電車を待つ人々が
いっせいに
携帯を開く
今日の株価を確認する
プロ野球の結果を確認する
誰かとの 距離
同胞メール
という
機能が嫌い
いっせいに
私の孤独を送信する ....
腕の中で燃える子供を
抱きしめながら歩いてく
私自身が
すでに 廃虚だ
それでも
生きていくこと
人は
人である前に
影かもしれない
かくれんぼはきらい
とくいだから
かくれ切る
自信があるから
ひざを
抱え息をひそめ
草の
こすれる音を聞く
わたしは
どうなっちゃうんだろう
って
思いながら眠 ....
今夜
ぼくの知らないどこかの街に
一足早く八月がやって来るそうだ
寝苦しさに耐え切れない人妻たちが
全裸で街中を駆け回り
路上駐車している車に火を放つ
コンビニでぼんやりと
成人 ....
花陰に風はやどり
月星を愛で
いつしか
浅い眠りにおちて
天の川から
舟を漕ぎ出し
月のうさぎに恋をして
手に手をとって
星々をめぐる旅をする
そんな甘い夢をみた
....
かけら
かばん
「か」ではじまるものを
てあたりしだい
かきあつめて
へやをとびだした
かんかんをけっとばして
かびん
かがみ
せかいじゅうが
かたちのないものばかりなら
よ ....
会いに来て腕一杯の猫じゃらし花束にしてリボンをかけて
うつせみやあなたの上着をだきしめてくんくんくんと息を吸いこむ
小枝とか石だとか夜空情報とかわたしのもとにもたらす人よ
朝風を浴び ....
やっとのことで
いれものにふたをした
かぎをかけて
ひもでぐるぐるまきにして
たおるでくるんで
かばんにつめて
おしいれのいちばんおくに
つっこんで
ほっとひといきついた
りんり ....
オレはネクラだ。
まず無口だ。自分から人に話し掛けないし、話し掛けられても「へえ」「はあ」「ほう」「あっそ」「で?」で返すのが方程式だ。そして基本的に単独行動だ。休みの日は一人で、ネットやってるかゲ ....
ふりつづく雨の
ほんのわずかな晴れ間に
少しの希望が見えたなら
それにすがってみようと思う
生きつづけるなら
あきらめも肝心
妥協だってしてやる
けれどまだまだ
何かが ....
コンコンとノックして
混沌がやって来た
混沌はソファに腰掛けると
懇々と愚痴をこぼし続け
やがて喋り疲れて
昏々と眠り続けた
窓の外は真っ暗闇で
季節はずれの雪が
コンコン降り ....
もうすぐ
爆撃機のように
八月がやって来る
さあ灯りを消して
ふたりで
ベッドに隠れよう
と
に
か
く
地
球
は
グ
ル
....
午後の生ぬるい図書館で 退屈と眠気のあいだを 振り子のように行き来しながら
頭の中では 隣に座った 白いブラウスの女のことを考えている
読んでいるわけでもない太宰治のページの端を 人差し指 ....
夏にすきな言葉は
清涼飲料水
です。
それは
レモンをしぼった透明のサイダーで
汗をかいたグラスは 商店街の福引の。
扇 ....
君は脱ぐ
同時に着る
どんなに脱いでも
君は君の核心から遠ざかっていく
まばゆい光の中
生まれたての姿になり
男たちの暗い瞳でできたプールを泳ぐ
淵に腰掛けていた男たちは
....
お元気ですか
わたし
今日
手首
切りました
ふふ
あなた
また
かなしいかお
....
いつでもいいよ
って
ついいってしまった
じゃあいつか
かならず
って
てをふってくれた
ほんとうは
いますぐ
っていみなんだ
とおざかる
とおざかる
....
{引用= はじめに断っておきますが、これはオリジナルではありません。
格闘家の前田日明さんが語った少年時代のエピソードがあまりにも
いい話だったので、詩にさせてもらいました。
もちろん、ご ....
街の中心
その、少したかいところ
高架化されたせんろの上を
古びたでんしゃがはしる
ねむいからだをはこびながら
きみのすむ都会から、とおいまちへ
眼下にひろがるまち
せなかには洛 ....
たまたま人からもらって一度だけ食べたお菓子の味が忘れられないのに、どこのなんというお菓子なのかさっぱりわからない。しかも、その人とは音信普通になってしまって、もはやそのお菓子を探す手がかりが何もない ....
平坦な場所
何も いない
みていた空
置いてきぼり
かかわる 擦り傷
ぺろりと なめ
居場所は
歩いたっきり
ひきさく 日常の中
道なりの 花 乞い
....
真夜中に笛を吹くと蛇が来るよ
死んだお婆ちゃんは
いつもそう言っていたけど
んじゃ
真夜中にディジュリドゥ吹いたら
一体何がくるんだろう
試しに吹いてみたら
隣の家のダンナさんが ....
別格で、ほとんど崇拝に近いほど好きな岡崎京子だが、完全読破はしていない。『うたかたの日々』と『愛の生活』で躓いている。もう「年単位」の躓きだ。どちらもすでにラックで鎮座しているのだけれど。
そ ....
君には訓練が必要だ
高らかな産声で自らの生を宣誓し
誰にも教わることなく
呼吸し始めたようには簡単にいかない
今、君の身体は音楽に満ち
穴という穴から溢れ出そうとしている
それらを十本 ....
スイッチを「パチン」と入れて、
と思ったら
スイッチがない。
あるはずのところに
スイッチがない。
昨日、
夜寝るときにはあったのに。
今朝、
顔を洗ったときにはあった ....
気がつけばいつも
君はそこに立っている
君は待つ
遠くに地鳴りを聞きながら
まだ秋には早い日
目の前をつうっと
赤とんぼが通り過ぎていく
同じ高さにある地平線を目指し
旅立っていっ ....
願わくば彼女が
オレのことを「愛してる」なんて言わなくてもいいから
オレ以外の男を罵ってくれれば
オレよりカッコいいヤツのことをボロクソ言ってくれれば
それでいい
それい ....
帰り道に迷って
泣いてる子羊
あの空の羊雲は
違うよ
君の帰るところじゃない
涙を拭いてよく見てごらん
発見はいつも
ほんの足元からはじまるんだ
背伸びをしてると
ほんと ....
心のどこかで
青い空をうらんでいた
涼やかな風をにくんでいた
小鳥のさえずりがうとましく
夏の陽射しはまぶしすぎて
顔を上げることもできなかった
心のどこかで
ささくれは ....
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