縄
はるな
あなたがむかし
わたしにつけた縄を
こんどはわたしが
あのひとに結びます
雪は屋根のうえでだらしなくなって
白がすこし疲れたようす
毎朝 沸騰する
わたしの身体を知らないでしょう
毎晩 わずかにこぼれてしまうわたしを
知らないでしょう
忘れることにした 多くのよろこびを
憎んでいた縄を
わたしの指が結んでいます
忘れることにした 結び目のつくりかたを
いとも簡単にしながら
これが呪いでなくてなんですか
あらゆる感情から隔てられて
屋根の雪が溶けて落ちる
自由詩
縄
Copyright
はるな
2014-02-14 00:44:32