すべてのおすすめ
{引用=
***
}
ブラック・ジャックのエピソードに
すきな人が帰宅するのをずっと後ろから見守ったり
雨降りにさりげなく傘を置いておいたりする場面があって
それに気づいた想われ人さん ....
{引用=刻む秒針の 大時計の音が気になるので
夜中の階段を昇るのだ
光る猫や人形の目を避けるように
しずかに しずかに 足音たてず
針はとまる
真夜中に僕の亡霊は 音のないダ ....
誕生日というものをくれたひと
新しい湯呑み茶碗を贈った
そういうことかと
電話越しの妹は苦笑していた
本当に贈りたいものは
第二 ではなく 二度目
きっとうなずいているであろう妹は
....
光る海水を
インスタントコーヒーの空き瓶に入れて
持ち帰ったことがあります
バスとフェリーと電車を乗り継ぎ
丸一日かけてたどり着いた真昼の部屋で
虫たちは光りませんでした
何をしてもど ....
早朝
周囲があまり静かなので
ちゃんと他の人が生きているかどうか
確かめるために
始発の電車を見に行く
路上に
昨晩お酒をのみすぎた人が
うつ伏せに倒れている
マネキンみたいだ ....
なまなましい透明な輪郭ばかりが
声をともなって底からわきあがってくる。
止めようと思ってもとまらない
体が、ふるえる、ふるえる。ふるえながら
私はあなたのゆびばかりをしゃぶった。
止まらない ....
ふっとうしている
ね
ふっとうしている
で
しょう
ね
ね
ね
木が
そこから
俺のような
声がする
黙るな
それ以上黙るな
息をしてろ
ふう ....
数多(あまた)の田は
既に水が張られ
夜ともなれば蛙が鳴き、
やがて狂おしいほどの肌の火照り、
野鯉を釣った後の
烈しい血の騒ぎも抑えがたく
儀式は、六月のうちに
さも義人を装って
....
空が晴れていることを
飴玉にくるんで
青葉を打って落ちる
雨が
夜
ヘッドライトが近づく路上で
浸った黒さの中で
金色の連弾が
跳ね上げる音は
かき乱す
裏側 ....
ぼ
くははしる
ヨコ線の日々をはしり
ぬける
はしるよ
よつあしで
どてのうえは
快晴だ
「夕暮れ時がすきだといった
わたしは悲しくなる
といった
薄い光が町を
すこしだけれども透き通らせてみせるので
悲しくなるのだと
町をみた
アーチ橋の上から
静 ....
初夏の光
ひとつ前の駅で降ります
虫かごもないのに
+
栞はかつて
誰かの魚でした
本の中で溺れるまでは
+
夕日のあたたかいところに
古いネ ....
{引用=ただいま}
毎年の
「ただいま」
が年々ぎこちなくなってゆくのを
自分で感じているのに
{引用=おかえりなさい}
あなたの
「おかえりなさい」
は年々なじんで
小川の ....
きみに反するものに
触れる、それは生かされるように
殺されて
必要とされない
星が、
黒黒としたきみの手に落ちた(白いチョークが
ひいていった線に沿って、
きみの世界は
退いて、き ....
一面の草むらから、湧きあがる青い空。
向き合うわたしの窓は、青い空をもたない。
手にした一枚の写真を見て、
水を得た魚のように泳いだ海は、
黄ばんだ家族の笑 ....
かりそめの日を生きる
ちとそらのきわへと
ながくつづく道を愛したのだ
はらはらと
はらはらとふりかかる日々
ふりつもる日は
うつりゆくきせつとともに
とけてゆくけど
いたみやぬくもりの ....
もう ラヴソングも描けないのさ
日の入りが終わった天空の
マゼンタがきれいでね
良い絵が描けた後の
水入れみたいでね
そんなことを伝える人も居ないのさ
眼球の奥でつくられる
とろんと ....
長いこと 時間はたった
ずいぶんと 睫毛も 声も 痩せてしまったね、と笑う
それすらも
全部両手で抱えて持ってゆきたい 日常の風景のひとつだった
おぼつかない足取り ....
きゃはきゃは と小さな笑い声がした
留守番をしている日曜日
レースのカーテン越しにガムシロップのような
とろりとした陽光が射していた
読んでいた本を伏せて
誰もいないひんやりとした畳を這 ....
抱きしめてやると
思ったよりも簡単に
くずれるときの声を出した
髪の毛から
あまい胡瓜の香りがする
たがいの爪で
たがいの肉にわだちを描いた
俺は十八だっ ....
1ミリ2ミリを計るではないが
確かに
傾いていく肩だ
さっき歩いた道はもう充分だし
もう通んなくてイインだヨイインだヨ
リズミカルに弾いてみせて
わたしを追い抜 ....
基幹農道の左右は区切られた水面
あの小高いのは 川のへり
足の悪い男が傾斜へとうつむいている
なずなは もう しまい
つめくさは もう せんから さかり
水 ....
ひかちゃんが
幸せになるか、不幸になるかわからないけど
きっと
自分にとっての幸せってなんだろう
って考えて
探求できる子にはなると思う。
って今日着た手紙には書いてあ ....
北へ行く
体が/冬の凍てつきをやり過ごし
獰猛な春のうごめきに
耐えられるだけ
耐えられるだけの力を
回復したならば
北へ行く
氷を
待っているがいい
そこで待っているがいい ....
扇風機なあなたに。ふきとばしてください
シャワーなあなたに。うるおしてください
百円ライターなあなたに。もやしてください
植木鉢なあなたに。うめてください
そばにいたくなる。なにかをください
海へ行った
病気の母を連れて
もう一年も前
秋の始まり
懐かしい
海岸線
生まれた町
揺れないゆりかご
籐の編み目の
飴色の海
その色を
ずっとみていた
ゆっくりと歩いて
波 ....
長い時間、丁寧に水切りをされた子どもたちを
洗濯ロープに干していく
きゃらきゃらと子どもたちが笑うので
ちょっとした火花が続いた
子どもたちから出たお汁は
大切に集められて牛舎へ持っていく
....
カラーボールズ・スマイルをあげるよ。
カラーボールズ が 転んでいる
心の中の 鏡に たくさん 映る
カラーボールズ が 転んでいる
深海魚の 胃の 奥 深く 遊泳する
サブ ....
それは、静かな石だから、(青い)のです。
きっと美しかったであろう、
きみの石。
一億年の沈黙が(きみ)を呼んでいたから、
石は、ゆっくりまわれ右をして、
きみのもとをはなれていった ....
あの日
びるのてっぺんは
どれだけ
さみしいひかりがみえたの
むてっぽうなことで
きみも
やっぱり そんを したのだろうか
そっとちかづこうとすると
花をちらすみたいに ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107