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へのへのもへじみたいだねと問いかけたら
「へへののもへじ」が正しいんだと
あのひとは言った
―へのへの
叱られて家に帰れなかった
夕焼け空に
ロウセキで描いた
へのへのもへじ
....
口の中に微かに鉄の味がある
コートの袖口が擦り切れている
錆びたドラム缶からはいだして
月下の廃工場を後にする
奏者を失って久しい機械が
ほの青く光る一群の風琴になっていた
鳥が飛び立 ....
剥げてゆく空の下
車輪まわり、まわり
金の音さらに、
さらに遠ざかりゆく
緑金の春に
*
やあ
俺は
くちべたなんだ
どういうわけだか
とても仲のよいはずの奴と話していても ....
薫風馨る五月の窓に
ぬかるむ畦道を辿る貴方の後姿を見ていました
長い髪を靡かせて振り返ったあなたの口は
手話の解説のようにはっきりと動くのに
何回も繰り返しても聞き取れないのでした
....
老人ホームで
19年間すごした
Eさんが天に召された
すべての管を抜いて
白いベールを被る
安らかな寝顔の傍らで
両手を合わせた日
帰り道に寄ったマクドナルドで
....
ふいに年経た恋が訪れたんだ真夜中に
小川をはさんで納屋の二階の窓際に立つって
その白い歯に魅せられたんだろうね
きみが思い出せる恋ってやつは
蓮華みたいに咲いて実を結ぶ
きっと誰だってそ ....
ふわ、り
風に追われた桜
川面にちいさな州を作り
その薄紅のしたを
きみの遠い息遣いが流れる
いつか
それはシロツメクサの匂い立つなかで
流れていたのと、きっと同じ
けれど今日は
....
ベーコンチーズトーストを差し出す
どんなに慌ただしくても
両の目からの弧光
を浴びて
お腹 風船みたいだよ
やわらかいんだろうか
コーヒーを啜っては新聞をめくる
ひい ....
080409
眼駄々!
カンダダと言い間違えたのだと気付いたときは
もう襲われていた
(のだ
砂漠のような乾性
(:exyw@gue ....
花のあいだで
ゆれている、そらの
うすくひかる すずの音に
目を閉じずに
さよなら は言えず
いちばんかんたんな発音で
ゆびのてっぺんを空に向け
開いたままで
ふいに
....
つとさしのべる指先から
はらはらと はらはらと
こぼれては落ちる春の
あれはあなたと私の約束です
遠い日のひめごとです
はらはらと 散ってゆく
くれない {ルビ淡紅=うすべに} { ....
遠い空の下
母親の姉は幼い娘と手をつなぎ
初めて小学校の門に入った日
職場で交わした
十年目の契約で
ようやく正職員になった日
朗報を伝えようと
玄関を開いた家は ....
夜空をみつめて
歩いていたら
遠くの星が瞬いた
{引用=孤独でもいいじゃないか・・・
きみのいる青い{ルビ惑星=ほし}も
ここからみれば
宇宙に ぽつん と浮 ....
パンの焼けるにおいだけが明るい
苔が吐く息だけが甘い
朝になりかけのままの朝
小石をなげる雨のいたずらに
幾たびも眼を開ける
エメラルドの雨を泳いで渡る
赤い自転車は泣くだろうか
傘 ....
世界がひとつになると
さらさらと
砂の崩れる音がする
幼い頃
ひとり布団の中で
聞いた音と同じだった
朝、家族に
おはようを言う
こんなに幸せな朝なのに
さらさらと
....
甘やかな
ひとさじの記憶を舐めたので
それにすがって
いまでも背負う
185センチをもてあます
トンガッテ戸惑う魂を
(ウザイ)
(ウルサイ)
五角形のつぶてを
吐き ....
あり方、その方向が
きみを
はみ出していく、そのあふれ方
そのもの
もっともはみ出した
もの、彼女と
呼ばれた、夜に
共有していく
ことで、きみには夜が
はらまれて、その
ままの
あり方が
できるように、逆に方向
づけられていった、その
ままの
意味
春の先触れに咲く木ノ花のように、あなたが愛しい
静かな問いかけにせせらぐ若葉や川面のように、あなたが愛しい
暑すぎた夏を笑う木漏れ日の声
雷が鳴って、雨が降り出 ....
眠れぬ夜を越え辿り着く時
身からこぼれる無彩色な雫たち
こぼれるほどに身は透明になり
私はついに記憶を失う
この狭間の中で
行き着いたのは鏡の世界
映し出された情景 ....
極論を語るなら
井戸から水を汲んでも
砂漠を歩くには 少なくて
優しさの濃さを 知らなきゃならないのだけど
そうそう汲み取れや しないもので。
花の中においでよ、と
言 ....
昨晩、眠れない僕に
妻が言い訳を考えてくれた
励ましの言葉はたどたどしく
いつものように
ありふれていた
外の方から
雪かきの音が聞こえてくる
真夏だというのに
人は忙しく ....
もし
ほんとうに
うまれかわったり
できるんならさ
わたし
きみのおよめさんになりたい
きみとけっこんして
まいにちおべんとうつくって
いってらっしゃい
ちゅってして
ゆうごは ....
尖りすぎた刃を
叩きつけたら
銀のすじが うまれた
しろく まるい ひかり
抜けおちた
たましいが
あたらしい音を
さがす
あたらしい まちで
....
星座が分からないくらいの 夜空を見上げ
唇にはさんだフィルタが熱をもちはじめるまで
ぶらぶらと 墓の上を歩いている
葉桜の季節によせて 君を唄うということ
それだけで今の僕には 充分すぎ ....
また、この季節がきたよ
ながかったねぇ
ぼくたち
華やいで
きみ
咲いているよ
あの花は
すべてを忘れろっていうように
咲いて、風に流れているんだ
....
あなたは
詩
からできていた
あなたのことば
髪の毛も
どこまでも
あなたは詩で
豊かなるリフレイン
反復
倒置法
波のように繰り返す
反射する
重ねた
手鏡 ....
糖尿持ちの母ちゃんが
昔より疲れやすくなり
今迄ほったらかしていた
使った皿や洗濯物を
最近僕が洗いはじめた
ベランダに出て
竿に作業着を干す
日々の疲れに
湿った心 ....
寝てる間に熔けて口いっぱいに溢れた金属のようなチョコレートが嚥下しても嚥下してもしきれない
私の前に横たわる地獄とはそういった種類のものなのです
うたをかくのがすきなんです
おは ....
光は
はじめ
緑の葉の露をはじき
眠る子の
夢をくぐる
やがて
君の眼にやどり
始まりを告げる
その
光は
ふかい深い
闇のなかから
唐突に生まれる
まるで
遠い約束のよう ....
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