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忘れたくないのは
あの夜の
イソジン味の
くちづけ
海沿いの駐車場で
満天の星の下
一人で眠る
車の中
味のしなくなった
チューインガム
風に掻き消える
タバコの煙
....
囁くような声で歌いながら
磨り減ったペンの先で
点と点を結んでゆく
誰かが残していった徴と
それを結ぶ行為の意味も
やがていつしか変わっていくだろう
触れたぬくもりは
テキストよりも映像 ....
明け方のビル群は
墓標のように見える
おれはタクシーを拾って
車のまばらな御堂筋を
一直線に南下しながら
疲れた頭の片隅では
死ぬまでに稼げる金を
ぼんやりと計算している
アス ....
ペットボトルの中の液体が
あなたの喉に落ちてゆく様子を眺めながら
みんないつか死ぬのだ
ということをあらためて確認する
悲しみよりも大切なのは
明日の朝食べるパンで
切なさよりも大 ....
明けてゆく
夜の濁りが沈んで
上澄みみたいな
透明な青に
鳥のかたちの
見慣れぬ生き物が
一羽
滑空して
かき消すように
蒸発する
黒い河のほとりで
まつ毛の先
震わせながら
....