25gの落下 夜明け鳥鳴く頃
秋也

魂は存在するのか
聞かれたから答えた
聞く方も
答える方も
大切なモノを失っている
あくまで他愛もない質問
あくまで他愛もない答え
互いにさ
人の左胸には鳥籠があり
鳥籠が在るんだから鳥も居る
そいつが逃げちまうんだ
いつどこに飛んでいくかは神のみぞ知る
重要なのはそこじゃない
鳥が消える際、小さな羽根を一枚鳥籠に落とす
ふわふわの奴を必ず一枚だけ
その重さ25g
ふわふわの羽根たった一枚がなんと25g
籠に残されたそのたった一枚が人の魂なんだ
そのたった一枚もどこからか吹く優しい風に乗って
舞うように鳥籠から消えちまう
つまりだ消えちまうからこそ
魂は在ったんだよ
俺の連れにも
あんたの連れにもな
ちなみにだ
俺は魂なんて在ろうが無かろうがどうでもいい
鳥籠の入り口が開け放たれて
さっさと鳥が居なくなろうが
ふわふわの羽根が鳥籠ごと風に吹っ飛ばされようが
望むところであり上等だ
ただ俺の中に居る鳥の色
これだけは知っておきたい
俺の中に在る25g賭けたっていい
果たして
俺は左胸に何色の鳥を飼っているのか
名案がある
あんたの鳥と俺の鳥
交換しないか
それでこそ色がやっと分かる
俺の鳥が夕焼けみたいに不安な色ならば
あらゆる後悔はない


25g
子供騙し



左胸
心臓
羽根一枚
ふわふわ

消失
逃亡

鳥の色
大切なのは鳥の色
他愛もない二人
25gの夕焼け
25g抜け落ちそうな夕闇へ
魂不在な夜
羽根漂う



自由詩 25gの落下 夜明け鳥鳴く頃 Copyright 秋也 2015-10-04 01:16:03
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