すべてのおすすめ
どれほどの闇が
闇を憎みつづけているのだろう
どこまでも闇のまま
在りつづけることを信じて
闇と闇が話している
静けさが首すじを去ってゆく
遠い扉から
のびる明かり
岩の呼吸を冷ます波
夜へ遠のく夜を照らす熱
朝には消える
氷の鐘
雨のなかの灯 ....
ほんとうかどうか
知らないけれど
詩の勉強会
みたいなところで
こんなふうに言われるらしいね
悲しいだとか
せつないとかの
感情を指すことばを使わず
あなたの気持ちを伝えてご ....
真上の月
四つの杯
ひとり去る猫
ひとり去る猫
蝶が蝶を吸いに来る
重なりのむこうの波
波のむこうの冬
より硬いものに触れ光は撓む
くすり指のふ ....
おまえはひとりのふりをするがいい
常に書かざるを得ないものなら
おまえの余裕の臭いがわかる
おまえはそうして滅びるがいい
ひとりのひとりを知るものは
岩を岩を岩を岩を
....
海のにおいの雨
さかしまと笑み
風を赦す
告げるものなく
歴史を失う
黒く 短い道
雪に埋もれた野の向こう
雨がひとつ膝をつく
さかいめ ちぎり絵
....
原より白く
街が燃える
影も熱も人も空も
見えない波に流れ出す
曇の胸が
樹や家に添う
高鳴りが
さらにさらに遠くを照らす
ちからの反対へ滴は落ちる
....
ひとしずく
器 くちもと
遠くを
ぬぐう
ひとくちを
映す
静かな渦が
冬の曇を見る
膝の上の
鈍色の背
どこかで
どこかが
うたっ ....
木の葉の奥の
窓の灯
到かない地を告げる
ひとり と
つぶやくもののなかの
ひとり
響き
光の洞
青 散り積もる
水を這い
背を ....
窓 雪音
指 しずく
たどるままに
ころがる闇
水と光と
骨の轍が丘をめぐる
わずかな冬のはらわたを
苦く苦く抱きとめている
半ば沈んだ
舟の ....
冬枯れの木立のつづく泥濘の道、
小さな水溜りに爽やかな青空を映して
名も知れぬ誰かの、
虚しく残した懸命な足跡を
突然、山の麓から軋む音ともに登ってきた
四角張った黄色い一匹の獣が、
鋼鉄 ....
凪と鉛
曇が地へ落とす火
色より広いまぶしさの
まなざしのふちを洗う雨
水を踏み
坂をのぼり
鈍を振る
頭は 音になる
空に浮かぶ火が薄まり
他の火を ....
からだを巡る車輪の音を
まばたくことで消しながら
足跡のない足音の
応えのつづきを聴きながら
道に浮かぶ狭い暗がり
雪から雪が生まれては去る
ひとつの鉱を ....
静かな日
雨の海
庭の瞳
はざまとはばたき
銀と鉛
指ひとつ
滴のなかの
鉄 ひとつ
息の道に立ちどまり
手首を返し 風を離す
緑の陰の水が動き ....
灰とむらさき
雨の上の火
かわいた光
海と曇
午後の髪
見つめる目
はざまの冬
まばたきの子
すぎさる たなびく
包み紙の旗
変わりつづける
足跡に降る
置 ....
吐息が
しろく曇るのを見ると
少し、安心できる
わたしの日々は
ほぼ偽りかも知れないけれど
熱だけは、進もうとする熱だけは
たしかに思えて
安心できる
いつだっ ....
光にまぎれ
冬にまぎれる
ひとつひとつ
空に満ちる
花のかたちの水
ひらこうとする指さき
指さきは 指さき
雪になり陽になり
見えなくなり散らばる
....
つぼみを壊した
誰にも言えぬままだった
庭のすみで彼らは責める
降る雪のなか咲きほこる
....
布団に入ると
からだが伸び
足が出てしまう
いつも凍え
いつも
地を飛んでいる
忘れたくないものを
燃やし 撒き散らしながら
忘れたいものを
....
隙間のうたが家をなぞる
屋根を除き暗く浮かぶ
金と緑 水と水
互いを招く 打ち寄せる
棄てられた庭
蔓が壁に描く大木
雨の音 波の音
色の音 鎮む音
遠 ....
きんいろを通り
きんいろになる
ずっと ずっと
鳴っている
遠くのような
近くから来る
生は治る
生は響く
雨が雨をすぎるとき
滴に残る
影 ....
なだらかな
未分化の稜線
言葉少なな
ひとつの泡
曇間の明かり
水が水を分ける音
一枚の葉
星の裏まで
同じ大きさ
旧い川に
ふいに沸く銀
....
静けさと静けさ
くりかえす甘噛み
打ち寄せるたび
持ち去られる秘
からだを通る水は痛く
まばたきの奥に声は拙い
手のひらの火
一瞬の重なり
滴が鉱に ....
白へ白へ旅をする
木目の道の途切れるところ
裸足の足指
つまびくことの
終わりとはじまり
小さな柱がいくつかつづき
見えない川を示している
枯れた花が陽を拾う
....
鳥滴光声
距離もなく
ただ在る
手水原香
数もなく
ただ鳴る
壁もなく窓もなく
ただまばゆく
既 ....
ポタージュが冷めるのを待てず
やけどする舌
冷たい朝に
湯気の向こうで
陽の光が磨りガラスにはじく
無邪気なほどきらきらと
関東地方の今朝は今年一番の冷え込み
半袖のニットを着た ....
三つの空のある窓に
光の穴があいている
動きつづける点の奥から
はざまの唱が聞こえくる
朝の翳り
夜の白銀
窓しか照らさぬ窓から来るもの
倒れ砕けた木のむこう
....
住む人の居なくなった実家
風を通すために帰省して
東京に帰る日の昼食は
味噌ラーメンが美味しいと
親父が通っていた店で食べる
若いころ札幌で食べた
味噌ラーメンの味に魅せられた親父 ....
りんりんりん
秋の夜空からおちてくるのは
おうぎの、おうごんの
しゃんしゃんしゃん
セル画のごとく、ぱらぱらら
「今宵はたけのこごはんだよ」
しゃきしゃき
夜の秋は長いなんて
....
生きものと光を
行き来する生きもの
真昼に飲む水 音になる水
静かな明かりの目をした子に
わたす音はふたつある
明日の朝 霧が晴れたら
望むところへ進めるように
....
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