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妹の娘は
私に似ている
彼女が産んだ赤ん坊
男前ではないけれど
愛嬌のある顔
知り合いのおっちゃんに
似ている
彼は私を一生懸命見つめてくる
私が何者か分析している
他に ....
新米を炊いた
土鍋で炊いた
二人暮らしなので
小さな二合炊き
二十分蒸らして
蓋を開ければ
しあわせの香り溢るる
神棚に供えて
日々の糧に感謝
「こんな美味しい米 ....
交番の横
公衆電話ボックスの中で涙まみれ
お巡りさんは私を見て見ないふり
勝手な言い分と怒りを
優しく宥めてくれた人
救いあげて走らせる白い車
夜中の阪神高速はオレ ....
新横浜駅を降りてから
どうやって そこに辿り着いたやら
彼が教えてくれた家の間取りは
手紙に描かれた図の通り
他愛も無い話は ビールを飲みながら
お互い 何を考えているか ....
お坊様の話を聴く日
もっと大変かと思っていた坐禅
雑念だらけでいいらしい
─蝉が鳴いているなぁ
─ミルク金時が食べたいな
と、私は今、思っている。
それでいいら ....
運転中
不意に現れ 目の端で捉える
蔦の絡まる建物
もう、その時期か
あの夏から
幾度 高校野球が開催されたか
懲りずに毎年
十七歳の夏に引き戻され ....
あの日
まだ遊園地があった頃
待ち合わせて出掛ける夕まずめ
武庫川に架かる橋には溢れる人
背の高いその人が
欄干横の塀に私を乗っけてくれた
スカートが風にめくれ ....
不思議なもんだな
あの頃の私たちは
そんなに仲良くなかった
むしろ苦手だった
声変わり前の甲高い声で
口うるさく言うから
でも あの日
合唱コンクールの日 ....