すべてのおすすめ
いっぴきの蝉が
務めを終えたように
仰向けに落ちて
空をひっかいている
親しんだ木々の幹に
戻る力はもう無い
おまえの瞳が
磨きたての宝玉のように
くろぐろと光をたたえるのが
....
坂道のぼって十字路へ
薬局、食堂、てんぷら屋
くさみち、赤道、平良川
信号 渡って瀬戸物屋
バス停に立つ僕
落書き、はがれかけ、路線図
くさみち、赤道、平良川
指で明 ....
mean meanと蝉がぼくを詰っている
いじわるなぼくは
アスファルトにおちているつよい水性の日差しをひろってたべる
夏というのは架空とおもう
ふとてのひらをすかしてみると
うすい水か ....
AKB48の小野恵令奈ことえれぴょんが
今夏限りでAKBを卒業する
そんな夏なんだ
買ったときは三十センチほどだったマングローブの木が
もう一メートル近くに育った
葉を触ると
つるつる ....
小学校から帰って
叔父に自転車の運転を習う
家には大人用しかない
「両足がとどかないよ」
「おれだってとどかないよ」
叔父は自転車のサドルから腰をおろして
片足しかとどかない姿をぼくに見せ ....
前田屋というそば屋で
四人でそばを食べた
あれが最後だったと思う
ほんとうは
生まれたばかりの息子と
奥さんのそばに
いなければならなかったのに
遠いところから
会 ....
ラジオノイズ
三秒先の暗闇から
明日の天気を届ければ
雲を脱ぎ捨ててしまう
その少女、青いシャドウ、巨大な蛾のような
指先に灯る重力が
心をそっと撫でてゆく
....
死にたい死にたい死にたいが
....
どこからか草刈り機の音が聞こえる
生ごみをコンポストに入れる
夕方の風は涼しくて
空には五本
爪で引っ掻いたあとがある
端っこの赤いところから
ゆっくりと解け、崩れていく
なにかもっと真 ....
光に目を凝らすと
色彩が失われ
あらゆるカタチはこわれている
ひとつの塊にしかみえなくなっている
蠢くものの姿がみえない
ほかと選別できないから言葉がうかびあがら ....
真夜中
帰宅すると
家の前に車が停まっていた
父さんだ
と信じて
走っていくと
みじかくパッシングして
行ってしまった
あれが
父だとは思わない
もういないことは
....
服を脱げば
汗をぬぐえば
そこには
熱い風でもない湿りでもない
夏が
夏というものが現れる
幼子のころを思い出すなつ
幼子はおとなにあこがれた
おとな ....
昨日をかばんに詰め終えた
坂道 秋の木立 四種類の蝉の歌
清掃工場の煙突と浄水場のタンク
ダンスを始めた稲穂たち
鎮守の丘と用水路
高速道路の高架橋
思い出の風景をぜんぶ閉じ込 ....
スーパーマーケットの
タイムサービスで
父が売られていた
お惣菜売場の隅に
さみしそうに立っていた
私が買った
うれしそうな顔をする父に
何か食べたいものはないか尋ねると
....
線路というやつはなんだって
この直線的な箱を
ねじ曲げることなく
流していけるのだろう
緩やかに曲がってくクセして
ぼくは客車のぱさぱさとした手触りの赤い
キルトのようなベッドの上 ....
あなたを何かに見ていると
白いジュースも遠くの中で 見ないのなら
駅の 何を
飲んで 光る
夏の風景を 袋は 私の向こうに
見えないものを たぶん 柵に
そうだ わからない ....
{引用=
夜と夜を縫い合わせて
足を組み替えて
電車のシートで眠った
体中の
軟骨に混じりこんだ鈍器が
ゆっくりと再整備されるような気がした
嘘っぱちばかり
書かれた雑誌が
僕の頭の ....
月影と電信柱
かえりみちに天球の模様替え
エンドロール流れ去っていく感じに
星の浮遊をあやつって
街路灯、壁と窓、住宅街つややか
重なる吐息みたいに
暮らしと暮らしが混ざり ....
引き潮に雨音が混ざる
夏の浜辺
探せなくなったあの子の
足跡が消える
砂に残る蛇模様
かすんでゆく水平線
瞳の奥でざざんと縛 ....
302号室の独身男がビデオデッキのスイッチを入れる頃
122号室の主婦は子供を寝かしつけてビールを飲む
209号室の小説家志望は10本目の煙草に火をつけて
501号室のOLは地元の彼に電話で愚痴 ....
高速道路からみえる
一番目立つ集合住宅
おそらく
ここは
八王子あたり
名前を
つける
マツリハイツ
窓のひとつ
ひとつに
すき
きらい
を
はりつける
頭だけ ....
鉄琴ではなく
木琴でもない石の琴
あれは石琴なのです
世界各地のストーンサークル
少しサイズありますけども
それはもちろん
時を測るための天文台でもあったことでしょう
暦は抜き ....
だれにもある 約束
いちにちいちどの彩りだから
乱暴な手さぐりで朝を
朝を失くさないで!
テーブルにひとつずつ料理を整えるしかたで
わたしも わたしに埋もれるあなたにも
こ ....
今日も私の気は気づかされる。それは確かなのだろうかと思わされる。しかし今日も帰るだけだ。何もすることすらないだろう。私は今では家の意味すらもないのだろう。会社にクビにされたばかりだった。誰のことも何も ....
空に月が照っている
世界はじぶんのこころだ
失意のとき
目に映るものたちが
励ましを感じさせてくれるなら
微笑んでいてくれるなら
きみの町にいま月は燃えているか
....
100822
本物件は建坪率を超過しており
同規模での建てかえはできません
なんじゃこらと電車乗り換え
お客様は帰られた
中古の一戸建てを売 ....
恋の終わりは
キリバナ
キリバナ
死んでいるのか
いないのか
ガラスコップの
一輪挿しが
あっけらかんと
咲くように
私は
あなたを失って
冷たい夏を咲いている
も ....
あの日、あなたは逝ってしまったと
聞いた
ぼくはドーン・グロウの朝焼けを
小さな宝石にして
ポケットにしまった
憎しみは残り続けるかもしれない
しかし、憎しみとはなんと
陳腐 ....
ノートに幹が
木陰が倒れる 転がる車をなくして
コインの葉から
水が転がり落ちていく 赤色の靴を
茶色がなびく なびきながら人が転がる
靴が倒れている 鳥と話しをしようと 飛んでいく
....
それは優しく
ゆっくりと開く花だった
何度も地面を打つ雨に
流された花びらの
消えて
僕は
それを全部覚えてる
袖口から
千切れた会話の続き
明日が
....
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