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今年も古い母屋の軒先に
つがいの燕が巣作りしました
生まれたての可愛い雛たちは
親鳥の帰りをひたすら待っていて
精一杯の幼い首を伸ばして
甘えたような鳴き声あげている
(なんだか可愛いな
....
あの頃は
生まれたばかりの気分でいたけれど
あの頃の僕は
生まれてさえいなかったのだと
思う
もしかすると
こんな僕も
未だ知らないところで同じように
恥ずかしそうに
解ける ....
あなたに笑ってほしくて
おどけて見せるけど
ふざけて
からかわれるのも
嫌いじゃないけど
本当は
全部つつんで
抱きしめて
抱きしめて
抱 ....
吐息に曇る夜の硝子に
時計の文字盤は
逆行をみせて
捨てた指輪の光沢の
おぼろな記憶さながらに
銀河の揺らめく
午前零時
涸れてしまう代わりに涙は
こぼれる理由を失ってしま ....
小指に触れる
時間と光
どちらかの声が
先に応える
骨と草の
はざまを伝う
失くしたほんとうがもどるとき
居たいところに居られるように
響きをひとつ残しておく
そ ....
わたしは感じてしまう
小綺麗に片付けられた部屋の
飾り棚の上で
あなたは仲間達と腕を組み
屈託の無い笑顔をこちらへ向けて
壁際に吊るしたドライスーツからは
泡立つ潮騒の音色がする
そんな ....
《お気に入り》
っていうのは、
一体どういう位置関係なのだろうか」と
一昨日の三限目から
ずぅっと、
悩んでいます
曖昧さが愛しくて
不完全さが憂鬱で
もどかしさは
白鷺の歩みの ....
近頃、歯向かわない言葉を使うことに慣れすぎて
本当は痛いことさえ道連れに
たとえ真綿の奥にこめられた刃に気づいたとしても
平然と
笑顔で
明日もキミの隣に座ることができる
近頃、トモダ ....
線路の向こうを街がながれる。
中刷りを睨んでる男の前で、
女子高生はケラケラ、
大事な話にまだムチュウ。
ドアにもたれて外を眺めるあのムスメが正しい。
ボクもイヤフォンで耳を塞ぎたい。
....
自分勝手な魂を持って
波打ち際を歩きます
自分勝手な魂に
潮風が沁みてゆきます
自分勝手な魂は
都会が怖くて逃げ出しまして
自分勝手な魂に
希望は遠く彼方にしかないように思え ....
布の風が樹々を伝い
夜の空を見つめている
蜘蛛のかたちをした声が
枝をめぐり すれちがい
会話ではない会話を残し
夜の空を昇りゆく
雲に映る歪んだ輪から
光と言葉の鳥 ....
ゼロからの徒歩
{引用=「ちょっと休憩」}
かき混ぜるスプン
スープはさめた
温めなおしはいかが
ミンと名づけた靴
スイと名づけた ....
空のいろには 届くはずもなく
だからこそ
仕方のないほどに
空のいろを
瞳に宿しながら
きりんは ゆっくり緑を{ルビ咀嚼=そしゃく}している
その
長い長い首の得る高さは
....
男を好きになる度に
彼女の体から火薬の匂いがするの
情熱はジリジリと
へその下から入り込んできて
体中を燃やして行くのよ
だから いつも
骨の焼ける匂いのする
彼女の手を ....
この路地裏の
アスファルトのひび割れは
どこかの埠頭の
それと
似ている
相槌を打ってもらえる筈が
ここにあるのは
頬を刺す風
見上げる雲の隙間から
一筋の光が降 ....
いつものように
午後をあらいながら
うつむき加減に 軽く
雲行きを確かめる
それもまた いつもの事だけれど
その
始まりの日を憶えていない
寒暖の差を道として 風は渡る
よ ....
蝶を見た朝
森から森へ
子はひとり織る
銀の声
緑をつらぬく小さな音
つらぬかれた跡の揺れる音
つらぬいたものが緑に染まり
水の底から空を見る音
銀が重なり ....
大きなガラス扉
日焼けしたブラインド
貸店舗、の白い貼り紙
コンビニになりきれなかった
角の、たなか屋
殺風景な店先のコンクリートには
ただひとつ
小さな郵便ポストが生えたまま
舌 ....
風呂に入るとなめくじがいた
たいていの人はここでキャーあるいはギャーとなって
塩か砂糖か胡椒か何かを持ってきて
ヤツを殺しにかかるのだろうが
俺は別段気にならないし
こんな生き物でも殺すのは ....
雨が止みはじめた頃に、
傘を差しはじめてみた。
びしょ濡れになって傘の下、
僕は何かに守られていると強く感じる。
道の向こう側から、
少年が歩いてくる。
あの懐かしい長靴の黄色が、
僕の ....
初夏の陽射しは 便りを運ぶ
宛名も消印も
差出人も
見当たらないけれど
懐かしさという
こころもとない手触りに
わたしは ゆっくり目を閉じて
紫陽花のさざなみに
いだかれる
....
ぐらぐらと、
煮え立っていた。
ぐらぐらと、
煮え立っていた。
ぐらぐらと、
煮え立っていた。
やかんは、
気が付くと、
空になっておっ ....
絹のような 抗いがたい量感に
涙さえも濡れてゆく
霧とよぶには 重たく
雨とよぶには 軽く
そこはかとなく
命名を拒むような
その 結界に包まれて
記憶の軸も同様に
遠退い ....
やっと、
波が来た。
ヤセイに満ちた、
笑う波。砕けてさらに、
あざ笑う波。
細胞
細胞が闘えという
波と
海と
アフロのカマレラもニカッ
と
親指立てる
走って帰って ....
「えくぼ」
六月の風にゆれる
さくらの葉っぱ。
よく見たら
ぽつぽつ 穴があいている。
虫に食べられてしまったのだろうか?
穴は どこかの虫の命を みたして
穴は みずみずし ....
そびえたつ高層の夜 窓の灯がきらめく風のときめき
シャンプーの匂い はこばれて 気づくのは、家畜の暮らし
まやかしの自由に弄ばれて、泣いた さっきまでの記憶さえも
失う、それぞれに 無関係な ....
曇りの幌につつまれ
ふたたび生まれ ふたたびねむる
陰に刺さり
縦にかがやき
空のろくろ
空のふいご
枝々を巻き
高く きしむ
ひかりが動き
動きがひかり ....
風に揺れるは夜
よせてはかえす 幽霊船
もうどこへも行きたくない
惑星帰りの顔色で
月に憑かれて踊った夜は
耳に蓋して寝てしまえ
薫るだろう?
彼女のすすり泣く声
金切り声 ....
矢継ぎ早に
新月は降り注ぎ
縫い針がまたひとつ
遠雷に濡れている
吟醸の名を濁さぬ盆は
薬指だけの浸りに あかるい焔を映し
無言の岸辺を満たすのは
衣擦れの波
鈴なりの
....
しずくのことは
一輪、
二輪、と数えあげたく
青空ならば頷いてくれるだろうか と
躍らせた髪
真昼の月の通い路と
銀色乗せた浅瀬の流れは
中空で いま
十字を結ぶ
か ....
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