すべてのおすすめ
コマドリたちが騒がしいよ
外はすっかり晴れた
夕べの雨
あれ、嘘だったんだ
緑なんかつるっとしてて
ビニールや何かみたい
走ってくる赤い点は君
氷をほっぺたにくっ付けて
びっく ....
気づくと右手は濡れていて
描きはじめたばかりの夜に
銀色の線を引いてしまった
見る間に乾く三日月の下に
明日の朝には消えてしまう
羽や光を書きつらねていた
隠さ ....
僕は誰よりもはやく
今朝を発見したかった
遮光された窓の外を
僕の両足だけが駈けてゆく
(街と空は素顔で目覚め
朝陽からは人々の匂いがします)
島を結ぶ浅瀬の夜を
かがやくゆがみの輪が照らす
ほつれつづけるふちどりが
わずかに時間を押しのけている
歩きつづける影のそばに
何かを取り去られたかのような
大きなひろ ....
はじっこに
水が
たぷたぷと
押し寄せる
はじっこに
水が満ちたら
翼が生え
て
と ん で い こ う
おおぞらへ?
いいえ
うみのそこ
まだ、行ったことがな ....
生まれてからしばらく
うつむいていたのは
悲しかったのじゃなく
探していたの
欠けたコーヒーカップ
もうないって言われていたけれど
知っていたけれど
探していたの
粗末な客 ....
波が波に描く絵が
次々と現われては消えてゆく
海を覆う点描が
鳥を照らし点滅する
蒼い光のひとがいて
歌い舞う花のうしろで
草に沈む岩を見ている
海からも声のなかから ....
プールから上がって
耳の奥に
横丁ができたみたいに
ぼわーんとしていた
頭をかしげて
片足ケンケン
どすんどすんと
足の裏が熱い地面を踏み込んで
ぽわ
と
耳の横丁は落っこ ....
郵便受けに溜まった新聞が日焼けしていた
古い日付は、風に晒されて
更に風化した遠いあなたの
背中に張り付いて
帰ってこない のに
201号室の、窓から入る西日を受けながら
忘れて ....
散歩は好きだけど
用事を手早く済ますのは苦手
スーパーでも
ドラッグストアでも
人の二倍は時間がかかる
お化粧も
着替えも
普通の基準が年々上がって行って
今年はもうこれが普通
....
野菜の苗を
手に受けて
指から白い
根っこが生えた
「植物の三大栄養素は窒素・燐酸・カリです。
これを8:8:6で配合し、苗を植えつけて行って下さい。」
手に取った苗は
陽の輝き ....
井戸の底を
のぞきこむ鳥
わずかに残る
水に映る陽
いとしいしずくであれ
いとしいしずくであれ
うすくゆがんだ光の輪が
影のなかにゆらめいている
にじみと波は
光 ....
電子の気配に
目覚め
点滅する記憶を再生する
あれは 5月だったね
細く開けた小さな窓から
ふたりして夕暮れを眺めながら
またこの季節が巡ってくるといい、と
小声で話した ....
まわるかたち
ほぐすかたち
髪に降り来る
蜘蛛の巣の火
道をわたり
冷めぬうちに
草の根もと
浅い轍
爪の深さ
土に届ける
雨の窓たち
しんとした景
朝をす ....
肩に触れていたなだらかな重さが
消えていることにふと気づくとき
部屋のなかを見わたす視線は
ほんの少しだけ傾いている
今日も夕空を見忘れて
蒼い窓を通りすぎ
破りとられ ....
火の舌
鉄の舌を持ち
語ることを持たない子がいて
その語ることの無さゆえに
ただ疲れ果てては眠りにつく
眠りはしばしば覚まされる
幾つかの鏡が子のそばにあり
何も映 ....
星砂ヶ浜
夜 月光のまぶしさに
まばたき出来ない お魚が
目に焼き付ける 星のまたたき
しばしば するので 砂で洗った
こそこそ するので 飛び跳ね回っ ....
帰り道は
ひとつの
冷たい時代でした
足音ひとつのアスファルトを、両側から
音も無く包んでいた夏野菜の畑
あ、それならば、と
或る母の或るひとつの手に
直 ....
たったひとつの日没で
子供の左の手の中の
逆さの野の草の束からすんなりと
午後の初夏は落ちてしまい
子供の左の手は
無数の落胆のうちのひとつとして
野の草の束を、用水路 ....
隻眼の花にこぼれる
はじまりの波のはじめから
めぐる魚からほどける光
片方の目はまばたいて
沈みくるものを受け入れる
敗れつづけてなお勝つものがあり
不幸せの上に成り立 ....
水の流れに
声は生まれる
ゆっくりとした高まりの
終わりのように反りかえり
声はまだらの身を起こす
鍵の花は水に咲き
傷をひとつずつ閉じてゆく
いつか流れに分けられた ....
今頃は、さらさらした風が吹いてきて
いつも 左肩から
あなたを感じる匂いが します。
昨日 通ったことのない
知らない道でデジャヴした
山吹色の花咲く庭の
崩れかけた壁の上 ....
林の前を透明が過ぎ
曇をわずかに残してゆく
枝が風に
風が枝になるさまを
雨は照らしつづけている
水と水のふるえのはざまへ
羽はさしのべられてゆく
水を聴かず 音だ ....
何か掴まなければ と
恐れなくてもよいのだ
いつでも繋げるように
私の両手は空いている
嘗て星々に触れたとき
驚きながらも微笑んだ
一秒よりもはやく
私たちは老いてゆくから
....
黄色い鎖が
何を縛るでもなく
地面に置かれている
廃車と遊具の鉄は響き
午後はゆらりと夜になる
夜のなかを
夜が動く
その高みにある輪郭が
すべるように落ちてくる
....
戸外の夜
の射し染む方角
の窓
の四角
の、薄く
薄く
映写された壁
を
爪が
物欲しげに引っ掻けば
聞こえるのは
爪が引っ掻いたその通りの
かり、 ....
また一つ
約束を破った
夕涼む縁側
うちわ
ねつ
におい
笑うしかないと
娘は知っている
一人で立っている
あなたは
吹きすさぶ風に向かい
横顔しか見えない
見せてはくれない
風があまりにも強いので
あなたは
目をしばたいていて
けれど
目を背けることはなく
....
朝は聞こえず
雨は遠く
水平線の陽
かたわらの光
からだをつらぬくかがやきの芯
やわらかくやわらかく変わるかたち
滴の重さの鳥たちが
つまずきながら屋根をわたる
....
好きな人ならいません
信じられる人ならいません
「誰が正しいのですか」
と訊いた時に答えてくれる人も居ません
この空は遠く遠く限りなど見せてはくれません
ヒ ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157