すべてのおすすめ
お風呂上がりで椅子に座る
目の見えないハルさんが
ドライヤーで髪を乾かす僕に、言いました。
「新しい靴もねぇ、
毎日々々撫でてやったら
だんだん馴染んで来るんだよ・・・」 ....
自宅の階段で転び
{ルビ痣=あざ}で膨れた顔になり
10日ぶりにデイサービスに来た
杖をつく、お婆さん
手のひらの神経が痛み
昨日の深夜に目が覚めて
寝不足のままデイサービ ....
春は抱かれ
燃える
緑が芽吹くにおいに居て
眩む
むせかえる
しびれ
新しい手足を産むときの
吐息
甘く
金色のひかりを浴びて
たくさんの顔が歩く
小さな子に
人種について ....
春に迷い込んだ赤とんぼが
ゼンマイをキリキリとうたわせた
ブリキのおもちゃのその中の
ブリキでできた心臓の
あんまりとんぼが赤かったから
ブリキはとんぼに恋をした
おもちゃであ ....
100423
あまくだりの
やくいんの
ほうしゅうが
たかすぎる
洗い流せ
背中の
垢
小舟の中に堆積する悪習
さおを差すタイミン ....
ひっ掻き
傷 傷
水滴 水 そら
硝子の縁も
こつんと 鳴く
空
薄らぐ
高速バスのなか
6時をむかえ やがて
針は2分を示す
尾灯 ....
そして、最初のはなしをしよう、
どうして始めたのか、どうやって始まったのか、
それがわからないから、お父さんと、
お母さんの、名前をじゅんぐりにつぶやいて、
そのなかにはまったくぼくがいなくて ....
ふくらはぎに内蔵されたばねが
ゆるくしなやかにたわんで、
私の躍動を確かなものにする。
大地をつかんで
重力にさからう
陸上部のショートパンツは今、
空気よりも軽い。
春にか ....
降りているのか
上がっているのか
分からなかった
肩を並べてなのか
今からすれ違うのか
降りているのか
上がっているのか
分からなかった
幻なのか
悲しみなのか
降 ....
息子が
ひらがなを
逆さまに書いた
いつから僕は
鏡の世界に
いたのだろう
左から分けた
髪が右に
そよいでいく
街宣車の怒号も
静かな春に
よく馴染んで ....
てのひらを
みみにあてると
なみのおとがきこえる
そのうみを
いっぴきのおおかみが
わたっていく
とおいむかしに
ほろんでしまった
くにのしきちに
さくらがさいている
....
瀬戸内の海辺からは
ぼんやりと霞んで
青い島々が見える
潮が満ちてくる頃には
波に防波堤が
飲まれそうになることもあるが
それでも
外海や日本海の波に比べたら
穏やかなもので
停泊す ....
寒暖の差
激しい春へ通う
家族の背中を見送って
昨日の色々を
洗って干して
一番乗りではなかった
ロッカールームで 常連の中年女性が
油もたんぱく質も無い体を あらわにしている
錆び付いた金属のような 褐色の人
臆病者のこんにちは、は 届くことなく
乾いた音を響かせ ....
歩き疲れて立ち止まり
雨がしとしと降り出して
静かに静かに降り出して
道に敷かれた石畳
次第に次第に濡れてゆく
並木の青いプラタナス
静かに静かに濡れてくる
歯を食いしばり空を見 ....
くちびるからこぼれた息の糸は青くのびて、しなやかに細い鋼材として夜を螺旋した、あなたと交わした指止めはあまり物の工具のようで、小さな廃墟のテーブルと、小さな廃墟のランプと、よわい背 ....
根菜を切る
すとん、と
やわらかく
響くまな板
根菜を切る
おおまかに
あたりをつけて
あとは
力を込めるだけ
そんなふうに
もう
あなたに告げるのだ
楽しかった
....
また首になりそうだよ
顔のない父が言う
もうとっくに切り落とされた首を
また切り落とされるまで
明日もできるだけ頑張って
働きにいく
もの心つくまで
父の首が玩具だった
....
心の世界を出ていくときも労働者だった
失われた 財布の中身から
取り出された 午後のひとときの見つめさせられていた
砂利が蒔かれたばかりの 午後の工業地帯の片隅だった
僕はひとり 一台のト ....
強い風に飛ばされないように
セロハンテープで貼り付けるウサギたち
やぁ、君も手伝ってくれないか
ところ狭しと駆け回っている。
いや、私には結構だよ。
やんわりと断る
そうやって、散らないように努力する ....
{引用=
雨ふる夜更け
テレビを消した後の静寂
凪ぐ海辺
心拍数
きゅうに予定の空いた休日
おかけになった電話は、
電波の届かない場所にあるか、
電源が入っていないため、かかりません。 ....
自動改札機なんてまだ無い頃
駅員さんに
切符に切り込みを入れてもらう
そのタイミングを計るのに
ドキドキしていた
ちょうどよく駅員さんの前に
立ち止まることができるかどうか
改札に入 ....
エイプリルフール
ふいに飛び込んだ訃報
満開の桜のなか
見送られたあいつ
今頃なにしてんだ?
どんな顔してわらってんだ?
残された僕ら
いつもと変わらず過ぎる日常
少しだけネジ外れ ....
あこがれは。いつまでも。うたをきいている。えがかれた。おわらない。かなしみが。きえていく。くるしみのなかで。けとばした。こえ。さよならは。しずかに。すべる。せなかと。そら。ただただ。ちかくに。つきの。 ....
いくつもの音階なのだ
テーブルの上にある 声は
落とされていくその言葉として聞かされた
その言葉として そこで 転がった
言葉の響きを聞いた
テーブルの上にいた 僕は
今はもうすでにな ....
うそになる
うそにならないように
きもちをつたえると
うそになる
ほしいものは
ほしいとつたえないと
うそになる
うそにならないと
みんなどっかへ
どっかへいってしまう
うそになら ....
つぶさに観察する 肌のふるえは
ワーグナーの夕暮 悲しいと口にせず
夜の海の不気味さ 重なっている
しのびよる闇に無限の波
新しい歌などどこにもない
はじめからあるものしかない
たぐり ....
ぼくのだいすきなキリンは
いまは海の底に居る
まだぼくの魂が
果実のようにやわらかだったころ
キリンが夜泣きをやめられないぼくの
なみだをそっと舌でぬぐってくれたのをおぼえている
キリ ....
ゆらゆらしていたぼくらの帝国は終わりアジアがカンフーな世代に新しいものなんかないのです。iPhone裏面のリンゴの鏡面に夕暮れが切ない反射の家族atショッピングモール的な幸福に、はしゃぎまわる子供とは ....
鳥がみどりに
ひっかかっている
そこからはばたくそれは
とつぜん現れた影のようだった
今夜もまたワインよ
いちにちの疲れ
ぼくに差し出せよ
ぼくの疲れは癒され ....
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