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行く手を遮る人のように
不安の影がたちこめる
追い払うために
小川のほとりに立つ

苔が敷き詰められた庭の清流
岩の向うに竹林の藪
たたずめば
火に群れる虫のように
影たちがどこから ....
隅田川より低い千住の街を
駆けていく幼い日のぼくの
こころの隙間に
川風がはいりこむ

湿気を含んだ重い風は
低い街並みをよぎり
川辺から離れた神社に
ぼくを連れていく

友だちは ....
朝の散歩に出る
内面の温かな海から
のぼる湿気
ぼくは挨拶したのに
無言のまま傍らを通りすぎる人の
視線に冷やされて
水滴になる
細かい不安が
その核になっている

他人の一言が
 ....
汲みあげる
言葉になる前の想いが
溶けている井戸水から

丸い壁の井戸の底の水面には
手がとどかない
のぞきこむと
そこには何十年もつきあってきた
おれに似た顔がいる

顔はつぶや ....
目覚めても
夢が続くのか
岩穴に
風が吸いこまれていく

のぞく眼に
洞窟の奥でうつむく子どもが映る
近づけば
幼いままのぼくだ

小さいからだを
剃刀の風が
音を立てて
通 ....
時は切れ目のない波
凪いだ海の
ゆるやかなうねりのいただきの
光るところから
暗い窪みまで
隈なく見つめていた
幼い日

小学校でいやなことがあると
深くうねる波の底に下って
浮か ....
国道四号に抜ける
夕暮れの千住の小道に
スタンドバーの看板の
男の顔の上半分が赤くなる

大人になればこの店で
夜を過ごせるのか
まだ小学生のぼくは
家に帰るしかない

日の光が消 ....
妻が孫の顔を見に泊まりに行った晩
ぼくは真夜中に目覚めた
喉が渇いているわけではない
トイレに行きたいわけでもない
なんで目覚めたのだろう
ふと隣を見た

そうなのか
きみがいないから ....
ぼくは沸騰するスープである
ジャガイモが崩れていく
ぼくは真っ赤に茹で上がる毛蟹である
苦しさに前脚を伸ばして泡を吹く

底から熱せられていて
二重の蓋がかぶさる
重くてもちあがらないで ....
夕暮れの道場に電球が光る
入口の傍らに鉢植えの赤い薔薇の花
母と一緒になって道場を覗く
柔道着を着た大人と子どもたちが
笑顔で挨拶する
その中にキツネの目をした小学校の同級生がいる
見つか ....
アラガイsさんの殿岡秀秋さんおすすめリスト(10)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
胸のせせらぎ- 殿岡秀秋自由詩514-11-2
風の問いかけ__- 殿岡秀秋自由詩714-10-15
不安発生- 殿岡秀秋自由詩614-9-1
心の井戸- 殿岡秀秋自由詩913-9-15
膜の中での変身- 殿岡秀秋自由詩913-6-1
時の高速回転機- 殿岡秀秋自由詩913-3-1
夕暮れの影- 殿岡秀秋自由詩613-2-15
妻に- 殿岡秀秋自由詩812-9-15
二重蓋の圧力鍋- 殿岡秀秋自由詩912-3-15
満ち潮のように- 殿岡秀秋自由詩710-9-15

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