fate
プテラノドン

廊下に足だけ突き出して見張りをしている。
話し声はもちろん、足音だけでも誰だか分かったし、
名の知らぬ香水の匂いにも敏感になった。

もし、知らない奴が通ったら足をかけて転ばせてやりたい。
エジプトでは、そんな挨拶の仕方もあるものだと。
九匹の尾からなる女神に辛辣な慈愛を込めて。
親しみを覚えてくれとはいわないが、
知らんぷりはしないでほしい。暇なんだ。

地面に這いつくばった女の顔を見る。猫のような鋭い目つき。
乱れた髪が顔にかかっていても容易に読み取れる、その表情。

十分、それで十分だ。足を引っ込めパイプ椅子の上で足を組む。
心臓まで石像になったように、動くことはない。





自由詩 fate Copyright プテラノドン 2009-12-12 17:18:34
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