すべてのおすすめ
お下がりの大きな自転車は
不躾な轍を踏んでいた
5時のサイレンが鳴る頃には
納屋の隅の方から
古い天気予報が発掘された
曇りと雨の日には
ばってんが付けられていたけど
晴れの日は見たこと ....
色づくからすうり
いつのまにか冬
たねを取り出して綿に包み
マッチ箱に入れて待って
ほら黒いたねが黄金色に
祖母から教えてもらったあの秘密は
どこへいった
もう1回試してみたいな ....
はたせなかったやくそくが
はたされないまま
はてまで
つくられたみち
はたして
はたされないものを
はたすことが
やくそくだったのかも
わからないまま
はてまで
初出 日本we ....
あなたの言葉が
喉につっかえて痛い
好きな人も嫌いな人も
寄せては返す
波打ち際から先に
行ってはいけない
残りあと20年を
あなたにあげたい
それだけあれば
一度ぐらい
本当 ....
人は原初からあらゆるものを食べていた
等分に命を屠り
そして天に感謝と畏敬を捧げた
或る人らは動物性蛋白質は採らないと叫び
植物には痛みは無いと
その生命を己の肉体に採り込む
欧米 ....
無償の愛
という象形を額縁に飾り、鑑賞する
両親から与えられたものは
すべからくだろう
しかし、彗星のように降ってきた
この
無償の愛
という生命体の、網膜にも鼓 ....
ほの暗い空に尖ってゆれ動く
銀杏の枝先 路端の枯葉
手袋はめる指先
冷たさ滲み
駅前
ためらうことなく夜を受け入れた街
バスターミナル
無人のベンチ
男物の ....
「明日は黄砂が降るでしょう」
天気予報の声はAI
曇りマークのない混じりけなしの晴れマークなのに
洗車したばかりなのに
布団は干せないなあ
とか 少しばかり
黄砂のことを恨んでみる
....
ジャニス、ジャニス、と
私を呼ぶ声がする
呼んでいるのは年老いた私
誰にも抱擁されず
誰にでも抱擁されたかった
年老いた私
二階の足音が聞こえる
一度あったことは忘れないものさ
た ....
青空が大好きだ
遠い
色なのに
近しい
さびしみ
寒風、
常緑樹の生垣が吐く
銀白と やがて溶け
やさしげに揺れる
山茶花
無化した言葉は理解しやすい。
だがその本意はほとんどわからない。
本の中には、見る本もあれば、読む本もある。
なんだかねむたくなる。
柔らかなフランスパンをはんでいる歯茎のここちよ ....
鍵をなくして
座礁した無人島の浜辺から少しせりだした夕日の淵で
釣りをするたびに地球を釣ってしまい
きれた糸の先に針をつけて
昨夜捕まえた痩せた月を餌に
じっと
新月を待っているような
....
rist.ali-ali-ali
a rist.ali-ali-ali-y
rist.teres ali-ali-ali-ali-ali-ali---
kimigawaruikul ....
どこからともなく
黒い帽子、
黒いコートの
陰謀論者がやってくる
はじめ電信柱の影にいたが
子供たちが騒ぐと、
わざとコートの前を開いて
●ン出しをして追いかけて来る
不気味な ....
溜め息の
ふぅとふぅ耐え
病の苦、
夜な夜な冷たし
近づく 冬のヒビキ
肉の魂の静観にて
営み一体化する
瞬間、無名の記述
確か内なる霊性に触れ
ああ と頷くオノレ在り
....
今日も やつれた神経が
のびのび している
僕のやつれ やせた感情が
のびのび鳴いている
あぁ、昔好きだったあの子は
いつも校舎の屋上から 空を見てたっけな
しずんで ....
見ているものから遠ざかる
感覚と それから
見ているものを知る 手足
山や 川 景色としての海
見ていることで それを
知っていることで
理解しているのだ
それを ここに書くこと ....
薄ら陽を
追いつつ鉢を離れ得ず
小さき金魚の褪せし思いして
胸の底 暗く重く
ちろちろ火の燃え続ける
雲は消えると
雲の墓場に行くんだよ
とあなたは冗談を言うのですが
本当に墓場はあるんだよ
雲はそう言うのです
それはどこにあるのですか
ほら、そこだよ
雲は指差そうとするのだけれ ....
玄関から
こうべをたれた季節がおじゃましますと
きづかぬうちに背戸から帰り
台所に置かれた熟れた柿をついばむ
鳥たちのカフェテリアが暮れ
初時雨にかじかむ指をとおし
その指で、かじかむ時雨 ....
あさり同士の会話がある海で
海は静かに波立ち
あなたと私は沈黙したまま
水平線の方へ目をやる。
秋の光ぽかぽかとして
雲は浮かぶ
ぽっかりぽっかり
砂浜の向こうの方で
見知らぬ人が ....
船場汁っちゅうのは
塩鯖のアラを使い、
その塩気と、
だしだけで食べるもんや
汁の具は鰭と目玉、
鯖の骨やらのアラのほかに
大根の薄切りをつかう
そんだけでもう十分やろ
板張り ....
紅葉、
寒さとはうらはらに、
じんせいという、
かじつの暖色が熟成された、やまやまのジャム、
ジャンパーを羽おった、
老夫婦はなかむつまじく、
晩秋のソウゲンにつがう、
二羽のタンチョウ ....
赤いウインナーに、
十字の切れ目を入れて
四本の足を作る
さらに一本づつ 内側から
四回、切れ目を入れて
八本の足を作る
油を引いたフライパンで
コロコロ炒めると
足が開いて蛸ちゃ ....
友よ
君に捧ぐ
君の生きた城下町
形而上の異なる螺旋状に生まれ落ちた者たちを越えて
一夏を過ごした命の合図
友よ
君に捧ぐ
あまりに美しい場所の風景画に筆が踊 ....
十人十色の精神は
宇宙を模倣した様な神秘的な歪さ
振り返ってやっとわかった一期一会
十人十色のベクトルで
初めまして
そして
さようなら
唯一無二のアイデンティティ
最低気温も11℃。
台風15号は900hPa。
明日、金曜は13日。
昨夜食べた秋刀魚は莢より細く…
重ねてきた61の秋。
希望はこれでいい。
その無はしかたがない。
コーヒーもまた ....
もうひとつの夜の街が動き出す
灯火はみな偽蛍
背筋を伸ばした猫は
糸を池に垂らしてザリガニを釣り
夢遊病者たちは公園に集い
おとがいを比べ合う
看板描きの落としていった
無邪気な絵筆は
....
雨が
木の幹を濡らしていく
濃緑の木立は
微かに揺れ 揺れ動き
時の狭間に佇んでいる
この冷える冷える一日に
銀の透明 雨は
間断なく降り続け
街を静かに濡らしていく
....
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