さびれた屋上の遊園地では
もう二度と動かないパンダの乗り物が
片隅に追いやられていた
大きな看板が目の前に見える
さっきまで雨が降っていた
空がどんどん黒くなっていく
インクを塗り ....
アー族
1980年代に忽然と姿を消した、アマゾン奥地(ブラジル北西部)の未開部族。
1984年、接触を図って来たフランスの人類学者と現地通訳(隣接部族)の惨殺遺体
が集落跡で発見されて以来 ....
6月の中旬
いつもと感じが違うメールがあった
いつもだったら
<いまおきた>だったのが
<いまおきましたよ>だった
ぼくは勝手にひどく傷ついて
それから
<〜 ....
ちか頃では
傷ついたほうが
えらいので
みんなずたずた
わたしは
Tシャツに
「まんこ野郎」
と
プリントして
まちをあるく
黄金の季節
老夫婦が小屋の中で
夕餉をはさんで向かい合っている
アイリーン
それはハリケーンの名
土間には
几帳面に並べられた
いくつかの古い ....
縄跳び遊びをしていると
友だちの山村さんがやってきて
それ、ヘビだよ、と
声をあげて笑う
よく見るとわたしの握っているのは
ヘビの頭と尻尾
地面に何度も打ちつけられたヘビは
....
それは遠い遠い記憶
石に刻まれた古代の物語
混沌とエントロピーが宇宙のホメオスタシスとせめぎあっていたころ
僕たちは小さな種子のなかのさらに小さな生命だった
星の海の波打ち際には浮 ....
狩りを楽しむテレビゲームの、獲物の部位を剥ぐ仕草を見て『怖い』と君は言う。
君の感覚は正しい。
君は優しい人だ。
だけど狩人(わたし)を蔑ずんだ目で扱き下ろすのは、止めてくれないか。ホン ....
『食物連鎖なんて終わってしまえ』
呪いの言葉をつぶやいて、
足元のジャリを雑草に投げつける。
ジャリを投げつけることだけが、
わたしの心と体をつないでいる。
『食物連鎖なんて根っ子か ....
こうそくバスのりばで
わかものがははに
みおくられている
ふりょうに
からまれんなよ
ははにそういわれて
わかものはうつむき
てれてわらった
それをみてわたしは ....
冬の彼らは
さながら磔刑にされた聖人
葉の仮衣を落として裸をさらし
いつの間にか澄んできた空を
悟りきった瞳で仰ぎ
死にゆく夕日の断末魔の叫びに応えて
沈黙のうちにあらわな本性になる
....
ぼくはずっと、
ぼくという人間が、夢見たことや、
苦しみが報われたり、
いつか救われたいと願うことが、
すべて、
恋愛によって明らかになるものだと、
信じてきたようなところがある。
....
濡れる針葉樹林
ひいて、ひいて、
灰色の空にサラ砂を流して
よせて、よせて、
濡れた針葉樹林
すべる、すべる、
シュラリモン・キン
シュラリモン・キン
キン・リ ....
押入れに入れられて
もうずいぶん長くなる
ときどき遊びに来るねずみに
爪をかじらせてやったり
みかんを潰したりしているうちに
骨の浮いた老婆になってしまった
これではいけないと思う
これ ....
パンツの上から
下半身の匂いを嗅いで
一日の終わりを
ゆっくりと感じるのでした
仁王立ちの尻に押し付けられ
わざと熱くなるように
息をかけてやります
まるでケロロ軍曹のような尻は
....
僕の中に小さな女の子がいる
無垢な目に鋭さを湛え
頭には白い花のかんむり
僕の中に女の子がいる
僕は彼女に恋をしている
それは君じゃない
君 ....
.
ここはもう揺れはしない
神々の住む丘に囲まれて
赤煉瓦と疏水の流れる大地
東からの旅人を穏やかに迎える
.
あなたのぬくもりに充たされ
た部屋ふいに目覚めるわたし
スクリー ....
林から叫び声が聞こえる
木を割いたような声である
お客は驚いて
あれは何だ
何が叫んでいるんだ
と尋ねてくる
いいえ
鶏を潰して
いるだけです
控えめに答えると
お客は安心した様子 ....
オーブンレンジが
動くときに聞こえる音に似たうねり
楕円的な渦巻きの軌道
高いところから落ちて破損した
もう聴くことのないCDとそのケースみたいな一日
テレビの ....
それでも星は羽ばたいて
ぼくを夜のそらへ 浮かび上がらせる
雲間からのぞく 朝のつぼみ
いずれは押し寄せる光のざんがいから
隠れているのに
掬い上げられた水は
もう指の間から逃げ出すことを
考えている
地球の重力から逃れて
日に日に遠ざかっていくお月様は
とうとうその背中さえ見せず
呆れ顔のスフィンクスは
もう人間た ....
どんな悲惨も
無よりはましかなと思って
野良猫たちの生を
肯定してきたのだけれど
汚いったって
臭いったって
生きてるってのは
そんなもんでしょうって
でもソマリアの餓えた ....
空いてます
ぼくのとなり
とても広くて
あなたのわがままはすべて叶います
来ませんか
ぼくのとなりへ
ちょっと高くてこわいし
階段もないけど
その右手も 左手も
ぼくに差しの ....
満点の暑さを引き連れて
夏はやってきた
蟻の大行列は
トンネル深く沈み込んで働くことを諦めた
公園の噴水は
温水となってまわりに放出し始めている
花々は枯れ始めた
....
きみという少年時代の秘境について
そこに恐れていたものなど何一つなかった
きみに吹く嵐は去り際をわきまえていたし
きみの森に虎なんかいなかった
過ち達は気前よく十字を切って ....
パスタは絶対にフォークとスプーンで食え
ワンスプーンの上にくるくる巻いたらそれがルール
それが一口の定義だ
....
「もしかしたら、今は見えない
戦争状態じゃないのか?」
野営地で目を覚ますと
体中が汗ばんでいた
ジッパーをあけると
ナイロンの外は青空だった
すでに日は高く
肌を焼く太陽光 ....
涼し
涼しと
思うたら
わて
こんなに
なっとった
ホンマ
涼しいなぁ
散らばった削り屑をかき集めて呻いた。ほのかな樹木の香りがした。あたしは一個の彫刻になっていた、ことばのかたちにからだを削り上げたのだ。記号の救命艇。戦艦は撃たれて沈み、ことばに乗らない彫刻未満がうよ ....
幻の魚と書いて げんげ
富山は 蜃気楼が有名な 魚津市が有るって
富山を離れてから 気付いた気がする
本当は 聞いて 知ってたけれど
すっかり 忘れてたんだ
こっちに来てから ....
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