ヘミングウェイが入ってきた。
(レイモンド・チャンドラー『さらば愛しき女よ』32、清水俊二訳)

元気そうじゃないか。
(チャールズ・ウェッブ『卒業』1、佐和 誠訳、句点加筆)

プルース ....
 しばらくの間、気分が落ちてた。でも、昨日久しぶりにpixivのイラストを見たら、綺麗で、心にしなやかでカラフルな風が吹き込んできた。すぃっと窓が開くような感じがした。ヘッドホンでチャールズ・ミンガス .... ぬけられます
 と、
白い戒律の剥がれた板に
赤錆びた日本語が
合法を装ってしがみついている
 
飢えと寒さのために、
大勢の煌めくことばが死んだ
ただ夢を叶えるために、
「嘘だ」
 ....



猿を動かすベンチを動かす舌を動かす指を動かす庭を動かす顔を動かす部屋を動かす地図を動かす幸福を動かす音楽を動かす間違いを動かす虚無を動かす数式を動かす偶然を動かす歌を動かす海岸を動かす意 ....
+

 いつものように入浴中にからだのあちこち揉んでいた。リンパ腺を刺激することで、ほとんどあせをかけない体質のぼくでも額からなにかが溢れてくるんだ。背中側のわきのしたを念いりに揉むとてきめんだよ ....
それって、雨のつもり?
あきない人ね、あなたって。
忘れたの?あなたがしたこと。
あなたが、わたしたちに約束したこと。
もう、二度と滅ぼさないって約束。
また、はじめるつもりね。
すべての ....
人はとまどうのに
季節にとまどいはなく
電線の上の二羽の小鳥にも
とまどいはなく
おひさまにむかって
しみじみとふくらんでいる

楓の木は赤く燃え
天国に届きそうで届かない
よく晴れ ....
冬が
にじみはじめ、
すべての あらゆるものを
灰色に染めあげる、

陶器の カップをおく音に
ためらい
振り返る

キッチンのテーブルに妹がいた
久しぶりに見る姿
うつむい ....
夢は記憶の足跡とも聞く

舟に揺られ、震えて叫んでいた

夕暮れよ 
あなたは気まぐれで
私を弄んだまま、夜ヘ送った

夜よ 
あなたは私をその底に沈め
耳を塞ぎ、目を覆わせた ....
十月だというのに夏のなごりの暑さは
公園に夕暮れが訪れても続いていた
娘とふたり
野外フェスティバルに来ている
紙に書かれた手書きの進行プログラム通りに
何人かの歌手が次々と登場しては演奏し ....
雪の白い日
音のない足跡
市街地の中心に
常設された景色の中で
瞬きは行き場を
失っていく
人が人である
その隙間に
転がっている
肋骨の断片の表層に
季節外れの
浮腫み ....
午前2時の沈黙は
私を深海へと{ルビ誘=いざな}う

そこにあなたはいない
私はゆっくりと呼吸しながら沈澱する
ひかりも届かぬ真宙の海で
腕も脚も折り畳まれたように
小さく蹲り
このま ....
秋になりました
昼がどんどん短くなって
夜がどんどん長くなって

つまりは太陽が
月に追いやられているということなのです

つまりは太陽が秋分の日の決戦で
月に敗れたということを意味し ....
おいくつぐらいだろう、
70は優に超えていて、
80には届くかどうかというような
御年齢の男性の方が、
ウォーキングというには、
少し小走りのような時もある
という歩き方で、
早朝5時台 ....
青く発光する塊が、
美しい水で鎮められる

影のない真昼、 
明るい夢の瓦礫から 
神々の失敗のかけらを拾う 
穢れた土を、 
いくども水で洗い流す 
その水がふたたび海へ還る

 ....
出会ったのは公園の芝生だった
不思議な笑顔で空を指差し
無は確かにあるだろう?と話しかけてきた

晴れたある日には
降り注ぐ陽射しの中で
いつも持っているトランクの
小物類を少し広げて
 ....
公孫樹が色づき始めた
少し冷たい朝
アイスコーヒーとホテルブレッドを齧る
冬でもアイスが飲みたい私は
自販機のコーヒーがホットばかりで
困ってしまう

秋色の街を歩けば
髪を切った分だ ....
じとじと 窓は雨に濡れ

ぽたぽた 心に刺さる音

ばらばら 身もほどけ

ぼつぼつ 考えても

しとしと 時も音なく

ざあざあ 涙ちびるけど

びちびち 空も私も一つ
 ....
そらの水槽を
ゆっくりと魚たちが滑空してゆく
僕たちの教室は
まるでへばりついた岩影みたい
どこにも行けない窮屈さで
ぶつかり合う金魚たち
尾鰭や背鰭がひらひら
揺れ惑う
こころだけ狂 ....
 こうなるとフェルナンドの狂的な公理の一つを認めないといけなくなる、偶然などありはしない、あるのは宿命だという。人は探しているものだけを見出すのであり、心のもっとも深く暗いところ、そのどこかに隠れてい .... 朝だ
扉を一つ開け放つ
爽やかな陽射し
冷たい微風

部屋の腐ったへその緒や胎盤
何度も吸っては吐き出され淀んだ思考
それら腐臭を少しづつ解き放つ

世界の約束を分かっていく
凍っ ....
冷たいね
きっと君は
トマトケチャップ銀河から来た、
 バター星人
クランベリーはもうケーキに使ったから
キュウリおばさんと一緒に寝るのは
 もうよしなよ
耐熱皿の日々は
 トウモロコ ....
静かな雨が降っていた
ここんとこ
悲しみに荒れていた私のこころを
不思議と癒す雨だった
こんな無音の音を
待っていた気がする
もう存分に泣いたのだから
これで終わりにしよう
私は虹を待 ....
そっと踏みいる、それへの入り口。プールサイドの縁に紺いろの靴下を濡らす。夏の制服姿の少女が夏の制服姿のまま水色のプールの中へと入ってゆく。やがて肩の上から頭のてっぺんまでをも水色の水鏡へとゆっくりと沈 ....
金魚の色を掬うように、
未来の匂いを言葉で掬う、
ディスプレイには光る女の子が映っている。
彼女が衛星から静かに送られてきたことを、
僕は知っている。


孤独な宇宙に、
詩は ....
(前半が要らないという指摘を受け、文章割愛させて戴きます)



『病人の館』は、そんな私が個人としての幸せを捨て、公としての幸せを手に入れた作品の一つ。
個人で勝ち組になるだけだったら、 ....
ひとつの時が停滞し
その膝の上わたしは猫のよう
乳飲み子の舌の音
水の音色をさかのぼる

叢に覆われた
つぶれかけた空き家の中で
ひとりの少女に会った
帰る場所がないという
行き着く ....
古いアルバムに
残った記憶は
ただ懐かしいだけでなく
どこかしら痛みを感じる
あの時は良かったと
無条件で微笑むことは出来ない
いつだってそうだ

生きて来たこと
それこそが後悔の集 ....
 
 見て

 このいっぱいの星空を

 君にあげたい

 でも

 私の空じゃないから

 あげられないの

 遠くから

 いっしょに見るだけ
 
初秋だ。
寒さに目を醒まされる朝が来る。裏戸を押して足下を見ると、枯れ草色の蝗が犬走に一疋かたまっている。ぼくも、一時、じっとなる。あ、ども——と言いたくなるほど、ちいさな沈黙が胚を抱いている。
 ....
山人さんのおすすめリスト(5910)
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