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あなたの
黄金の背の裏側の
やわらかな音が風をわたる
浮き沈み
絡み合い
陽のにおいに波打つ
雨ではない雨
雨のままの雨
けして閉ざされない湿り気として
地平線と ....
夕日は傾く時間を知っている
その頃になれば
世界がゆっくりと閉じていくことも知っている
背中で、背中ともたれあう
隙間の部屋
四角いスイッチで昼と夜とを切り替えて
のろのろと、立ち上がる
....
木々の隙間から見上げた空は
青空ならよかったのだけど
残念ながらの曇り空
ちょっと重たい灰色の
それでもこころが軽いのは
あなたの笑顔があったから
....
窓のふくらみの目がひらき
風をゆっくりと見わたしてゆく
どこからか来る黄金の音
越えてきた土の混じる音
目には青空と野が映り
どちらも南にかしいでいる
煙る碧と子らの手 ....
通いなれた道
住み慣れた家
そうして
一緒にいることに慣れきったふたり
あたりまえの毎日が
黙々と流れ
口にできなくなった言葉が
行き場を失いふきだ ....
質の中に量があり
落下の中に流れがある
無数にまとまる一つ
雨と呼ばれるものの名
儀式のように繰り返され
思い出された最初の音
絶えず動きながら
点在する光を導き
生かしてゆく雨の ....
野はかがやき まるくなり
つつむかたちと
つつまれるかたち
同心円のやわらかさ
金色に金色に目をふせる
まるいかたち
ねむるかたち
金色に金色に放たれる
これは古 ....
やわらかな魂のいる
逆さの方向から
血まみれの魂が来て
もういいんだ と言った
わたしは着ていた服を脱いで
一枚一枚かけていった
わたしは朝で
わたしは海 ....
夜の真ん中の
縁をなぞりながら
影だけの月の
少しだけ零れる明かりを
晴れることの出来ない日
ここでも
傘だけは、ある
夜に、越えられずに
息の詰まる深みを
ゆっくりと
息を入 ....
降り続く雨に
けむる街角
傘の花が行き交う
仕事帰り家路を急ぐ人
誰かと待ち合わせに向かう人
浮ついたあしどりと
疲れたあしどり
それぞれ ....
なぜ目覚めたのか
ずっと考えていた
ふたつの色の
雨のはじまりだった
ふいに起こる物音が
ふいの朝を説いていた
音の主をたしかめる前に
それらは高く飛び去っていた
....
霧雨にけむる夜の街は
幻想的な顔を見せ
一日の記憶を走馬灯のように
繰り返し思い出させる
それは
複雑な想いと絡まり
点滅し
ハイウェイの ....
雨の日 音は海辺を描いた
さまざまな色を塗り重ねた
色はどれも少なかった
月や花からわけてもらった
銀と灰
黒と金
もっといろいろ描けたのに
ずっと待ちくたびれていた ....
一度切りの湾曲をとうに終え
錆び果てたガードレールは死んだように安堵している
その影に紛れた舗道の一部は黒々と陥没し消滅している
その上空を傷付ける有刺鉄線、私ではな ....
父さんの革靴に
小さな足 入れて
かかと 引きずりながら
なんだか 笑いながら
庭を歩いていた 私
大きくなることに憧れて
本格的な靴に憧れて
小さな足
かぱかぱの空間
なん ....
ひとつが
どこまでもひとつに感じられ
ふたつが
どこまでも数え切れなく感じられる
街が街を過ぎるような
水のような音の時間を
子は歩む
子は沈む
千の手の波
....
忘れていたよ
こんな青空
抜けるような空に飛行機雲
太陽めがけ迷わず突き進む
昨日までの雨が嘘のように消え去り
透き通った空気は胸のつかえを取り除き
深呼 ....
送り先が何処だか分かりませんが
先生宛てに手紙が来ました
なんでも皆さんが使っている辞書の
「愛」の項目が間違っていたらしいのです
でも手紙には
これしか書かれていませんでした
....
ゆきちゃんを迎えに行くと
金木犀の香り
静かなおうちの中には
病気のおばあちゃん
少し日当たりの悪いお庭に咲く
石蕗や
柊
藤袴
「お勉強するから遊べないの」
そういって、優しく ....
夕べのにおい
外灯のにおい
壁の裏側に眠る怪物
屋根の向こうにそびえる火を追い
刈り込まれた生け垣の葉をとばす
一筆書きの街から街へ
人のような虹が駆けてゆく
うろ ....
確かめる方法はないけれど
ここに記しておけば
君がいつの日か
読んでくれるかもしれないから
ぼくは君が好きです。
仲間の中には
いろんなこと 言う奴もいるけど
ぼくの一番の親友も ....
待ち続ける
時も季節もなく
動かず
想わず
通り過ぎる人
季節
時
わたしはここにいる
ここにいる
しかし止めることので ....
泣いているこどもは
湯気が立っていて
かわいい匂いがする
抱き締めて
頭に鼻をくっつけて
くんくん嗅ぐよ
産まれたてのときは
わたしの内臓の匂いがした
今も少し
する
....
すうすうと水は目に入る
水には空に向かう手が映る
曇は過ぎてゆく
地には駆けるものがある
どこにも行けない火が
どこにも行けないことを知りながら
十月の光にはばたいてい ....
朝から降り続ける雨
空から細い糸が降りてくる
しとしとしとしと
やむことを忘れたように
濡らしてゆく
乾き始めたこころを
夏の暑さで蒸発してしまったこころ ....
まだ色素の薄い 素の唇に触れて・・・
おまえの可愛いおでこにキスする
おまえの二重まぶたに静かにキスする
おまえの鼻筋に沿 ....
目が覚めたら
隣の布団は空だった
一階の天井と二階の畳
布団と枕
の むこうから
聴こえてる今日
ああ
私がいなくても
今日は勝手に始まっている
このまますうっと消えてしまったら
....
影の中から呼ばれた気がして振り向いた
あれは風の音
それともビルの谷間にこだまする車の音
誰も呼んでなんかいなかった
ましてや
こんな誰も知らない街の中で
....
ぼくはあなたと
落ち葉をひろいに
坂を上った
あなたは若い作業療法士
そうしてぼくは
モン・ベルのTシャツとジーパン姿の
ピーターパン
猿 ....
私が見ているのは
しだいに枯れ木となってゆく貴方の
風に微かに揺れる枝の指先
上に 上に
よりも
天に 天にと手を伸ばして
貴方は何を摑み ....
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