亀を探している
けれど亀はなかなか見つからない
今日の僕は
誰よりも龍宮城へ行きたいというのに
いじめているべき子供たちもいない
九月になって
みんな風か何かになってしまった
....
僕が撮った戦争の写真を君は「こんなのリアルとちがう。」とにべもない。
僕はすりむいた膝や痣ののこる肋骨の辺りとかを必死にアピールするが
「音もない戦争なんてボケたライチの果肉よ」
何をいってるん ....
昼間、光の底に沈んでいた高原の花が光を放ち始めている。引き潮の海が磯濱の窪みに取り残されるように、失われていく光が花をわずかに濡らしているのだ。白い花は白く、紫は紫に、黄は黄に。葉や茎は暗い空気と分 ....
ゆうがた、
かみさまにいてもらいたい
アパートの部屋からもみおくれるけど
けど、
そこからはなんかみおくりたくない
ただなんか、
商店街でみおくりたい
はだしで じゃなく は ....
狭い店内は布の匂いで音がしません
最初に来たのは男の子
扉を開けるなり中身のある帽子下さい
って言った
なのでニット帽の中に 余ってた黄色のフェルトを詰めてあげた
次に来 ....
鉄火巻きをこよなく愛する
あなた
まぐろだったら 握りでいいんじゃないのって
訊いたことがあったけど
海苔が ね
合うんだそうだ なるほどね
パスタなら タラコスパゲッティ
中華 ....
〜 手 〜
君の手をにぎりしめた いつものように
すると・・・いつもとは違う不思議な感触
僕らは“手”をそっとあけてみた
すると・・・ちっちゃなしわくちゃモミジ
壊さ ....
振り向くと沖に知らない人ばかりになってこわい
貝の表面についてる回虫みたいな模様がこわい
高波が何でも持っていこうとするからこわい
クラゲが知らないうちに沢山わいてこわい
あが ....
「メリーゴーラウンド」 6
アイスクリーム
ようくんの手はあたたかい
わたしの手はどちらかというと冷たくて
冬なんかは
部屋に入るとじんじんす ....
全自動じいさんは全自動ですが、梅干しを混
入させると、寂びてしまう恐れがありす。
そこで、改良されたグレート全自動じいさん
は耐性が強く、決して寂びることも侘びるこ
ともないのですが、面白味は ....
9月は
臨月の母の腹に 私がいたのでした
空気が風が 金木犀色に満ちて
稲穂は波うち
大群のトンボの羽光らす 黄金の夕焼け
そのとき
ほんの暫く 時間が止まる
....
また生きている
いまはもうないぼくのうちの
おもい雨戸をごとごといわせて
ようやくに閉めていると
ガラス窓がひび割れた音を立てる
夜の闇に音が駆け出す
入れ替わりに隙間から
夜気が静 ....
ちいちゃな芽をぶつぶつと
たくさん出してた 春
嫁いだのに
お前の担当だなどと
親に 言われ
私に 実を選られた 桃
収穫の時を迎え
みためにも 柔らかく 香ばしい
台 ....
リリイは寝そべって
太陽を見ていました
暑
い
夏
の
日
(でも平べったくないよ?) ....
三丁目あたり
地球儀で見ると
ここは夜のはずなのに
夜はいったい何処にいったのかしら
どこにも辿りつけませんように
と願う
ナビゲーションを彼女に頼むなんて
....
ショーウィンドウに陳列されている
マシンガンの前にくると
少女はいつも立ち止まり
その色や形に
うっとりする
名前も聞いたことのない国で
戦いが始まった
と、今朝ニュースで言 ....
あと5回セックスをすれば
さみしくなくなるんだって
聞いたから
だから
今晩中にやっちゃおう
そしたら
さみしくなくなるの ....
例えば雨宿りに入った映画館が
60年代のアメリカ映画をリバイバル上映している
キャラメル・ポップコーンを頬張りながら
フェイ・ダナウェイと向かい合って
ドラッグの効いた脳みそのような
....
風が吹く。
肌寒く暗い空にゆっくりと朝日を迎える準備、大地は微かに動き出す。まだ、日の昇らない空に光が滲み出す。それと同時に体温を上げていく大地は、滴を空に解く。
陽は世界の目覚めを、日は新し ....
僕は左足で右足を蹴っていました
何も感じません
もっと強く蹴ってみました
何も感じません
もっともっと
それこそリバウドばりに蹴ってみました
ちっとも感じません
いいんだ
僕は ....
鏡のデ・キリコが憮然としてる
形而上的には成功なのに
ハイウェイはもぬけの殻
ブラックジャック氏だって
今夜は無理だ
誰もが
忘れていくんだろう
神様だって
片耳ふさぎだ
僕だっ ....
久しい友との再会にグラスを重ね
ふくれあがる泡のビールを
渇いたのどに流し込み
赤らんだ 頬のほてりも醒める頃には
だんだん 寒くなってしまう
友と別れ
夜の浜辺に呼ばれ
造りかけ ....
罪の森きみの手を取り「逃げよう」と言った途端に僕も罪人
森のなか追いかけごっこふたりして迷い込んだねもうひとつの森
瓶詰めの蝶を埋めます木の根元「飛び立つものはすべて埋めます」
....
水が流れている
頭の上
1メートルぐらい上を
そんな気がしている
水は澄んでいる
幸せそうに
順調に
私が立ち止まっていることには
関係なく流れている
罪のない顔をして
流 ....
ジェリーフィッシュ・ノクターン
今宵 月は 青白い顔で 産気づく
「ブルームーン。
幸福に溢れた
子らを
この水へ・・ ....
スチュワーデスさん、とスチュワーデスに声をかけると
私にはケイコという名前があるんです、とそっぽを向かれる
今度こそ間違いの無いように、ケイコさん、と呼ぶのだが
ケイコは押し黙ってしまう ....
「メリーゴーラウンド」 5
記憶
怖いことはあんまりない
って言ったら
彼女が泣き出してしまって
それ以来
自分だけが知らないことについ ....
しねぇ
しねねぇ
からからの空気の中で
やべえ俺18歳だった
呼吸してやがる
目も覚まさねぇ
やべえ俺オカマだった
おほほほほほほほ
プッチンプリンのでっかいの
食ってる時が ....
はじめてがいなくなってこまってます
なにしろそんなことは
はじめてで
自転車がなくなったら
あの公園がきゅうに遠く感じてさみしくなったみたいに
もしも神様がいなかったらどうしよう
....
僕はクレーム係
いつも頭をさげている
人間なんかじゃない
ただのクレーム係
今日は天気が悪いから洗濯ものが乾かないと
電話でどならられ
発情した猫達を早く静かにさせとくれと
2時間も ....
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