すべてのおすすめ
おはよう と言うよりも先に
十二歳になったよ と
報告をする朝
きみはまだ翼の下
生まれてきて良かった? の問いに
素直に微笑む
きみのまだ知らない
悲しみと苦しみ
平坦な道のりを願 ....
その家には寛げる椅子や
笑って囲むテーブル。
眠れるベットに
洗い流す洗濯機
外界に繋がる靴やらが
何処を探しても見当たらなかった
あったのは身を護るだけの服で
何枚も山積みになったそれ ....
うずまきうずまきぐるぐる巻いて
いつか解けなくなるといい
いつかひとつになるといい
木枯らしが吹いて淋しさが増すのは何故だろう
乾ききった落ち葉を踏むと靴がカシャカシャと音を鳴らす
....
小さな袋をふたつ
満たした春の匂いは
衝動をさらっていくのには
充分すぎる
一度に押し寄せてきても
ゆっくりと迫り上がってきても
最後は同じところに
吸い込まれていく
ねぇ今
....
「比べてみよっか」と
あなたは笑って手を広げた
重なった五本指の向こう
あなたの笑顔がまぶしい
*
丁度指先三本分
ふたりの距離を
一気に埋めてしまいたいような
もう少 ....
どうしてだろうと 口に出すときには もう
半分ぐらい答えを知っているのだ
ただ、
その答えがあんまり泣けるので
海辺の砂地にまぎれてしまえばいいのにと
思うのだ
船虫 ....
朝食のバナナをほうりこみ
口をもぐもぐさせながら
ねぼけまなこで
汚れた作業着をはく
ポケットから取り出した
昨日の悔しい仕事のメモを
丸めてゴミ箱にすてる
窓から ....
071113
夾竹桃の種を
茶封筒に入れ
芽が出るのを
待っている
トンボ眼鏡の
オジさん
どこから来たの
赤い花弁の緑色
そ ....
燃える水滴たちは
河の中で流れながら
ここにいるよと
会いたい者へ 点滅
からだで示している
ティンパニーの連打に
はねうつ 飛びうつ ....
シードルを口にしながら
彼女はポラロイドになった
白い科白を口に留めて
何を思ってロックを聴いていたんだろうね
空白なら埋めてくれよ
哀しいなら泣いてくれよ
欲しいものがあるなら
世 ....
図書館のベランダからふう、の数だけうろこ、ひとひらずつ吐息に包まれた言葉が浮かんでいますねと教授、似姿、とでも言うのですか、言葉、の似姿がうろこなのか、うろこ、の似姿が言葉なのか、こたえは貯水塔の ....
冷たいアクアリウムの床は濡れていないのに濡れた色をして
あたしたちの足音を消してゆく
透明な嘘の輪郭に包まれた
透明に眠る魚たちの呼吸は泡となり嘘の空へと昇る
あたしたちはぴ、ぴとその輪郭を辿 ....
お魚畑を横切って
青い列車が突っ走る
火花がカーブで散るたびに
魚が闇夜に飛ばされる
枕木たちの音階を
青い列車が突っ走る
エレクトリックギターの弦の
レールが唸 ....
猫のながぐつ、なっちゃんは
アヒルのくちびるで
せんべいをコリリ
よくきたね
あくしゅ、あっしゅ
星のくつした、さくらんぼ
唄いながらお絵かき
なっちゃんは、ようせい
(たんぷ ....
メロウ おまえ ちい先生を見たか
庭の大きな老木に しあわせにしがみついて
羽化をする せむしの 背から
ギラギラとした 出てくるんだ
真っ昼間から 羽化だぜ
メロウ おい メロウ おまえ
....
てのひらが
形を覚えている
包み込むと
うまくおさまらないので
足りないのだと気づく
これで消しゴムを買いなさい
少年は言いつけどおり
薄暗い文具屋で
できるだけ沢山の
消しゴム ....
1.
ハイスクール・ボーイなりの事情でひきのばしたまま、と、自身の怠惰らしき怠惰な事情を知りつくしたまま、で、まったくアップテンポな27歳その年にして彼は、初めて煙草を口にした結果かどう ....
空の上に 空が あるなら そこは きっと あなたの 空でしょう
ランドサットの 青い圏
ぴえろ・ぎゃろっぷ の空
きょう 望む 晴れた 空は 青が 深い と
かなしい です ひたすらに ....
図書館の本は
公務員みたいに黙って
読まれる、という役目を
少し怠そうに待っている
田舎の図書館は
どうも品揃えが悪くて
本にも覇気が無い
手に取ってみても
抵抗はしないけれど ....
いつか彼が
窓枠にもたれかかって
初秋の移ろいを見つめていた
そして手を振った
優しい時間があったこと
思い出していた
雨が降り続いていた
ぱらぱら
窓の向こうで泣いていた
昨 ....
忘れたくないのは
あの夜の
イソジン味の
くちづけ
海沿いの駐車場で
満天の星の下
一人で眠る
車の中
味のしなくなった
チューインガム
風に掻き消える
タバコの煙
....
{引用=
いいつたえられているむかし話がある
むかしむかしあるところに
氷でつくられたある高い塔のてっぺんに
それはそれはうつくしい緑の袖のお姫さまが閉じこめられておりました
}
「ロ ....
【きがあう】
家の庭に「気が合う」が生えた
そういうこともあるんだなあ
生まれたものは
育てなければならない
私は100円ショップに
ゾウさんじょうろを買いにいく
ミドリにしようか
ピ ....
昼寝から目を覚まし
休憩室から職場への
一本道を歩いていると
路面に置かれたひとつの石は
忘れられてもなぜかまあるく
不思議とぼくを励ました
少年は言った
明日の朝
荷物をまとめて
出て行くと
片道列車で
行けるところまで
行くのだと
てのひらの少年は
そう言ったのだ
彼はいったい
誰だったのだろうか
部長室にはいつも
風が吹いてる
日あたりのよいところで
書類の端がめくれている
窓を開けているのは
たぶん部長さんだと思う
机の上で
ピストルが少し色あせてる
微笑みながら毎日 ....
はんがわきのスカートのつめたいひだがぶらさがりゆれてるのがみえる
道端にぶた草がさかんに咲き誇りきいろくあかるく
きめのこまかい空気を満タンに吸い込んで肺がふくらんだ
ガラス窓にぽっかり灯るアド ....
なめらかに透き通った朝に降り立つ
地上の空気は優しいから
とびきりおしゃれして
愛しい彼女に会いにいく
昨日の電話の話の続き
見守る太陽ありがたい
灼熱の青春 ....
あなたのひとみから
こぼれ落ちた悲しみが
約束された事象の
織り込まれた糸を伝い
ぼくを貫く
海底のような
揺らぎのなかで
ふたりの合わさった痛みは
祝杯をあげるように
胸の水盤 ....
そのくちびるから
なまえが
あふれるたび
わたしのひとみは
ちいさく
またたいたあと
もろもろを
こぼすことを
ゆるされる
のです
うつりこんだ
むらさきいろの
そ ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107