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雨あがりの道を母と歩いていた
虹だ
おかあさん
虹だよ
ふりむくと母はいなかった
手の感触も覚えていない
母はよく左の胸をおさえていた
あれは母の癖だとばかり
思ってい ....
裸足で しるされた やはらかい 足跡に
さらさらと 波が 水を しみこませてゆく
その消滅の a・b・c(ア・ベ・セ)たちの
静かに 弾けあがってゆく モノフォニーの
....
わたしが シンデモ かぜはノヲ 吹いて いるだろう。わたしが シンデモ かぜはふくのを 辞めないだろう。わたしが シンデモ 人々は争いを 止めないだろう 。わたしが シンデモ 人々は平和を ねがって ....
火の大輪が 咲きほこるのを 待った
ふたり 森蔭の 薄明の ベンチで...
おおきな 火祭りのピエロ 花火よ
ひかりの 満ち潮を ください ....
おくさん わたしね
まいにち あぶられ
むされて もはや
なまもので ないから
あんしんして たべて
視覚は記憶
聴覚は予感
触覚は誤解
味覚は現実
嗅覚は本能
風にまじった君の匂いに びくっ とする
夏に凍てつく
雨は胸をこして硝子玉になる
抱いている
空のように抱えきれない空を
わたしのてのひらも腕も
骨になり粉になり空中に舞った
雨は風鈴の匂い
哀しい ....
暮れてゆく暮れてゆく
錯誤してきた人生に
さようならを言うくび傾げ
ゆっくりゆっくりの足音が
あたしに何かを加えたり
時には奪ったりする
あらゆるものを取り出して
綺麗に洗っ ....
南にむかって
角をひとつ 曲る
てのひらに
陽の照るように
ゆっくり
あなたのほほからたちのぼる
あたたかなあめの 午後は
甘くて
空をむかえる地べたのように
五つのゆびを ....
クレープを たべながら
女の子たちが へらへら
そよかぜに とばされている
男の子たちは ぼろぼろ
あるきながら こわれている
国境には まだ 霜が 降りて いた
ぼくは ひとさしゆびを かかげて
空 いっぱいに 伸ばした
虚空の なか 水の 夜明けの アラベスク
{ルビ四十雀=しじゅうから}が ....
にわか雨は 去り 桜草の 露の うすももいろに
ぼくは きょうを 生い 立って ゆく
( 撒き 散らされたんだ )
それは ブリリアントに かがやいて
偶成の 初夏 ....
ヒトラーの「わが闘争」を
いつもポケットに入れていた
まるでサリンジャーの小説の
脇役のようなH君から
十二年ぶりに電話がきたのは
二年まえのことだった
十二年前H君は中国人の留学生に ....
病窓の 最後の 一枚の 葉っぱ
とは ちがう 美しい まだらな 編み物の
精緻な 空間が 午前の ひかりの なかで
なごやかな シラブルに 響くのを とおく 聞いた
....
そこでは ぼく と あなた と だけ だった
ふたり... 手のひらの 傷穴 を 帰って いったのは
日がな 窓の眼の まま いっぱいに
高まり 止んでは ....
月 星 を 必要と しないよ
陽光を 恋さない つれない 夜
あたりが 眠りの なかに あった 夜 に
茫洋な 空路から たましいの まなこたち が
目ざめを 見開 ....
遠くばかり みていると
いまを みうしなってしまうけど
遠くをみてないと じぶんを
うしなってしまうから
いつでも星を さがしているんだ
春、という5月の
光って市ヶ谷の駅の光って階段の小さな窓の
(その駅は、黄色い線の入った電車が水のほとりを走るところの)
ちいさい音楽を
グレーをつつみ隠す太陽色の平行四辺形が4つに
手のひ ....
誓いの しるしは
むすばれた
手でなく たがいを
うちつらぬいた
星のきずあと
一.
春待ちゆびが
くちびるにふれて
かた
むね
こし
と
跳ねていく
抱きぐせがつくからだめよ
二.
ぱた ぱた
と舞う洗濯物を
清潔とす ....
みきわめて いっせいに
ちらした そのわけの
まさにその ありかへ
りょうらんと はなを
おくって たむけとする
だれかれかまわず 噛みついて
信者をふやしているが
きみだけは天然のまま
わたしを
蹴ってほしい
赤ちゃんが乗っています
世間でステッカーがはやりはじめると
和泉町3丁目にある零細ステッカー会社の社長はへそまがりだから
赤ちゃんだけ特別扱いするのはおかしい と言い出し
次のような亜種をどん ....
ふるいうたを うたってよ
みどりもえる ことばを
きかせてよ せかいの
くちびるが いちばん
やわらかだったときの
とても美しいことを書けそうだと思って
さわりかたをそっとしたりしてみる
きみへ続く空中はゆらいで白く
物理学の本ならばたとえば
ペットボトルの曲線をなぜて
やわらかに跳ね返っている
春先の ....
さした花が花瓶を震わせ
波紋を作る
波紋は
カーテンの傍を吹き抜ける風と当たり
砕けていく
砕けた焦点を中心に
陽は射す
透きとおる真昼に
日常が、消えていく
八月に買った青いびいどろは
もう割れた
観覧車に乗りたいと言ったのは
あのひとのほうだった
てっぺんに着いても
世界はちっとも見えなくて ....
こんな寒い日は
どうしてもシチューが食べたくなる
早く帰ろう
家に帰ろう
どうしてこんなところにいるんだろう
まったく馬鹿みたいだ
足を踏まれるために都会へ来ている
糞を踏んだ足が
さ ....
誰かの悪口
雨と ふみならす 小声で言って
私のにおい
日本語の、あいしてる、を、
あの壁をこえてサ行の庭へ
サクラ サヨナラ シラナイ シ シ
....
あてどない という言葉と
鍵 という言葉
ばかり頭に浮かんで
要するにわけがわかんない
風を名づける人たちに
風の色を訊ねてみた
だあれも知らなかった
なまぬるいきさらぎの曇天
....
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