すべてのおすすめ
久しぶりに地元に帰り
ふらっと立ち寄った飲み屋で
幼なじみの電信柱と会った
人なつっこい笑顔は相変わらずで
そんなことが妙に嬉しい
カウンターに腰掛け
街や人や時間の流れ、それから
その ....
また原油
高騰の影響で
野菜の値段が
上がっている
そうだけど
生命が燃焼し
続けるその熱効率は
これから永い
冬までずっと
下方向に
傾いていく
ビニールハウス
栽培の野菜を ....
九月
あなたが好きでした
あこがれの名ばかりを孕んだ
鳳仙花が弾けています
木の葉が
択んで
静かなところへ落ちつくように
黄金の峰からふく風がゆきます
夕暮れがやわく優しく
....
シャボン玉に
うつした顔が
空を舞い上がる
はじけると
わたしは幼く
母の布団の中にいる
目覚めると
またシャボン玉が
空を舞っている
お葬式の帰り
タクシーでいっしょになった
あまり仲良くなかった美代ちゃんと
彼のおもいで話をしようとしたけれど
たいして
覚えてることなんかないねって
シャッター通り
そういえば
....
夜中の2時にやって来た
そいつは
モニター越しには写らない
チャイムが鳴ったかどうかはわからない
勝手に土足で上がり込み挨拶もなしに
煙草をふかす
レインコートを被った
そいつは
....
積み重ねた
尾根の斜面を
流れ落ちる記憶の
管が開いては閉じる
ガラスにぶつかる
氷の音が
今は聞こえない
牛が食べたのだ
好きに呼んでもいい
動物を眺めながら
牧場で母と ....
かみさまが 足あとを
のこすのは きまって
救いへの 導きだから
すいません その道は
しばらく 使いません
夢のように細い骨で
ぼくたちは生きてきたんだね
愛についてを乞うたのならば
骨と枯れても
幾千
幾憶
そこには声があった、と
想う
....
僕の今いる部屋からは月は見れん
窓から乗り出して東を見ても黄色い奴はおらん
パソコン閉じて さあ帰ろうかなんて思うときに
そういえば最近 月を見てないなぁなんて
センチな発想し ....
071005
壊れたカバンを修理する
汚い顔したオヤジさん
キモイ姉さんニッコリと
駱駝の背中でお休みだ
テレビの修理は明日だぜ
これから新宿 ....
ただ、ひとつの線
そのさきの
きわみ
静けさ
甘みを増してくる
過剰なざわめきに
鈍い、だが長い
痛みに
蓄積されたのち
放たれる
腐臭に
耐えつづけるこ ....
油をひいたばかりの床に
児らの笑い声が散らばっていたので
つまんで手の平にのせたら
ころころとふるえて弾けた
遠き山に、日は落ちて
白墨を移した袖口に
西日との混濁を見る
小さな胸に ....
ひらたいいしをえらんで
すいめんにむかってなげた
とんで
とんで
とんで
しずんだ
しばらくのあいだ
ぼーっとしてた
いぬがとおりかかって
わん、とほえたから
ぼく ....
あまりに静かなので
どうしたものか
耳を澄ますと自分が
階段になっていることがわかる
踊り場には
温かい春の光が落ちて
多分そのあたりに
思い出はあるのかもしれない
遠くで ....
やさしい足で走っていたら
胸まで砂の入る転びかたをした
目の前にある白く小さい手は
逆光で誰ん手か判らないまま
わたしはその手にすがろうとはしない
胸に入った砂が肺で
雑ざりあって ....
マシュはとなり町の病院で死んだ
マシュが愛した
マシュの本屋では死ななかった
マシュは本屋だった
この町一軒の本屋だった
マシュの店は正方形
そこにふるびた黄色い本
この ....
-「戦後」に
手足が期待のようなものに透け
それを静かに束ね(斜光が胸を薄くする
「きみ、腕が痩せたね
「僕、肩が落ちてね
窓の外から
母たちのお ....
中学二年のとき病室に住んでいた
学生寮を退寮になって
遠い親戚の病院に住まわせてもらっていた
頑丈なベッドしかない部屋だった
病室は2階にあった
塀をよじのぼって
....
おじさんをたずねていくと
いとこの女の子が大きくなっていた。
久しぶりなので小遣いをあげると
喜び跳ねて菓子屋に行った。
秋入梅のなかで、妙に晴れたこの日に
おじさんはや ....
かつて絆という
名前があったように
離れてしまった言葉の
名前を呼び続ける
声と声が平行して
共鳴する音色は
美しくせつなくて
呼び方は違っても
意味は等しく
軌跡となり
記される ....
あいの里
しのつく秋の{ルビ雑木=ぞうもく}
湯ぎりのしずく
かじかむむねのめぐみよ
髪を結い
知らぬみちをぬけて
はにかむ街へ
いつか人とはぐれて
ふちにたたずむ
銀のあかりあ ....
どんな町にお{ルビ囃子=はやし}が鳴り響いて
どんな町で葬列が連なってんのさ
僕は家へ帰る
青と黄色と黄緑のガラス窓が
なにかしらハンマーで叩き割られて
キリキリ、と
破片が落ちてゆく床に ....
て、手を伸ばして
やわらかくてをのばして
その、影
ぼくらに届いて
君は
ぬりこめられて
たいよう
やさしくしずみこみ
耳のあな
つぼみのように閉じ
ふとんを頭からかぶ ....
夏を ほどいた
波が
少し
季節はずれの
サンダルのつま先を濡らす
ここに 影もないのに
わたしは 何を 期待しているのだろう
打ち寄せる 波のレースは
その度ごとに
....
自分の名前を忘れてしまった
お婆さんのお尻を
「よっこらせ」
と抱えながら
車内の椅子に乗せた後
息子の嫁さんが
「これ、ありがとうございました」
と透けたビニール袋を手渡し ....
ほら みて
ふってるよ
と
あなたが言う
窓の外をみると
ぎゅ っとひざをかかえた雪
みたいな雹が
こつこつと
じめんにおちてきた
なんだろうね これ
ひょう ....
・
駐車場で暮らす人と知り合いになった
駐車場の
車一台分に四角く区切られたスペースに
うまくお布団を敷いて
机を置いて
入れ替わり立ち替わりする車のヘッドライトを灯りにし
雨が降れ ....
のぞいてごらん、おまえは蓮華畑で興奮している、鼻腔を刺激する春の芳香のなかで、何かを追いかけ、また何かに追われて、ちいさな蓮華の花を踏み潰すたびに熱くなっている、いけないことをし過ぎて気持ち良くなった ....
街に日が射して
コンクリートの
続く壁面が白く発光しているのを
たよりにつたって
あるいて
その擦り傷のようなざらつきの
わずかな影のさき
壁の尽きるところの
晴れや ....
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