すべてのおすすめ
砂糖は山盛り三杯
白くなるぐらいミルクを入れて
少しぬるいぐらいの温度で
こんなコーヒー僕はまさか飲めないよ
甘党で猫舌な君のためさ
あたし ....
棚の上に置かれた
小さい額の中は
去年の祖父の墓参り
過ぎた日の
こころの{ルビ咎=とが}を忘れたように
墓前で桜吹雪につつまれ
にっこり並ぶ
母と祖母
雲 ....
バス停の近くで生まれ
バスを見て育った
バスを見ていないときは
他のものを見て過ごした
見たいものも
見たくないものもあった
初めての乗り物もバスだった
お気に入りのポシェットを持って
....
囁くような声で歌いながら
磨り減ったペンの先で
点と点を結んでゆく
誰かが残していった徴と
それを結ぶ行為の意味も
やがていつしか変わっていくだろう
触れたぬくもりは
テキストよりも映像 ....
「親父はがんもどきだね」
「お前は豆だよ」
「母ちゃんはさといもだね」
「いいやじゃがいもだ」
「婆ちゃんはもはや梅干」
「それはそうだな」
ぱりっとした衣に
じゅ ....
くらがりのへやで
みたされないおもいをうたって
いろがついてくもじをなぞって
ほんとうはきみがすきなんです
よにんでながめている
ひかるがめん
そのあいしてるは
だれにうたってる ....
言葉なんていらないなんて言ってみる。
水族館はもう飽きた
ぼくらは都市を閉じ込めたかった
一瞬を
フラッシュをたいて、めをつぶらぬよう
外は豪雨と雷
出られないね、とつぶやいて
....
呼びかける名を一瞬ためらって
声は父の枕元に落ちた
あの日
医師から告げられた、
難解な病名は
カルテの上に冷ややかに記されて
希望の欠片も無く
黒い横文字となって嘲い
無情に ....
先日詩人の夫婦に会い
日々寝不足の夫の目に
{ルビ隈=くま}ができていたので
妻に「大丈夫?」とメールした
妻の名前で受信した
返事の中味の文字からは
「大丈夫だよ」と
夫 ....
街をひずませている調性のない
属性をもったビルディングが
太陽にむかっておじぎしている
じりじりと今
風は耳をすます
調性のない音のうねりから
こぼれおちるものをひとつ
すくいあ ....
たったひとりの あなたへ
とどく かもしれない
ことばの しんじつを
かんがえて こどくを
えらんだ のです
はじめまして。
夫との初めてのドライブの別れ際に、あなたのことを聞きました。
あれから2年。
ようやくお会いできましたね。
あなたがいなくなってしまった歳を、夫はもう5つも越えてし ....
虹は
見つかることで
虹になるから
虹かもしれないね
僕たちこそが
あの虹の
おもいでの
半分くらいを
間違わずに済ませたら
上出来だとおもう
ごらん
途 ....
どんなに鮮烈な映像も、感情も
あとからあとから
注ぎたされる
とろりとした夢水に
輪郭を曖昧にして
とらえようとするほど
淡くまぎれてしまう
過去と未来の、あるいは
前世と来世の狭 ....
彼女は明るい細部をしている
指が超高精細ロケットの
明るい反射光にきらきら
光っていてまぶしいんだ
原っぱでみんな風船もって
色とりどりの風船もって
さあとばそうよすぐとばそうよ
....
めをつぶると
しん と
みえる
それは暗い水に浮かぶ
水銀のようなひかり
それをすくい上げると
すこし かなしいおとがする
とうめいなうみの底で眠る貝殻
いつしかそれら ....
いつもの路地で歩を止めて
通りの向こうに目を遣れば
隙間だらけの
小さな町を
関係のない
繋がり方をしている
建物と僕と真鍮と
霊魂とドブネズミと太陽と
一つの器に雨が降る
笑顔 ....
{引用=*四行連詩作法(木島始氏による)
1.先行四行詩の第三行目の語か句をとり、その同義語(同義句)か、あるいは反義語(反義句)を自作四行詩の第三行目に入れること。
2.先行四行詩の第四行目の語 ....
盛りに
胸像の彼女は太陽の中に沈んで溶けた
彼は銅像のように停止して笑ってみせた
また、冷えて固まっていく季節だ
薄い皮膚から
光沢が失せて
にび色の空の
凍結する{ルビ質=たち}の ....
32時に電報が届く
引き摺った着物の裾を
捕まえようとする猫がいる
幾らかのカットインを経て
緩やかに溶暗している背骨
花柄のシーツは血に汚れ
さよならの挨拶は砂に埋もれ
....
残業の時刻
隣の机の同僚が ぼりり と
飴を噛みくだいた
「 お年寄りにもらったの? 」
「 はい、Tさんから 」
耳の聞こえぬTさんは
お婆さん達の会話にいつも入 ....
骨と脳の間を
細く
傷つけて
線を引いていくような
砂粒を
一粒ずつさらって
ためつ
すがめつ
引かれた線には
流して
血液
のようなものを
ただ、薄く
川筋は浅はかな
....
埃がとれない
枠組の窓は青色のオレンジ
壁紙を伝って
薄目をあけてなぞると
手のひらに体温が付着した
温度何℃?
八月の休暇の名残
この部屋の床が風鳴りをたてながら沈めていく時
午後四 ....
長崎の夜景がきれかった
それを見て
こころもそう
動かない俺なのに
ひとりで口に出していた
街ぜんたいが
坂にこんもりとしていて
それは
生き物たち ....
おもいは目線のさきにあり
よそう前に 両手あわせます
名前も住所もしらずに ここにきたこと
目線のさきは しろいしろーい もちもちのふんわり
とどきすぎる、炊けるにおい
今夜 いっぱいぶ ....
ひとつふたつと
どんぐりの実を数えながら
息子は
年の数をおぼえた
ぼく みっつ
小さな指で
小さな生き物のような木の実をつまんで
みっつの命をならべていたが
あっというま ....
合わせた背中の
その裏の
鼓動がわたる
2丁目に
ちょこんと正座の
恋心
欲望絡みつくアラビアンナイト
踊り子の華麗なるベリーダンス
マハラジャは結婚を申し込むが
踊り子は首を縦に振らない
彼は強大な財力を使い
あらゆるものをプレゼントした
....
夕暮れと同じ色をした
雀の群れを乱しては進む
道標を飾る白い花
いつの世も悲しい子らはいる
わずか数秒のねむりのつらなり
分かるはずもないくりかえしのわけ
ねむりのまま ....
全てを飲み込んで許し
傷つけ吐き出す
砂
片足がほろんでいる男の
肘にぶら下がる女
際限なくせばまり風にうずまく砂は
常に何かを形作ろうとし瞬間
走るように崩れ去り
うめきすら ....
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