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思惟のふちから
言葉が崩落してゆくとき
僕は君の夜を抱き
君は僕の夜を抱く

その暗い球体の中に
守るべきすべてが
あるかのように

たとえばそこに
紅い薔薇
暗さの中では
も ....
君が「孤独」と名づけた場所
そのさらに奥に
小さな部屋がある

くすんだ象牙色の壁紙
いくつかの黒ずんだ木の棚
そこには本 小函 硝子壜
円い置時計 何処かの土産といった風情の
人形や ....
翼が生えてきた 日に日に大きく育って
ゆく けれどそれは 誰にも見えない 私自らにも
見えない なぜならそれは 私の内側へと
生えていたから 見えはしないけれど ただ
たしかにそれは 翼である ....
ある人から
窓をもらっていたことを思い出して
とりだして開けてみた

窓の向こうは
地平線まで何もなく白い地と
日も月も雲もない白い空

ふとその地平線に
何かの影があらわれた
だ ....
清い流れに沿い
{ルビ鶺鴒=せきれい}が閃くように飛んで

揺れるねむの花
ねむの花はやさしい花 と
誰かが云った

小さな手が生み出す
鍵盤の響きはたどたどしくても
その無邪気さで ....
いつもの二階への階段をのぼっていたら
いつしか階段が森になっていた
のぼってゆけばゆくほど
森が深まる
樹々が茂り
鳥の声も聞こえてくる
のぼってものぼっても
いつもの二階にはなぜかいっ ....
君は幻 夏が翳るから 僕は無口になる つまさきに
触れる空気が気怠い 何処かで 水の揺れる
気配がする 裏庭に ひそむように 羽黒蜻蛉が
息づいている 白い空に 百日紅が 凌霄花が
浮かんでい ....
AB(なかほど)さんの塔野夏子さんおすすめリスト(7)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
抱_擁- 塔野夏子自由詩9*23-12-19
小さな部屋にて- 塔野夏子自由詩11*23-7-29
内_翼- 塔野夏子自由詩10*23-3-19
窓のエピソード- 塔野夏子自由詩6*21-6-27
夏の練習曲- 塔野夏子自由詩7*20-8-5
階段の森- 塔野夏子自由詩11+*18-5-5
翳る夏- 塔野夏子自由詩4*09-8-17

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