詩を書きたい人のなかに、時おり、実はこの人は文章が書きたい人なのではないかと思う人がいる。もちろん、散文詩と散文の境界を厳密に考えて言っているわけではないのだが。近頃は色々境界が消えて、わたしのような ....
今朝も
生きている
生きている
いろいろあっても
生きている
どうして
今日も生きているんだろう
なんのために
今日も生きているんだろう
よくわからないけど
生きている
生きてい ....
何も出来ない
あらゆる肢体のルーズコントロール
脳内のドーパミンやら、ホルモンやら、セロトニンやら
もう迷路で迷子なんですよ
と、言われたって困るよ先生
眠りさえ遠のいた ....
卑近承知。そう書かなければ身は持たず誠に狡賢い。しかし、書けばなお狡賢いが、口上は早めに切り上げるのが得策。
昔、大人達からよく言われた『そんなもの、便所の落書きやないか』と。今よりまだ世の中雑 ....
そらいろのくるま
にのって
あさがたの
やわらかな
ひのひかりのなか
ぼくたちはいこう
ぼんねっとにひかる
きのうのあめつぶが
さわやかな
くうきのなか
う ....
あなたが死んでほしいと思ってきたけど
あなたがなかなか死なないから
早く自分が死ねたらいいと思うようになりました
だから
きれい好きになったし
いろんなものも捨てたし
死ぬまでにするこ ....
花の盛りは
誰が決めるの
きれいだね
そう言われたのは
遠い午後のこと
あの日の花盛りが
今甦る
花の盛りは
あなたが決める
振り返り
花ほころぶ
バスに ....
千差万別、十人十色、人それぞれと言ってしまえばそれまでで、それが行き着くと意味が消えてしまったり、無用な争いを招いたり、巻き込まれたり。
友人で所謂鉄道オタクという人物がいて、別の人物が「俺は乗 ....
誰も皆、黙っている
黙って、ニタついているか
黙って、怒っているかのどちらかだ
思考は停止
並ぶ、並べる、揃える、エンター、エンター
競争相手はAIだ、そら、仕事が奪われるぞ
ほら ....
細くて薄くてひょろくても
生きている音はさせられる
我々の名はカイワレですが
大根界では一目置かれてて
細くて薄くてひょろいのは
天まで伸びるためなのです
横ばかり気にしてしまうと ....
おじいちゃんが農協にトンカツソースを
買いに来ていた
「おねえちゃん、ウエスタンソースくれよ」
「おじいちゃん、ウエスタンは
西部劇だけど┅┅ウイスターじゃないの?」
「いや、ウエスタンと書 ....
ひとかたまりのきょうが
三和土でふるえている
ドアは開いてるというのに
もしかして、きのうも
ふきだまりみたいなこの部屋の
どこかに
きえかけながらいるのかな
きのうも、あし ....
シャンデリア
空のにおいが
なないろの真珠になって
くもの糸にきらめく朝、
なつかしい音楽を
聴いた。
それは
くさむらか ....
歩き煙草に咳き込んだ
不機嫌そうな顔こちらを見る
目を逸らした自分が間違っているのか
転んだ痛みに呟いた
それはただの独り言
差し伸べてくれる手を伸ばす
期待はいつも裏切られる
....
小さな掌に触れた
あどけない貴方がくれた笑顔が
あまりにも可愛らしすぎたから
温かい気持ちで満たされてた
貴方が生まれてきたそれだけで世界が
かけがえのないものに変わったんだ
夏の風が ....
空飛ぶ家の 群れのなかに棲み
扉から一歩を踏み出せずに
眼下にひろがる風と原
飛び交う家々を見つめていた
街 クレーター 街
人と原は円く分けられ
薄い緑に吹かれて ....
風がアパートの外でやたら騒いでる
ジェット機の爆音が入り雑じって心穏やかじゃない
夜に
寂しさが鐘を鳴らしながら土足で入ってきた
テレビを消せない
見てもいないのにさ
ボリュームは低く落と ....
卒寿となって 卒寿を越すと
どうして 翳が浮き揚がるのだろう
喋ることにも 聞き入ることにも
何もみるな 何も想うな
弱気の愚痴も 吐きだすな
強気の言い訳も すべきぢゃない
冷 ....
夜のはしっこを
つかまえて
はしりぬける
光の点滅を
鼓動につないで
たかいところから
ゆさぶられる
ように
きらきらとらっかする
まばたきのあいまに
ひらひらとはため ....
鹿いた
鹿いた
せんべえ
あげた
せんべえ
せんべえ
寄ってきた
つんつん
つんつん
寄ってきた
でもなぜだろう
せんべえ屋さんに ....
思い違いをしているのではないか
君は寝床に身を横たえているのではなく
もういつの時代に作られたのかも
さだかではない古い古い風呂桶の中に
身ぐるみ剥がされたままの素裸で
(しかも生温い蒟 ....
ひらひらの手が
宙をおよいでいる
なめらかにあつく膨れて
むすめよ あなたは
女という呪いのなかで
生きていくことを選んだ
わたしのことをどう考える?
わたしとすれ違った
年配のご婦人
車いすの
身繕いをした年配の
もうひとりのご婦人を押している
たしかめるようにゆっくりと歩きながら
昼のひかりで満たされた
安全な通りの
木漏れ日のあ ....
佇んでいる。
びたりとも動かない水だ。
この夏、そんな水を見た。
早朝、いつものように堤防道路をのったりと散歩している時だった。ぼくは、不意に気づいたのだ。音がしない! いつもの音がしな ....
僕の暮らす町には小さな小さな神社がある
榎木神社と呼ばれるその神社には 多くの人がお参りをする
そこには大きな楠木があり 皆その木をさすって帰る
鬱病を患っている僕は よくこの神社にお参 ....
「あんた、レンジが使えないから
あたしがパン焼いてあげるから」
「いくらパン焼きが上手でも
コンセントが入ってないと
焼けないよ」
「次はトマトを切ってよ」
「いいよ、これぐら ....
寒ければコタツがある
ストーブもある
暑ければ
扇風機がある
クーラーもある
腹が減ったら
飯がある
パンもある
病気になったら
薬がある
注射もある
重い病気になったら
入院 ....
いのちは
こころのかたすみで
ふるえながら狂っている
枯れた木が
記憶だけで
まだ水を吸い上げようと
こころみているように
まともなあんたは
ひびわれた ....
こころは土ににている
人によってちがうけれど
すてきな人たちはふかふかで
たくさんの養分がある
種さえあれば芽を出して
大きいものや小さいもの
甘いもの苦いもの酸っぱいもの
何かが実 ....
鶴橋の町で五〇年 湯を炊いてきた
百草湯の源田のおやじが 今年亡くなった
あれは夏の午後
「湯を炊く」と言い残して赤十字病院で息を引きとった
おやじは享年七七歳
銭湯が寂れる中 おやじは ....
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