草が草の記憶を語りだすと
風の結晶はふと風に溶けていく
掌で温めていた卵が消えてしまった時
わたしは初めて言葉を知った
その日の夕方
新しいベッドを買ってもらった
感謝の気持ちを伝 ....
ダイヤモンドの針をそっと置く

行っておいで

想い出は遠くなるばかりで
美化されたがっているのはなぜだろうか
この溝は
なぞられれば現れる道だ
ふたたび
さみしさの琴線に音を咲かせ ....
指先を太陽に翳して
陽の光の中を着物の着崩れを直しながら歩く

隣町まで足を棒にして歩いてみたら
少しはこの気持ちが楽になるだろうか
茶色い茅葺き屋根の家を過ぎて
長屋を横目に見て
空き ....
 ふしあわせ というものが
 とくに こころ美しく
 あたまのするどい ひとに
 みいる のでしょうか

 はんぶん いろづいた林檎の
 つめたい甘酸っぱさを
 あなたは こころ ....
偽物の珈琲を買った
何が偽物って、ポーションタイプだった
別にこだわりなんて無いから、何でもよかった

偽物の仕事を始めた
何が偽物って、給与が出ないタイプだった
別にどこかに属したいだけ ....
砂を、食べている
無限に広がる
砂漠で

時々蜘蛛を、見つける
その、内臓も食べる。

そうして今日も
照りつける太陽に焼かれて
流れ出る汗と熱に

揺れる視界に
方向感覚 ....
砂粒がかがやくと
水際はふたたび沈んだ
土用の波が音をたてて崩れる
台風前の静けさが
妖しい雲に包まれていた

あの賑わいは、
もうない
貸しボートも
焼きそばも
かき氷もやってい ....
小さな手花火
火をつけられたら 
そこからはじまる
儀式
一瞬燃えたあと
丸く赤い心臓が生まれ
酸素を吸って
チカチカと
この世ではじける
火の花
いっときの命
えいえんには続か ....
また海に来た僕は
見ていた 同じ水平線を
ラインのどこか半円形の
木と同じ 垣根の間を
レッドロブスターの黒い看板を通り過ぎて
バスで走った 道を
そして何かを探していた


コーネ ....
いつから、

あそこにゐるんだらう。

日溜まりの向かふに、

声がする。

日溜まりの向かふに、

声がする。

わたしの声だ。

それは、
 ....


インインと{ルビ頻=しき}り啼く蝉の声、
夏の樹が蝉の声を啼かせている。

頁の端から覗く一枚の古い写真、
少年の頬笑みに指が触れる。

本は閉じられたまま読まれていった……
 ....
砲口のまえで、
つねに張りつめている、
灰色のくもり空のした、
まなざしは玉結びのように、つねにかたく、
未開にもひとしい、山道を、
まるで履きなれない軍靴で、
踏みしめて、
ゆくように ....
 月の夜だった。欠けるところのない、うつくしい月が、雲ひとつない空に、きらきらと輝いていた。また来てしまった。また、ぼくは、ここに来てしまった。もう、よそう、もう、よしてしまおう、と、何度も思ったのだ .... 野球の音が聴こえる
野球をする音が聴こえてくる
誰もがみんな
胸の中に野球を飼っている
整備の行き届いた市営グラウンドから
夏草の生い茂る河川敷まで
球足の早いゴロが一 二塁間を
抜け ....
死んだものたちの魂が集まって/ひとつの声となる/わたしは神を吐き出した/神は罅割れた指先で/日割れた地面を引っ掻いた/川原の石で頭を叩き潰された小魚たち/小魚たち/シジミも/ツブも/死んだものたちの魂 .... 夏まっしぐらの緑したたる峠にあって
世のくさぐさは置き去りにみちている
だれがいったい気にかけてくれるだろうか?
路傍の瀬戸際でひんまがったガードレールを

曲がりなりにも身を呈して明け暮れ ....
 よい父は、死んだ父だけだ。これが最初の言葉であった。父の死に顔に触れ、わたしの指が読んだ、死んだ父の最初の言葉であった。息を引き取ってしばらくすると、顔面に点字が浮かび上がる。それは、父方の一族に特 .... 未だ血圧の上がりきらない朝
乳白色の靄がかかった意識の西側から
コーヒーの香りが流れ込んでくる

オールを失くしたボートさながら
廊下をゆうらりと彷徨いながら
食卓のほとりに流れ着く
 ....
 あの……おれ、夢見るんですよね、海の。ときどき夢のなかに海がでてきて、おれはサーフィンやってるんです。でっかい波にのってると、そのままヒューッて空に飛んでっちゃったり……あと……パイプ・ラインのなか .... 部屋の中に集落ができた
小さな集落だった
本家、という男の人が話にきて
畑で採れた作物を
いくつかくれた
学校が無くて困っている
というので、近所の小中学校と
市役所の場所を教え ....
目の前に一本の道が現われた。

この道を行けば、海に出る。

ほら、かすかに波の音が聞こえる。

見えてきた。

海だ。

だれもいない。

天使の耳が落ちていた。

 ....
つらいことを
乗り越えるために
欲をこころの糧にする
けれど 大事な物事は
一つでもあれば良い


こころの深い傷と共に
生きるね
この傷の深さは
いのちの深さと
つながっている ....
電車に乗ろうとしたら
頭の先から尾ひれの先まで
すっかり人魚になっていて
人魚は乗れません、と
電車の人に断られてしまった
取引先には遅れる旨連絡をして
しばらくホームで待つことに ....
雨は降ったり止んだり降ったりで
四季のある国のひそかなもうひとつの季節

室内干しの洗濯物
取り込むまえに
ちゃんと乾いているだろうか、とさわってみる

乾いているようにみえても
繊維 ....
 暗闇の中には沢山の物語がある


  パリの老いた靴作りが
  ハンチングを傾けてかぶっているのは
  むかし街の女に
  とても粋だわ と口笛を吹かれたからという話

  それでそ ....
一人でふたり分の荷物を整理する

なんて過酷で残酷な(笑)

やり始めるとやっぱり記憶に飲み込まれそうで

それでも時々、楽しくて


壁のシールを剥がせば そこだけ白くて

こ ....
 手をコピーする。左手をコピーして、右手を
コピーする。腕をコピーする。左腕をコピーし
て、右腕をコピーする。顔をコピーする。光を
見ないように、目をつむってコピーする。肩と
胸をコピーす ....
 都会の片隅に、にっこり
 置いとかれたお地蔵さん
 短い夢にからかわれ
 ビルからまたビル渡り
 錆びた引戸の奥で
 さよならぽつり

 きみはやわらかに抱きしめ
 つつみながら
 ....
 夜

月明り
独り暮らしが始まっていた
絶望も希望も寝静まり
生活が一つ転がっている

 朝

目が覚めて思う
生きていた
しかも快晴だ
何にもないので
布団を干した

 ....
波がそよいで

靴底に、沁みる

遠い水を{ルビ浚=さら}い

 海が伝う。

    {引用=あの日}

そっと {ルビ掬=すく}い

手の内にきえる


一瞬、少 ....
山人さんのおすすめリスト(5886)
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