もう骨身にしみて
地上の風景が分かっている我々。
地上には乾涸らびたバッファローの頭蓋骨
灌木に砂、掴むことの出来ない短い丈の草と
土煙を上げて往来するトラックの群れ
遠景に岩山が望めるが
....
車椅子に乗っていた
おじいさんは『トキサン』
とゆうらしい。
腕と鼻に管をつけていた。
看護婦さんが車椅子を押すと
何度もすいませんとゆうのだった。
....
気分が乗らなくて机の上に無造作に放った手紙。数日経ってその封筒を見つけた時、中身を見てもいないのに
「あぁ、とうとうこの時が来てしまった」
と思った。
見覚えのある字で宛名が書かれたそ ....
午後の間は
だらしなく流れていく
日に日に増えるニキビをこすりながら
お化粧をするたび
風が強く吹く
ミルク珈琲と泥の区別もつかない
コーラと珈琲の区別もつかない
朝焼けはわたしなど無意 ....
月の見えぬ夜はどこか淋しげで
そこに存在しているはずなのに
覆い隠され見えぬ姿は
人の心と同じ
本当の自分など
考えてもわからない
どれが本心かなど
もはや闇の中 ....
たろんと濃い夜が引かれる
水平線に揺れる海の端
海岸には塩の霧が立ち込め
撹拌されるライトの粒
カモメが飛び立ち
低空飛行で水面をめくる
きれい と、
改めて口に出さないと
慣れて ....
人間の多くは死んでいる
言葉もなく腐敗していくだけの存在
きっと 人の多くは屍なのだ
何も感じることなく死んでいく物体
ただ 歳月を過ぎていくだけ
きっとあんたも そうだろう
そし ....
彼岸花が咲く
ある日突然咲いている
地獄の手紙みたいだ
曼珠紗華ともいう
けれど茎だけの禍々しい紅色の花は
なるほど死人の声を思わせる
秋の野面に咲いている
風は盲を押して行く
つ ....
おかねはいらないから
やすみたい
そういって
あなたはせみになった
せみはにぎやかにないて
やがていなくなった
またなつになれば
おもいだすだろう
あなたが ....
空に
砂粒を
さあっと
撒きました
あなたが
一体
どれだけ
追いつめられて
いるのか
少しでも
理解
できるように
苦手なんですよ
花の名前を覚えるのが
花言葉なんて
無縁なものだと思っていました
すれ違ったのは
昨夜のような満月の夜でしたね
苦手な記憶が刺激を受けて
分厚い花の図鑑を取り寄せまし ....
鮮やかなる君の記憶、
記憶のなかにある君の
断片、片側の私
私だけが
日々を疲労し
年老いてゆく
電話、指文字
誕生日おめでとう、
好きだよ、
おやすみなさい
良い詩を書いた夢をみた
白く光る窓辺、花瓶の横のメモ帳に
涙を拭いながら
山吹色のえんぴつを走らせ
時に端を噛み
悠長、と呟いていた
花瓶は水だけ入っていて
くびれた所は緑に汚れてい ....
♪ブヒヒ
ブヒヒ、ブヒヒヒヒヒ
ブヒヒ
ブヒヒヒ
ブヒヒヒヒヒ
ブヒヒ、ブヒヒヒヒヒ
ブヒーヒヒ♪
「ブヒヒッ?」
「ブヒッ・・・・」
「ブッ・・・ヒッ」
♪ブヒヒブヒヒヒ ....
レイディオを聞いていたら、
モンゴルの自然の現況から見て、
人類が環境的に持ちこたえられるのは、
あと数十年だろう。
ということだった。
数十年といっても、
二十年と九十年では、大違い ....
か弱いものでも生きてゆける
それが人間らしさってこと
それなのに時には誰かを押しのけては前に進み出て
この一歩が生死を分けるのよね
なんて言い訳をする
※
世の中は悲し ....
それを動かせば
すべてが動く
山の裏の光
みどりの
光
冷たい鉱
白は触れる
空とまばたき
つぶらな音
獣を追う声
壁に消える背
夜の径を
透る ....
僕に詩(うた)を下さい
書き損じの紙切れ
池に舞い落ちた木の葉
真夜中の月の海
僕は何処かに置き忘れているのかも
駅の遺失物の棚
旅先のホテルの一室
ツンドラの森に
いつも
....
アルコール漬けの脳髄が
ひとつ
秋の夕空に浮かんでいる
宇宙はこわれて
とろとろの熊になった
やわらかで許された
ひとりぼっちの熊
わたしが出会うのは
その熊の孫の孫の孫の孫
なのだけど
まだだれも知らない
とろとろの熊しかいない
....
いつもぼんやりと瞼の裏に見ているものがある…
道端で何かをしている私
想像の世界のような時を
流れる夢の時間を
今日も一人 どこへ行くのだろう…
いつも感じている…
なにもわからなかった
....
なめくじの聞こえない歌声が家の下から聞こえる
なめくじの湿った心がぬるぬるの木屑から立ちのぼる
なめくじがゆっくりと顔をめぐらして食い物を探している
大食いなのだ この楽観論者は
金属質の ....
布団にもぐりこみ女の胸にしがみつきながら
それでイク二十も歳の離れた肉で
傷ついたこころや精神は洗い流せるだろうか
二十も歳の離れた女に
ネットでバイブを買わせた
み ....
真夏のような天気だけれど
窓辺からは空に
夏にはなかった濃い青が覗いていた
箱に入れられたようだった
ぼくらは黙って暇をつぶしていた
たいして暇でもないのに
ず ....
うつろをしている
ひきぎわにひとつ
あなたをみたい
とじためくら
かたちをなくした
あなたのこえが
無機質な電子音に
さえぎられて
わたしのなみだごえ
色の無い部屋に響く
「おくるから、したでまってて」
「うん」
....
かいていのえきで
でんしゃをまっている
ホームにはだれもいない
ときどきだれかくるけれど
いつもきまって
うえのほうにうかんでいく
このごろは
でんしゃもくるようにな ....
生きている人がおそろしい匂いを放っている
動物のようなクラクション
雑多な陽射しが交差しながら
肌や、路地や、建物や、自転車や、青い看板やら、を焦がす
おそろしい匂 ....
始発駅では
カルマをコーティングした
「時」が持てた
鼻毛をのぞかせ不精ひげのままで
途中下車駅では
リグレットが闊歩した
「空」が見えた
....
千年を巡ってたどり着く真昼
孤独に鳴るシンバル
居眠りする太陽
大きなあしなが蜂が
買い物帰りの
バイクの音を鳴らしていく
高い木の上で揺れる
一枚の古びた葉の付け根から
葉先に向 ....
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