ふりつもったばかりの
しろいゆきをほると
くろいつちがでてきた

そのつちをほると
こんどは
しろいほねがでてきた

しろいほねをほると
またくろいつちが
しろいほねが ....
かいていのえきで
でんしゃをまっている

ホームにはだれもいない
ときどきだれかくるけれど
いつもきまって
うえのほうにうかんでいく

このごろは
でんしゃもくるようにな ....
いしきのないところが
はがれていた

まるでせかいに
あながあいたように

そのすきまを
たましいでうめていく

つぎはぎだらけのきものきて
うつくしくおどる

 ....
いつのまにか
えきまえのふろうしゃのひとが
いなくなっていた

そのことにきづくまで
わたしはさまざまのことを
かんがえていた

かんがえるだけで
いなくなることができる ....
つりにいくといったまま
かえらなかったわたしを
ははがいまもまっている

なんでもないいちにちの
あめがふりそうなごご
いっておいでというははに
てをふった
 ....
だいどころのまどから
こもれびがおちている

どこでみつけたのか
いっぴきのはたらきありが
ひとつぶのさとうをかかえ
そのひとすじのこもれびを
いまにもわたろうとしている
 ....
ていでんのよる
きみとみていた

あのよぞらを
わすれない

ほしでみたされていく
あのよぞらを

いきのびて
みていたよるを





せいぎのみかたは ....
 
 
やねのうえを
あめがあるいている

なかにはいりたくて
しかたがないのだ

しめわすれたまどから
なかをのぞいて

さんのあたりを
なみだでぬらして
 
 
 
 
スーパーで
買い物してると
茄子に
モザイクがかかってる

商品名も
お○す
と伏字になっていて
かえって恥ずかしい気がした

キャベツを買おうとすれば
その中心部に ....
 
 
秋の空に
突き刺さる
ほそい針金が
風に揺れている

揺れているのは
黄金色の穂
だけではない
帰り道なのだった

その角を曲がれば
たどり着くだろう
その家が
 ....
 
 
さもなければ帰ることが出来ない
と、言うところから
その夢ははじまっていた
いつか見た夢の続きかもしれない
よくわからないけれど
帰ることが出来ない理由もわからない
さもなけれ ....
 
 
ははににたろうばが
えきのまえにすわってる
ちいさなリュックひとつで
このひとにも
かつてしあわせなひびがあったのだ
としったのは
わたしがこえをかけたからだ
それだけでわた ....
 
 
おさない頃
倉庫に閉じこめられた
なにか悪さを
したのかもしれない

わたしは泣いた
父の足音が遠ざかり
もうだめかと思っていると
ふたたび父の足音が近づいてきて
鍵があ ....
 
 
真夜中の渓谷で
岩魚を突いた
むかし父とよく来た川だ
腹が減っただろうと
父は登山ナイフで
魚肉ソーセージを切り分けて
私にあたえた

あの日は二十尾とれた
まだ足りない ....
 
 
蒟蒻畑がある
蒟蒻といえば
まだ幼かった妹が
蒟蒻は
おなかをきれいに
掃除してくれるのだと
父に教えられて
がんばって食べていた
記憶しかない
私は蒟蒻畑も
おなかの ....
 
 
この人生を
すでに一度経験したような
気持ちになることがある

高校を出て
失われた十年が
やがて二十年となり
ある日突然
大切なものを失う

そして私は
実家の庭の ....
はじめて
父さんに会ったのは
いつだろう

その人を
父さんと呼んだのは
なぜだろう

最後に
父さんに会えるのは
いつだろう

父さんと呼びなが ....
スルメイカの
矢印が
空を差している

私は
宇宙から
来たのだと

故郷の星へ
帰りたいのだと
 
 
さんじゅうすぎて
こいをした
あさぎくにこに
どうきゅうせいは
にていた

つまにはいわない
むすこには
いつか
はなすかもしれない

プロポーズした
ゆめのなかの ....
 
 
あめがふると
くさがはえるのだと
こどもがおしえてくれた

わすれていただけなのだ
やくにたたないと
しってから

おとなになるために
すててきた
わたしとこどもを
 ....
 
 
ある日曜日
友達の家に遊びに行った
団地と呼ばれていた
うっかりお昼過ぎまで
友達と部屋で遊んだ
お昼ごはんをご馳走になった
コロッケとパン一枚だった

家に帰ると
塩鮭 ....
 
 
まだ生まれていない
君を心配してる

生まれたら
誰も経験したことのない
君の人生が待っている
君が君であるために

僕は何度か死にかけたことがある
鼻先を
時速百キロ ....
 
 
会いたいのに
会えない人がいる

帰りたいのに
帰れない家がある

戦争を知らずに
僕らは生まれたけれど
争いを避けずに
僕らは生きていけなかった

いつからなのだろ ....
 
 
生まれたばかりの
息子の写真を
四歳になったばかりの
息子に見せて
これは誰
とたずねていた

すると
赤ちゃんとこたえる
でもこれがおまえだよ
とおしえると
にわか ....
 
裏木戸が
閉じたり開いたり
冬の言葉で話してる

積もる
雪の音以外
何も聞こえない
意味の欠片さえ

さくさくと
家に帰る足音が
遠くからやってくる
もっと遠い
何処 ....
AB(なかほど)さんの小川 葉さんおすすめリスト(42)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
渡り鳥- 小川 葉自由詩5*17-2-28
出会い頭の事故- 小川 葉自由詩716-5-4
父のラジカセ- 小川 葉散文(批評 ...612-11-25
テレビ病院- 小川 葉自由詩412-7-9
白旗- 小川 葉自由詩212-5-8
積雪- 小川 葉自由詩711-12-18
海底駅- 小川 葉自由詩711-9-17
盆踊り- 小川 葉自由詩2*11-8-18
浮浪者- 小川 葉自由詩211-6-7
釣り- 小川 葉自由詩211-6-7
こもれび- 小川 葉自由詩611-5-17
余震- 小川 葉自由詩1211-3-13
- 小川 葉自由詩1210-10-31
わいせつ- 小川 葉自由詩5*10-9-27
秋の思い出- 小川 葉自由詩810-9-27
午睡- 小川 葉自由詩310-9-26
かかわり- 小川 葉自由詩610-9-25
倉庫- 小川 葉自由詩710-9-11
三軒目の鴉- 小川 葉自由詩4+*10-8-31
蒟蒻畑- 小川 葉自由詩210-8-30
予定通りに行くと- 小川 葉自由詩2*10-8-25
父さん- 小川 葉自由詩210-8-6
イカロス- 小川 葉自由詩210-8-2
地デジ対応- 小川 葉自由詩6*10-7-6
雑草- 小川 葉自由詩17+10-6-5
団地(再投稿)- 小川 葉自由詩4+10-5-10
尊さのその先- 小川 葉自由詩4*10-3-13
白い原稿用紙- 小川 葉自由詩6*10-2-23
イデアの影- 小川 葉自由詩9*09-8-21
裏木戸- 小川 葉自由詩809-1-15

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