ひとつの時が停滞し
その膝の上わたしは猫のよう
乳飲み子の舌の音
水の音色をさかのぼる
叢に覆われた
つぶれかけた空き家の中で
ひとりの少女に会った
帰る場所がないという
行き着く ....
風はほどよく
乾いていたと思う
光はここちよく
和らいでいたと思う
丘の上の
大きな声で呼ばなければ
気がつかないあたりで
君が花を摘んでいた
君の名前を
呼ばなかったの ....
淡淡(あわあわ)。たばねた頭のてっぺんに今まさにのせている、その小さな雪だるま。それをつねに片手でおさえながら、淡いくりーむ色の肩と細ながい腕を露わにして、露天風呂に浸かっている。けれどもその小さな頭 ....
ハム子が今日天に召されました。
かなり老衰してきて動くのもやっとだったから
ご飯の入れ物もおトイレも平たくしたらちゃんと今朝まで
自分でおトイレにいき、ご飯も食べていました。
今日は脱水症状に ....
眠い。
眠い。
意識が朦朧としてしまい
世界がどんどん小さくなり
私だけが取り残されて
星は手の届かない彼方へ
2025.08.30
昔読んだ本を思い出した。浜辺に死体が打ち上がるんだ。人間の死体じゃないよ。怪物の死体だ。腐った死体だ。次々に打ち上がる。どこからきた死体なのか誰も知らない。浜辺を歩きながらそんな話をする。磯の匂いは腐 ....
生まれ変わって、小さくなって、街でかわいい服を少しだけ買って、少しだけ仕事して、たまごボーロ分け合って食べて、少しだけの恋愛があって、少しだけ争いと仲直りがあって、春が来て夏が来て春が来て冬が ....
かぐや姫の物語り
竹取物語は全国に津々浦々たくさんあるけど富士山にある伝説のかぐや姫は、
月には登らない。そのかわりに富士山に登って帰ってこない物語り
(旧)吉原市(江戸の吉原の名前の元 ....
「穴があったら入りたい」
そんな贅沢言うのは人間
隠れたいとき
自分で掘るのがハムスター
いつもすぐにビックリして
両手両足使って掘るよ
前前前後 前前前後
でもね 床は掘れない ....
こんにちは、詩読と詩作を愛するネットユーザーの皆様。
先日発売されまして、ただいま全国の本屋さんに並んでる「新鮮小説 十月号」にて、牧村僚、睦月影郎、舘淳一氏ら当代一流の官能小説家たちと並んで、 ....
【大きな女の話】
さざなみのようなくすくす笑いが船室を満たし、ゆっくりと退いていくのを見届けてから、**夫人は次の語り手を指名した。
「恭子さんもお盛んだこと!わたし、ちょっとどきどきし ....
最近は、ぼくは殆ど詩は書いていませんが、現代詩フォーラムや文学極道に
投稿する際に、たまに新しいのを作ることがあるくらいで、まぁ、ここ5年
くらいは、詩を書くという行為から遠ざかっています。
....
理由のいらない椅子が並ぶ
未明に墜落した紙飛行機の残骸と
食べかけのルーマニア菓子
砂浜の砂の数は
既に数え尽くしてしまった
栞の代わりに挟んだ魚が
静かに発酵して
すべての ....
漢字の書き取りをしながら息子が大粒のなみだをぽろぽろとこぼしている
耳という字を書いていた
どうしたんだ?と聞いたが俺には言わないらしい
その後スマブラをしたんだけど俺の勝ちがちょっと続いたら
....
むくろと暮らしたことがある
たった数日
むくろは
案外しずかで
ちょうど
子供がいたずらに
掛け布団の下 座布団を仕込み
あたかも眠ったふりをした
そんなふうな
かつて肉体だ ....
ハローワークに行ったふりをした帰りに
そうえいばキムからの着信があったなと
スリーエフの交差点で電話したら
おばさんが出て
ミキくん、ブログの作り方を教えてというので
一体あのババアが何をイ ....
Y
あなたは樹木
草原に立ち
両手を広げ
Y
あなたはグラス
降り注ぐ声を
すべて
受け止め
Y
あなたは交差点
別々の人生が
いつしか
ひとつに
Y
ひら ....
スカイブルー・スカイ
去年の私は
もういない
テロメア
擦り減って
私は少し身軽になった
あなたのメール
まばらになって
私は
一歩踏み出す準備
愛してるって
転写し ....
ありがとうも
ごめんなさいも
また今度も
いらない
生きている
私たちに
また夜が
祝福する
エレベータ
昇って
降りて
繰り返す
夜の波だ
打ち寄せる
....
傷つけてる?
って
聞きたいけど
聞いたところで
変わらないから
愛は
かたちのない夕暮れだから
終わりも始まりも
ただ
沈みゆく夕暮れだから
....
生きてるだけでもうけもん
さんまちゃんは言う
そうだね
ときどき
2ちゃんねるをみる
実にうつくしくないことばの羅列
そうだ
ボクらは紙一重で
生きてる
生きてない
ここは ....
生きているのかどうか
よくわからない
会話して
笑って
そこそこのニュース
それから
それから
罪を犯せば
誰かが泣けば
生きてるって
思えるのかな
愛しても
....
全部全部ネットの上にあるなんて思うのは大間違いだ
本当に伝えたいことはこんな画面の中にはないのだ
夕暮れの空の色がグラディエーションで変わっていく美しさを
言葉で表現することはどだい無理なのだ
....
私の娘に出会ったら
どうか伝えておいてください
何一つ伝えるもの残すものはないのだと
ただそれだけを伝えてやってください
私が道のそこかしこに置いた石に
あのこが躓こうとも
教えられよ ....
牛込神楽の夜に帰りたいと思いました
新宿西口から練馬に向かうバスの中でそう思いました
氷屋がアイシーンと言う煙草を吸っていると言う
笑えない冗談を目の当たりにする下らない日常が
右斜線を通 ....
その日の記録。
宮城県沿岸部某市内,内陸部にある職場にいた。
ちょうど子供らは午前中で解散。仕事区切りをねぎらう昼食会の担当になっていたので,予約してあった菓子と飲み物を店に受け取りに行っ ....
1年ぶりに
網戸を掃除する
お気に入りのミュージック
iPhoneから流して
きれいにも見える
その編み目から
次から次へと
汚れは流れる
堆積する
気づかぬうちに
経験
....
疲れはててソファーで泥のように眠っていました
さむい
友人からメールが来ていた
携帯持ったまま寝てた
返信して NHKは 心の旅
ピアノを真剣に弾いている女の人のテレビエッセイ
....
恋の終わりは
キリバナ
キリバナ
死んでいるのか
いないのか
ガラスコップの
一輪挿しが
あっけらかんと
咲くように
私は
あなたを失って
冷たい夏を咲いている
も ....
ゲストで15分枠のところを4分朗読をし
交渉したとおりの交通費をトイレの脇で受け取り
詩は、短ければ短いほどいいと思うのだ
家族の待つ家に帰る気になれず
かといって笑笑で
あの何行目はどうだ ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67