情熱
さき

もう何度も手放したって
笑う
自分の醜さを
あなたに重ねて


無意味な夜を
何度過ごしても
得るものがない
そう思い込んでいた


また季節が過ぎる


星が落ちていく夜に
天にかざした手に
その指に
誰かが誓いをくれる
そう信じた乙女
風がくれたキスだけが大事


簡単に手に入るから
それだけの理由で欲しいものなんて
何一つないという
愚かしい頑固さが
いつのまにか
あの灼熱を封じ込めて石にする
それはやがていつの日か
この思いを永久に封印する
墓石になるのかも知れない


ああ
あれも私
この清らかな顔も私だったと
そうして数々の死骸を愛で暮らすだけの
暗い闇にはもう飽き飽きなんだと
溶けてもいい
この世から消えてもいい
むしろこの世界が
私を包み
私をいっぱいにして
私を真っ白にしてしまうような
あの炎が


もう一度欲しい











自由詩 情熱 Copyright さき 2012-06-03 21:05:25
notebook Home 戻る