すべてのおすすめ
散る音も転がる音も枯葉らし
寒のみを老野良猫に感じたり
木枯らしや葉っぱ転がる二歩三歩
{ルビ皸=あかぎれ}が嫌がらせする小指かな
ランナーを真似てか岸辺走る鴨
それぞれ ....
コーヒーをやめて{ルビ白湯=さゆ}にす冬の朝
小春日の電車園児に満たされて
ふくよかな大根足の{ルビ娘=こ}もいいね
その音のパリッと淋し踏み落葉
シュッとして冬のゴキブリ安楽 ....
詩の様に小花に秋の小蝶ゐて
食ふ顔も干柿に似るおばあちゃん
靴置き場{ルビ紅葉=もみぢ}もふたつ並びをり
妖精が紅葉を履いてやって来た
ぷるぷるの中に歯ごたへ橡の餅
干柿 ....
朝顔や手の届かざる空の紺
コスモスは風に倒され起こされて
{ルビ身体=からだ}より影長くして{ルビ飛蝗=ばつた}とぶ
かぼちゃ煮る母ゐる今を大切に
虫の音は心安らぐおまじなひ
....
描き出すもの
愛も欲望も全部絡まっていて
──Grapevine
赤とんぼ夕陽と共に籠に入れ
虫の音やそのお姿は置いといて
名を知 ....
針ひとつ氷の辺に立ちつくす
夕暮れに黒の交わる底翳かな
ひたひたと夢の終わりに生える藤
凍る夜と凍らぬ月の影ふたつ
断崖は枯 ....
廃バスの窓に無数の烏瓜
空腹に夜桜食って夜を満たす
僕アトピー
悲しみ消えた
血となって
問題は
むしろ寝れない
ことなのさ
かゆみという
鈍い苦しみ
たずさえて
人生を
二十七年
続けたら
今の今
なぜだか僕 ....