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深い夜やおら身を起こし
冷たい水を求めて蛇口をひねった
それから数週間。
ずっとぽとりぽとりと音がする
蛇口を力いっぱいしめてもしめても
ぽとりぽとりと落ち
滲み出るそれ
どうにもくくれ ....
思い出せないくらい長いあいだ履いていた靴の
ソールがなめらかになり
雨の日にツルツルすべって
ひとりだけ氷の上を歩いているようで
それも悪くはなかったが
いつかは転んで頭を打ちそうと思い
 ....
17時15分、浴室の混雑が落ち着いたころ
Мさんの髪の毛を洗う
独特のウェーブが水をはじくので
シャワーが頭皮に浸透するように
丁寧に指でもむ
濡れた入浴着が脚にまとわりつく

Мさんが ....
印画紙に染みついた影
人生から落とすまいと誓っていたものから
手を離した瞬間を覚えている

何度も何度も反芻する
記憶が消化器官と口内を往復する
輪郭がとけ筋も擦り切れ味もなくなる
そん ....
そらはあおい
みんなそういうし
ぼくもそうおもっていた
でも
じっさいよくながめてみると
そらって
あさやけはみかん
くもりはふるいふとんのなかみ
あめはへやのすみのほこり
ゆうぐれ ....
毎日アンパンを食べている
このアンパンはすべての栄養がバランスよく入ってると宣伝されていて
飢えないためだけに食べる

完璧な栄養のアンパン
それを手にしたブラウン管のなかの刑事、張り込みを ....
手のひらですくえるほどの軽さ
ふっと息をかければ羽毛のように
水のようにさらさらと
それくらい
それくらいと言いたいのに

あなたが踏んだ泥は何億年後かにも
化石になって残るだろう
た ....
ひみつ
口にもしないから
風も通らずよどんで
古い醤油瓶底のようなそれ

そんなものが胸のすきまに
たまって
口がどんどん重くなる

もう一言も発せないから
すこしばかり目 ....
走ってる
走ってるよ
ただ走るために走ってる
ああ、明日が追いついてくるよ
影が手を伸ばしてるよ
もっとはやくしなくちゃ
とまったらだめだよ
立ち上がれなくなっちゃう

足がもつれて ....
さみしさはすきま
からのポケット
置きざりにされた影

白く柔らかな波で覆い隠し
なにかもみちみちている
そんな人に見えるように
努力している

けれど一分のすきもない人は
これ以 ....
焼き場で
まだ熱い骨を拾いながら
生きててえらかった
と言う
レエスの縁のハンカチが
小さなポケットからはみ出して

花に埋もれたあなたは
びっくりするほど小さい

いつ終わるのか ....
もつれた毛糸をほぐそうと
ひっぱったり、ひっくり返したり
しているうちに
かたい結び目
いくつもできて、みつかります。

ああ、これはもう、すんなりとした一本の毛糸には戻りません。
しな ....
あなたのこのみはなんだろう
と、おもいつつ
たまごを割り
しろみ

きみ
にわける
よく冷えた銀色のボオルに、ひしゃげた顔がうつり
かしゃかしゃと、撹拌されていく

こんげつのつ ....
ことばよりさきに
脱ぎ去れない肉体を持って
取り乱す
見上げれば
木漏れ日が
からだを斑に染め
赤と緑に、網膜が灼ける

わたしは、うまれてしまったのだ
あかくふよふ ....
唐草フウさんの凍湖さんおすすめリスト(14)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
滲み出る- 凍湖自由詩4*25-6-9
新しい靴を買いに- 凍湖自由詩425-5-28
それぞれのかたちの- 凍湖自由詩625-5-1
反芻- 凍湖自由詩725-4-28
そらはあおい- 凍湖自由詩425-4-3
アンパン- 凍湖自由詩425-3-24
たましいの重さ- 凍湖自由詩924-12-30
ひみつ―澱- 凍湖自由詩524-12-18
走りつづける- 凍湖自由詩424-10-6
さみしさはすきま- 凍湖自由詩624-3-30
熱い箸- 凍湖自由詩624-1-17
もつれた毛糸- 凍湖自由詩613-7-4
チョコレートケーキを焼く- 凍湖自由詩5*13-2-25
ことばよりさきに- 凍湖自由詩9*13-2-25

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