すべてのおすすめ
ひどく病んでいろづいた花は
あたしをただ焦がします
鮮 烈 、
ほんとうはいらなかった
べつにどうでもよかった
曖昧なものは
曖昧であるうちは永遠です
曖昧 ....
空たどる枝に
三つの時間が実る
土になれない枯葉が
芽を見つめる
まばたきのたびに 曇は増える
午後を横切るかけら におい
どこまでが空か 応えは返らず
ただ風が ....
白い 白い
あははしろい しろい
耳に息を吹き込んでくる、
あははしろい しろい
どこにもいけない、
どこにも続かない、
そういう廊下があることを知っている?
だってごらんその窓に映 ....
自分不器用なもんで
飯がちゃんと食えません
なんだか茶碗を持つ手がおかしい
なんだか箸をもつ手がおかしい
ものを口まで持ってっても
なんだかべろが先に飛び出す
なんだかおかしい
おかしい ....
冬の蜘蛛のかたちだけが
土の下にかがやいている
風や色とともに染み込み
夜を夜から浮かばせている
まぎれもないまちがいだけを
数少なに燃している
たなびくものが向か ....
魚を丸ごと
皮も内臓もぜんぶ食べた
それは
ゆうべのことだ
目覚めると
私の骨が泳いでいる
なんたるこった
私を食べてしまったのは私だろうか
どこをどうやって
....
幾つかのまことを受け入れて
小さく分かれてゆく夜の
蒼を生む声
語らない声
水の階段
つくりかけの舟
川のはざまの
つくりかけの街
砂の上の螺旋
描き ....
夜を脱ぎ 夜を着
近づいてくる光を聴く
触れるようで触れずにいる
熱のかたちの指先を見る
道に雨があり
曲がり角で消えてゆく
緑のひとつ向こうの緑を
雨はふたたび歩い ....
水の鏡の
光ではないところに
呑みこまれながら
呑みこまれずにいる
ふるえがひとつ
羽につながる
旧い言葉が
水をわたる
樹と樹のはざまを
はざまと同 ....
春はそっとやってくる
毎年必ずやってくる
まるで地球からの約束のように
だから 私は放り出される
野原の真ん中に
「春の嵐」
真っ白な頭に昨夜の天気予報がよぎっていく
私は冬 ....
庭に植えた橙(だいだい)を
隣のいい年頃の娘が じぃと見ていた
熱視線で家が燃えるわい・・・
と小声で冗談を言いながら
剪定ばさみを手に持って
「家のは少し酸っぱいんだけどねぇ」
と呼 ....
多くが壊れ
ひとつ残り
うつろいを生み
栄えさまよう
曇の数だけ夜があり
ひとつひとつの雨のたもと
光は布にひらかれて
足跡のない歩みを照らす
背の花ふ ....
過ぎては消え 遅れては鳴り
ふたたび現われ 昇りゆく
水たまりの径
ふいの翳り
まだ水は冷たく
指をまわす
見聞きした風
伝えられずに
陽のはざまに揚まり ....
森の上の夜の光に
曇は高く灼けている
目を閉じても
しんと熱い
ざくりとした光のはしばし
手を振るように変わりはじめ
やがて花になり鉄になり
光と光以外をくりかえす
....
光の裏に氷があり
曇の奥へ
曇の奥へ
小さく水を点してゆく
陽の下の雨
雨の下の夜
夜の下の背
水みちる背
応えないものに囲まれ
ゆうるりと夜に気づいてゆ ....
布の上の鉛の絵
波に途切れ 文字になる
唱いかけ
波間の火を見
唱いだす
歯車の音がしている
陽の芯からの風にまぎれ
さらに さらに遠去かる
刺さることのな ....
おかず一品足りないと
不機嫌そうな顔をするあなた
でもね、わたしだって何かと忙しいし
お給料日だってずっと先
あなたに足らないのはおかずじゃなくて
もうちょっとの頑張りなのかな
好きな ....
切り取っては
別の空に貼り
せわしく曇り
鴉は鳴る
こわがりな子らのための菓子
運び馳せるものの頭上に
爪と牙と花の午後
交わることなく生き急いでいる
水の ....
壊れた光を抱き
小さな別れが灯り
足もとに背にまとわりつき
押しのけても押しのけても
指が沈むほどやわらかな
淡くやさしいうたを唱う
ひとつはひとつだと言う
それでも ....
呼んでも来ない
呼んでは消える
声は鍵になり
あけるもの無く
何もせぬまま
そこに浮かぶ
塗り込められた
壁の扉
ふたたび現われ
何処へつながる
鳴るのはひとつ ....
巡るうた追う
海の手の甲
丸い穂先と
風の尾の火
打ち消しあう火
打ち消しあう火
うたの切れ端が花になり
火を免れて明日になった
午後のこがね
夜の蒼
祝福 ....
気づいたら
いろんなひとが
両手で込めて
差し入れてくれた
おにぎり
箸もつかえないくらいに
元気なくなったとき
たべるといいよ、って
おにぎり
すかすかの ....
何もないものばかり響いて
ひとつ さくりと
離れゆく手
玩具とともに
しまわれる手
岩の鏡が音を集め
門のかたちに積み上げている
水音の色を見つめる目
かたちのむこうの ....
流れついたものが
砂になりながら
岩とこだまを見つめている
鉄の文字 糸の文字
海をつなぐ
むらさきの道
夜の上に呼ばれ
夜の上に呼ばれ
いつのまにかもどり 忘れる ....
光の布が
足跡を聴く
異なる色に
離れてゆく
雲は癒え
残りのうたが降る
視界には常に
羽根が映る
直ぐに落ちた火が
足もとを廻る
光の芯の光
触 ....
至るものがあるだろう
夜に空を飛ぶだろう
けだものの背を知るだろう
木の枝の卵を
星のそばに添え
とどろきは止む
くらやみが
くらやみにまたたき
つらな ....
顔の上の腕を
動かすことができずに
からだを傾けると
丸太のようにころがる
また通りで
言葉を失くした
植物園と 博物館のあいだの
かたつむり
とすとすから ....
誰か、などとごまかすのはよそう
あなたを、思うときの空だ
湿った雪雲が切れていく
灰色の向こうに広がる薄い青
きっと強く、遠くのあなたを想っている
灰色と青色が近いのは空のせいだ
....
声は途切れ まぎれる
指のように
熱を背に描きながら
髪の水を見あげる
まわる響き 枝のはざま
しなり したたり
森を燃す羽
ひとつまたひとつ 飛び去る
....
血と、ローズダストの色彩が濃く染みた粗い石英の粒子。そしてジルコンを含んだ研かれた花崗岩の階段がつめたい光沢をともなって果てしなくオリンポスの山の頂から薄紫の色に滲んだ淡い雲の間にのびている。エーゲの ....
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