すべてのおすすめ
あばら骨を浮き立たせたまま
空はどこへ埋まろうとするのか
墓地の土は硬すぎるのに
操車場の跡は狭すぎるのに
まわりながら燃えあがるかたちを
位置も時間も持たないものが
....
湖に風は無く 輝いて水鏡
シンメトリーなあなたなら
真ん中まで歩いて行けますよ
と 遠く凪が囁いた
波紋 足跡 とろんとろんと表面張力
怖くなって涙を流すなら
左右対称にお願いしま ....
柔らかい絹のような髪
風に遊ばせて 君が笑う
まだうっすらと 幼さをまとった
伸びやかな脚を
揺らしながら
少しかどのある硬そうな膝小僧
二つ並べて 君が笑う
若草のそよぐ野原を ....
君と夜のドライブをするのは
久しぶりだね
さっきから
君は目を伏せて
何か言おうか悩んでいる
僕たちの間に
秘密ができてしまったんだね
なんとなく
気付 ....
俺とお前が
最後に 別れたのは どこだった
「最低だ」「最悪だ」「やってらんねぇ」
お前は 吐き捨てるように言って
きえちまった
今の俺は
「最低」で「最悪」かもしれないが
な ....
夏の玉蜀黍畑が夏に朽ち
私は鼓動を探ってうずくまった
途方も無い大気の、余りの光、余りの熱
玉蜀黍の呼吸には錆びて乾いた砂が混じり始め
焦がれるように焦げながら体躯は空に触れた
....
ラインマーカーでチェックしているうちに
すべてのことが大切に思えてくる
上下左右の空白も妙に気になって
塗りつぶしたりする
頭の中がまっ黄色になって
何ひとつ覚えられない
だから今日も ....
壊れた蛍光灯
光のない全て
冷めたコーヒー
どうして私を憐れむの
クッキーに体を溶かされたい
飲み込んだコーヒー
悲しさが浄化する
涼風が運んできた
フラッシュバック
遠くで君が笑っ ....
書物の陳列の疲労の飽和した本棚は
朝方には回復を諦め軋みもしなかった
テーブルクロスのうつ伏せた脱力の背にある
アルコールの抜け殻の横倒しの唇は投げ遣りに香った
そっと、突き倒した ....
ゆっくりと明るい雲がせり上がり
それ以外の雲は皆うつぶせになる
降り止んだ雨は灰色
降り止まぬ雨は金色
とどまらぬ色とどまらず
とどまらぬ音ふりそそぐ
小さいものが
....
鴉のはばたきに覆われて
夜の鐘は少しだけ揺れる
刃の音 鋼の音
夏とともに終わる音
音はただ音としてはじまり
やがて静かに変わってゆく
前転する光と
前転する黒羽が ....
滑り台の上で滑り出せずにいる
後ずさることも出来ずにいる
飛行機が滑り込んでくる
地面すれすれ
空気が摩擦して
夏が濃くなる
毎日を鏡に映してみても
逆さになる他は何も変わらない
....
君に似通う、後ろ姿
君に通じる、甘い香水
君が好んだ、帽子の形
君が馴染んだ、窓際の席
君が望んだ、最新刊
君の痕跡はどこにでもあって
僕はいつでも君の思い出に触れられる
....
もしも もしかして
わたしが きように よわたり じょうずな はとだったら
きっと きょうも くるっぽーとないて
ぽっぷこーんを もらうだろう
でも そんなふうには いきられなくて ....
煙草が吸いたくて
その場に座り込んだ
通り抜ける脚
目的を持って進む足
その流れから
置いていかれた僕は
ぼんやり煙草を吸って
吸い殻を踏み潰した
あはははは
くすく ....
言葉 言葉
積み上げても 積み上げても
すぐに崩れる 石の塔のように
言葉を積み上げて 耐える今を
救ってくれる なにか大きなものは
どこかにあるのでしょうか
....
さようなら波
めぐりくる波
朝の原と昼の原
境いめの道に
鳴りわたる鈴
かき傷だらけの明るい日
光の化粧をした光
両手を緑に染めながら
腕ひらく子の歩む道
....
こんばんは
泊めてください
って
うちは旅館じゃ
ないんですけど
帰ってください
と言いつつ
かわいそうなので
戸を開けると
彼が入ってくる
なんでこのひと
毎日みた ....
傷付けて
傷付いて
それでも離れられなかった
笑い飛ばして
気まずくなって
それでも失いたくなかった
嘘ばっかりで
身勝手ばかりで
それでも抱きしめて欲しか ....
あなたの玩具箱から
逃げ出したいと思う
このまま
古いもの 新しいものに
埋もれていくのは
嫌なんです
なぐさめてくれるお人形は
ひとつぐらい
どこ ....
夜にも鳴いてるカッコウの
しずけさ際に
ぼんやり燈す 薄明かり
ひたすらに
貴方の走らすペンの音
背中にそっと 触れたいけれど
厳しい横顔
もうしばらく ....
銀紙を たくさん砕いてるよ
もう ずいぶんたまったよ
今日は よく晴れた日だったね
君を呼び出して
あの 高い橋の上から
砕いた銀紙を ばら蒔くよ
君に見せたいから ....
学校ひけたら
駆けていく
あの駄菓子屋は
今も そのまま?
鬼ごっこした
松ばやしは
いつの間にか
駐車場
それでも
ここは あの頃の匂いがする
初めてキスした
公園の ....
差し出された腕が 宙を泳ぐ
僕は 君をあやすかの様に微笑んで
そっと 君の両手を膝に戻した
頬を膨らます君が
抱っこをねだる君が
差し出された腕が
愛しくて ....
4歳のこどもを
正面から抱っこすると
つい4年ほど前には
お腹の中にいたことなど
信じられないほど大きい
わたしたちひとつだったはずなのに
分裂したね
さびしいけどもう元には戻れない ....
誰にも なんにも
言えないものだから
大切にしまいこんだ笛を
吹き込む風が
鳴らしています
静かな部屋の中で
かすかに鳴る 笛の音を
聞いていましょう
....
白い杭と鉄条網が
鉄の獣を取り囲んでいる
天気雨がなまぬるく
獣の背の光を流す
欠けた虹がすべるように
ひとつふたつと遠去かる
溶けるように昇る空
指の跡のつ ....
残り物の野菜とスープブイヨンと塩胡椒を少々
コトコト コトコト
ひたすら煮込んで 野菜スープを作ろう
味よりも栄養を摂取したい僕は
さらにいろんな物を混ぜてみた
哀しみと
苦しみと ....
ふおーん
警笛を置き去りにして
カーブに消えていく電車
踏切では遮断機が開くことを忘れて
取り残された人々
遠くでもう一度
ふおーん
ここはゆるやかに傾斜している世の中なので
くす ....
くちを とじて
めを とじて
みみを すまして
かんじる もの
うたたねのような
やわらかな
さいぼうとさいぼうを
すりぬけてゆくような
むげん
くちを ひらけば ....
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