列車の暖かいシートに座ると

向こう側のガラスの奥には

半透明な私が少し微笑んでいて

疲れて座っている

暗闇にうっすらと光り浮いている私は

ゼラチン質のように柔らかで他人の ....
色硝子の目玉をガリガリかじる
虫食いの肉体をベリベリ剥がす
おれはおれを一本の死に花として石の器に生けてみる
瞬間凍結された踊る舌先の焔として
勝ち目のない戦いに身を投じる高揚感で
己の文字 ....
振られても降られてもなほ通ひ舟 メルセデスで旅をする

日本中の商店街を夜走る

よこには地元の少年少女を乗せている

車内にはマクドナルドの匂いがこもっている

彼らには金を与えている

こっちは彼らの会話を聞 ....
そう、人は何らかの形でいってしまう
それならば
ひとりでいることに慣れておく方が楽なのだ

あのとき
二人は同じ夢を見たかもしれない

寂しさを褥(しとね)に

黄昏を枕にして

 ....
国道二号線を走っていたら
ふいに視野の右側から
何か小さなものが飛び込んで来た
と思ったらサイドミラーの上に
シジミ蝶が止まっていた
小指の爪ほどの大きさの
灰白色の翅をピタリと閉じて ....
刹那に殺せる だからコーヒーを飲む
人の怒りを侮ってはならない  誰だって人を殺せる
安らかなる思い込み コーヒーは安らかさを引き伸ばす
思い留める為に

微塵の一角を曲がれば 殺人の息が泣 ....
西の空を覆う厚い雲を
僅かに縁取り
淡い光が
放射状に
さらなる高みへ腕を伸ばす
羽毛のような桃色の塊が
透明な大気の層に漂うあたりへ

空はいつまで記憶するだろう
人の視線を

 ....
笑顔が足らないから
適当な思想が抱きついて

どうしようかと
喉元まで逆流してきた

雲合いも無慈悲に見えて
自分を是が非でも厭ってしまう

口元を咄嗟に手で覆い
少し あかぎれた ....
重なってまた離れていくから
美しい模様になる

離れていくことを悲しいと
思っている今この時が
人生を彩っている

鮮やかで美しい
自分だけの模様を
綾なすために

今は何も怖れ ....
生まれた日から神の計画はあったのだとして
生まれる前から神の計画の為に準備された人
時の時を経て夫々一人ひとりは生まれたのだ
としたら私の身体を貴方の為に肢体となって
お使い下さい私は何をすれ ....
明けない夜はないと教えてくれた人は
暮れない昼もないとは言ってくれなかった

やまない雨はないと教えてくれた人は
永遠の晴れもないと言ってくれなかった

幸せの気配を感じるたびに身構える
 ....
俺には夢がある、もしその夢が叶ったら
会いたい人がいるんだ。
その人に会う為に自分の夢を叶えたいと思った。

馬鹿な夢だと笑ってくれ
君の手のひらに
朝と闇と夕暮れと夜があるから
私はそれについて詩をかきます
遠くにある悲しみと喜びは
誰の手のひらサイズでもない
君の詩をよんでよみ返して
それがわかったのです
いつも窓 ....
その人に投げかけた孤独が
勢いよく跳ね返されてきて
私の胸に鮮やかな痣がプリントアウトされた夜

傷だらけの そのくすんだ球を
手毬のようにつきながら
迷い込んでいくサイバー・ラフォーレ
 ....
だまされたのかも知れない
甘いにおいに誘われて
近づきすぎた

 人だって 
 グルメな匂いに弱い
 縁日の雑踏の中の醤油の臭い
 に誘われて 
 埃と一緒に口に入れる
 焼きと ....
ねえ
ひとつぶのわだかまりもなく
こんなにさらさらで
どんなかたちにもなって
どんなかたちにもならなくて
よく晴れた日は
誰にも盗られないように
丁寧に埋めた
昨日の美しい心を
ぴか ....
君に堅く結ばれた
ひもがほどけない

この送られてきた荷物に入っていた
巾着袋のひもがほどけない

わざと堅く結んだな

僕が困っている顔を
想像しているのだろうけど

そうは問 ....
蒼なき夜空に
星が散りばむ
手の平に星が墜ちたなら 左様
私の手が空になる

手の空いっぱいに
星が墜ちる
それは
瞬く間もなく
きらきらと
吸い込まれていく

私の
空に
 ....
【車窓から見える赤い風船は、まるで祝福のしるしみたいに 】


なんでかしらないが
あなたとわたしには
おなじ「なにか」が ある気がする

その「なにか」が なんなのかを
知 ....
長い年月会っていない友人
それでも友人と言えるのは
年賀状にある自筆の文字

さて今年も…
勢いに任せて
「 い ち ど あ い た い ね 」
 苦しいときに泣くことは、
 いっぱい、やってきた

 悔しいときに怒ったり、
 羨ましくて妬んだり

 そんなことは
 幾らでも、
 やってきた

 今日も、あの時、
 とって ....
その昔
俺は 宇宙の中を飛び回っていた。
織り姫に懸想して、彦星から追われもし、
白鳥の首根っこも押さえもしたし、
ペテルギュウスのおならも嗅いだ。
オリオンの楯を盗んだり
カシオペアの辺 ....
きょうという日に
きょうという火が
ともされる
約束したわけでもないのに
東の空に

明るく
温かい
平等な
きょうが
どこから生まれてくるのか
ボクは
みつけた
旅の途中で ....
5歳の野原に
少年をひとり
おきざりにしてきた

今も夢に見る
あれは

世界の果てまで
走って行くはずだった真昼

やけるような緑と
汗と言う名の夏が
身体にべったりはりつい ....
安全ピンが指に刺さりました
血も出ています
原因は私の不注意です

勉強になりました
安全ピンが安全じゃないことから
考察される
物品の名称 機能 リスクの関係

そして
景品 ....
渇いた湖底を
掠め
渦巻き
通過していく
そんな
低温の吹雪を

窓には無数のひび割れに似た
しばれ模様が張り付いて
空気中の水分は
耳にも
皮膚にも
触れない
喉も乾かして ....
散歩の時は
富士山が見える路地を探す

なんとなく
富士山にいつでも見られたい
気分で

今日は
いつもの しらす街道

生しらすは とてもおいしい

富士山はしらすを見ている

しらす達はすでに絶命 ....
あれが空教えられずに知っていた赤子の頃から迷うことなく


六歳が翼の折れた雀ひとっつ手のなかで死なせ向き合った冬


そこまでは坂をのぼってゆくんですいまのこの日も胎児の日にも


 ....
自転車で走る十月みそか頃指先ちょっぴり冬を覚えて


地方への旅の帰りの車窓から山が消えるとやすらかになる


立ち去った日々に暇をあげたあとでも変わらない時計の仕事


百日紅終わ ....
北大路京介さんのおすすめリスト(19150)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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