酒樽たち
はるな


夜に
徐々に黒は
春に犯されている
そうと知りながら
花を賛美した
泣いているひとを知りながら

眠たい酒樽たちに
よごれた指を一本ずつ沈めていく
抱きしめてなおやさしいために
指を捨てていく

反復は半分凍って
わたしはひとりになった
蜜のなかで呼吸するのは
死ぬこととだいたい同じで
なにかを
壊す必要もなくなったから



自由詩 酒樽たち Copyright はるな 2014-02-11 03:20:30
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