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鍵を持っていたんだよね、君は
閉じた空に背を向けて、僕らは山へ登っていく
道筋を辿って、汗をぬぐって
ひたすら
足の上下運動を繰り返す
ねえ 君は
上下運動なん ....
一枚だけとります
はじめの折りすじのとおり まず半分 それから
もういちど半分
自民党の文字と園芸の新書のタイトル
お悔やみ 不明者の名前と スポーツニュース番組
犯人は弟でした ....
若いときいちばん食べた即席麺は日清のあれではなくサンヨーのサッポロラーメン醤油味だった。
大きめの丼に粉末スープと麺をいれ刻みネギをのせスパイスをふりかけてから熱湯をたっぷり注ぎ
大学ノートで蓋を ....
寒気が
どっさり
目覚まし時計を押しのけ
郵便受けには
号外の雪が
詰め込まれている
のだろう
起きぬけのトイレから
スニーカーをつっかけ
目を閉じて
つま先からゆっくり踏みし ....
東京の空に
こんくりぃとのビルが張り付いているのが見えて
はいいろに見えた
ネズミがかじった こんくりぃと
そこには何にもないのに
怯えた顔して 歩いてるひとがいて
マックの100 ....
タイヨウが
くるくるっと回って ぱーーん
口をすぼめて
ぴゅーっと吹いたら ぴーーひょろろーー
歌が聞こえて
ふふふーーんの へーんの ぽっかぽかーー
ひらがなで
○ っ ....
座礁しながら ふっくら
帆をはり 夕波に
額をあてて うしなわれる
熱量を 愛しつづけた
おれたちの 船に
おだやかな鳩のように
私はうたたねをする
窓の外は明るい雨
静かにふっとうする時間
やがて雪になる事を予感する
読みかけの本はレイ・ブラッドベリ
夏の草いきれがむっとたちこめる
....
足のなくなる夢を見た
明くる日
そっと旅立つことにした
ボストンバッグには花びらを敷きつめた
赤い 椿の花だ
空は白んで
風はたおやかに
光は痛々しく心に染み
地上には格子状の ....
ガラス張りのダイニングテーブル
くつしたのグレー こきざみにグレー
台所のグリーン イエロー グリーン
(にんじんは もう くさってしまったよ)
ガス台の上で男の子たちが ノー ....
やすやすと 季節をまたぎ
人称をこえ ほんのり
羞じらいつつ 空の頂に
ほんわか 巣をかけて
すやすやと 眠りたい
真夜中
帰宅して灯りを点けると
妻の気配が待ってる
まだあたたかいから
一緒に夕食を食べて
少しだけ話す
朝
妻が僕を見送る
隣には
昨夜の妻もいる
その先で
いつかの ....
ぼくとぼくとぼくというのがぼくたちのことだが
そのぼくたちのなんということもない
へそで茶でも沸くような
毎日のことを
(毎日とは日と日と日と日と日と……)
前評判を置き去りにでもした形で
....
カメラマニアの父は
ファインダーを通してでしか
娘を見たことがなかった
娘の結婚式の日
撮影は業者に任せたので
父ははじめて娘を
ファインダーを通さずに見た
僕が欲しかったのはこ ....
時空は
踊っていました
ぼくは、といえば
女心などというものはない、
女の人に心があるだけなのだ、と
わかったようなことを思いつきまして
抽象が
めくれていくので
ぼんやりとし ....
キン、と手が凍る夜
決まって裸の木になって
斑になった空の隙間に
貴方を探し始めます。
「いらっしゃいますか、まだそこに」
三日月が私に笑顔を向けて
安堵したのは数日、{ル ....
冷凍庫に
たくさんの思い出が保存されている
消費期限が古いものから解凍して
毎晩妻と二人で食べる
これは去年の夏の海ね
妻がうれしそうに話す
去年の梅雨の日のドライブ
まだ残って ....
曇へ向かう本
曇へ向かう本
忘れられた頁の
砂と波と息
羽に包まれ
石が流れつく
本は見つめ
火をふりかえる
雨が雨に落ち
空になる
手のひらの空
し ....
しんえん と呟きながら
浅瀬をえらんで 辿ってゆく
夢をつたうひんやりとした風が
時折 うなじに触れてゆく
誰かが指をつないでくれているような
そうでないような気がする
深淵
踏み込 ....
陸地がだんだんと溶けていってしまったので
今はもう 小学校の運動場ほどの大地
そして水平線
終わりに着いたんだね、と君は言う
....
息苦しくて書けなかった
だけど
今ならわかる
あなたを信じていなかった
そうじゃないか
世界は
誰かを裏切ることで
幸せになっていくから
無償の愛がここにある
と
私はいい ....
羊たちが目覚めて草原をさまよう、朝の陽は山々にさして、青みがかったきみの虹彩に映るのは昨日落としたまま忘れてしまったきみの幼年時代だ、きみは蜂のように騒ぎながら羊たちと踊る、朝の食事の合図が聞こえてく ....
さん、と僕の身体を抱きとめた草が音を立てた
風に撓る青い草原の
むせ返るような草いきれを感じて
濃密でしめやかな匂いにくらりと倒れたい
羊雲が速いペースで視界の上を飛び越える
....
ばかだな
いまなら
ばらだって
いきていたろうに
さびしい
よるには
なしくずしに
らんどすけーぷをちぎる
オリオンの三つ星
・
ルビーの睫
ヴァリエーション4、 ....
曇ってても干し物
ネコがガラス越しにそれをみつめて「ウーン」と言った
わたしは水筒をつかんで「冷てえ」と言った
昨日、珈琲を入れておいたやつ
一月一七日が近づくと 朝靄の中 仮設住宅の立ち
並ぶ 通学路を抜けて 初めて学校へ行った日を思
い出す 眠る街は 雪を待つ すれ違うこともでき
ず 呼び止められて 思わず受け取ってしまった 優
....
冬の雨は
フロントガラス曇らせて
季節はくりかえし
ふたりになにを言い聞かせていた
/
あれは冬の白いひかりだ
鳥たちの一斉のカーテン ....
コップしかない家
水とともに夜を
飲み干す家族
幸せでしかない事
テア・ドロップ
みたいな形
月が風に
たなびいて
夜明けのいろした
足長を待っている。
ねえ にんじんさん
なんで きみは あかいんだい
おふろに はいったから?
やけど しちゃったから?
だれかに たたかれたから?
つち ....
言葉のひとつ
近づいてきたら 追いやって
離れそうになれば 手繰り寄せている
縁側でする遊びのようで 意味なんてないのだけれど
笑顔の会話を 遠くにききながら
追い払われたひとの行方を ....
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